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インドと中国の領土紛争

2011-06-08 | 日記
田中宇 『日本が「対米従属」を脱する日』 ( p.142 )

 英米に追随する姿勢を国是としているインドでは、少し前までの日本と同様、中国との対立が煽動されていると思われる動きがある。中国軍によるインド国境侵犯である。
 事件は、インド領だが中国が領有権を主張するアルナチャル・プラデシュ州の中印国境で起きている。中国軍は、以前からしばしばインド側に入り込んで示威行動をしたり、赤いペンキで「ここは中国領だ」と書いて帰ったりすることを繰り返してきた。領有権の紛争がある地域なので、インド側はことを荒立てない態度をとり、中国軍の行為を黙認してきた。中国軍の行為は、かつて中国が台湾領有下の金門島に向けて毎日1発ずつ大砲を撃っていたのと同様、中国が同州の領有権を主張し続けていることの表明として継続されてきた。
 インド側は09年9月中旬以降、この中国軍による越境行為を侵略行為と見なして非難する論調を強め、右派マスコミを中心にこの問題が大きくとり上げられた。インド政府は「中国軍の越境行為は以前からのもので、騒ぐほどのことはない」と表明したが、インドの世論は煽動されて「なぜ政府は以前から中国軍の越境行為を黙認してきたのか」と政府非難を強めた。
 10月3日には、世論に押されるかたちでインドのシン首相がアルナチャル・プラデシュ州を訪問し、中国政府は「対立を煽るな」と非難した。中国は、インドがアジア開発銀行に同州への投資を要請していた案件について、開銀に圧力をかけて潰している。一方でインドは、中国がスリランカやモルジブ、ミャンマー沖などのインド洋の各地に海軍拠点を増設していることにも懸念を表明している。
 印中の対立は、今のところ戦争に発展するようなものではないが、急速に衰退する英国が再起のために何をするかわからないという懸念はある。しかしその一方で、以前は対米従属の呪縛が非常に強かった日本政府が、9月の政権交代を境に魔法のように呪縛が解け、世界の多極化の流れに沿った動きを開始したことから考えて、インドでも今後、意外な政治転換によって生まれ変わり、多極型の世界に適応していく可能性がある。
 米国中枢の多極主義者たちは、日本やインドの転換を歓迎する。米政府は、反米的な鳩山新政権を評価する言動を発し続け、10月17日には米国務省の東アジア担当責任者であるカート・キャンベルが、鳩山政権が提唱する米国を外したかたちの東アジア共同体構想に理解を示した。これは「米国が怒って鳩山政権を潰してくれる」と期待していた日本の対米従属論者にとっては悪夢だが、多極化の流れとしては、ごく自然なものである。


 (インドと中国の領土紛争について) 中国軍が勝手にインド領に入り込んで示威行動をしたり「ここは中国領だ」とペンキで書いたりしている。インドでは「中国との対立が煽動されている」と「中国側の視点で」書かれています。



 著者は中国軍による越境行為、すなわち
中国軍は、以前からしばしばインド側に入り込んで示威行動をしたり、赤いペンキで「ここは中国領だ」と書いて帰ったりすることを繰り返してきた。
ことに対し、インドの世論が「煽動されて」問題視しているなどと書いていますが、

 「越境行為」を問題視するのは当然で、これを「煽動された」インド側(国民と政府)の「好ましくない反応である」と考えるのは、いかにも筋違いだと思います。

 また、「世論に押されるかたちでインドのシン首相がアルナチャル・プラデシュ州を訪問」することも問題のない、正当な行為であり、これに対する中国政府の「対立を煽るな」という非難は、いかにも「傲慢」です。

 このような中国政府の態度は、昨年の尖閣諸島沖事件における中国政府の(日本に対する)態度を連想させます (中国側に非があったにもかかわらず、中国は日本に「謝罪と賠償」を要求しました) 。

 「対立を煽るな」というのであれば、中国側が越境行為をしなければよいのです。これでは中国政府が「傲慢である」と受け取られても、やむを得ないでしょう。



 さらに、
中国は、インドがアジア開発銀行に同州への投資を要請していた案件について、開銀に圧力をかけて潰している。一方でインドは、中国がスリランカやモルジブ、ミャンマー沖などのインド洋の各地に海軍拠点を増設していることにも懸念を表明している。
というのですから、

 どう考えても紳士的なのはインドで、横暴なのは中国です。



 著者がなぜ、これほどまでに「中国寄りの視点」をとるのか、著者がなぜ、「悪いのはインド」であるかのような書きかたをするのか、私には、それが不思議でなりません。



 なお、著者は
以前は対米従属の呪縛が非常に強かった日本政府が、9月の政権交代を境に魔法のように呪縛が解け、世界の多極化の流れに沿った動きを開始したことから考えて、インドでも今後、意外な政治転換によって生まれ変わり、多極型の世界に適応していく可能性がある。
 米国中枢の多極主義者たちは、日本やインドの転換を歓迎する。米政府は、反米的な鳩山新政権を評価する言動を発し続け、10月17日には米国務省の東アジア担当責任者であるカート・キャンベルが、鳩山政権が提唱する米国を外したかたちの東アジア共同体構想に理解を示した。これは「米国が怒って鳩山政権を潰してくれる」と期待していた日本の対米従属論者にとっては悪夢だが、多極化の流れとしては、ごく自然なものである。
などと、インドは多極化の流れに「乗り遅れている」といったことを書いていますが、

 著者(田中宇)のこの分析には、疑問があります。



 そもそも、「田中宇のいうような多極化」が実際に起きているのでしょうか?

 著者は「米国務省の東アジア担当責任者であるカート・キャンベルが、鳩山政権が提唱する米国を外したかたちの東アジア共同体構想に理解を示した」と書くと同時に、米国中枢は日本の転換を「歓迎する」などと述べていますが、

 「理解を示した」は「歓迎した」とは異なります。どうしてこれが「歓迎する」になるのか、疑問を禁じ得ません。



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4 コメント

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すべて、根は同じ (四葉のクローバー)
2011-06-08 14:46:40
>著者がなぜ、これほどまでに「中国寄りの視点」をとるのか、著者がなぜ、「悪いのはインド」であるかのような書きかたをするのか、私には、それが不思議でなりません。

私も、これまでの言語空間での引用部分を読む限り、田中宇氏は「中国寄りの視点」ですね。
何故だか分かりませんが。

さて、インドについてですが、これは、中越戦争直前のベトナムの例と同じです。
当時の中国は、中越国境地帯の国境標識を、夜陰に隠れて故意にベトナム側に移動させ、中国人農夫に勝手にベトナム領土内で田植えをさせるなど、「越境」行為を繰り返していました。

そして、しまいには、ベトナムの堪忍袋の緒が切れ、在ベトナム華人を強制退去させたことが、中越開戦に繋がりました。

今回のインドとベトナムの例は酷似しています。
最近でも、南シナ海で、ベトナムやフィリピンと海上での「越境」事件を引き起こしています。
その内、北朝鮮とも問題を起こすはずです。
Unknown (memo26)
2011-06-08 16:24:01
> さて、インドについてですが、これは、中越戦争直前のベトナムの例と同じです。当時の中国は、中越国境地帯の国境標識を、夜陰に隠れて故意にベトナム側に移動させ、中国人農夫に勝手にベトナム領土内で田植えをさせるなど、「越境」行為を繰り返していました。

 とすると、中国の行動パターンは「不変」ということになりますね。すこしずつ既成事実を積み重ねていくのは、中国共産党の遺伝子なのかもしれません。
良好な関係にはなれない同士 (海外)
2011-06-14 02:15:27
Hi guys.

インドと中国、韓国と日本の竹島問題、拉致問題で北朝鮮と日本国とか、同じアジアでありながら、それは移民の国でもありまして、白人と黒人の関係は奴隷制度時代から延々とあり、一般の生活の上でも見かけられる光景がたたあります。たとえばスイカ(余談ですが、日本の電車乗車にスイカなんて耳だけで聞いた時は、え~あんな重たいのをいちいち改札口まで運ぶ?)0(と、)

お話はもどしますが、数十年前まではアメリカではスイカはAfrican Americanが好んでいた食べるものとイメージがありましたしね。今はそんなことはないですが、その黒人と白人も確かに不仲な状況もたたみられます。以前大型服装店にて白人女性と黒人女性が同じ服を取り合い、アメリカ人女性ってすさまじく強いから見ごたえあります(^^:)))

白人女性が黒人女性に、「あら~まだ冬なのにもうこんがり焼けてちゃって、」黒人さんも負けるるわけがなく「あんた病院から抜け出してきたの、顔がまっ白じゃない」と、他のお客は聞き耳を立て、しまいには殴りあいに、店員が止めに入り、残念もっと見たかったのに(^^:)))。

中西部のほうに行けば、昔の名残の看板もみられます。NY州から当地に引越ししてきた際、車でアメリカ横断をしたのですが、各州で奴隷制度のなごりがあったり、「黒人入店断る」と、その時代の私は学生としてアメリカに入国した私なのでまだ初々しく差別などは意識したことがなく白人専用か黒人専用かとは考えず、黒人専用だったお店にはいると、やたら歓迎され、私とお友達は黒人の味方と思われたらしく、白人専用のお店の人からはにらまれたなんてこともありましたしね。なつかしい思い出ですが、今では私も相手がだれだろうと言うべきことは言わないでそうすると精神までがアメリカ人となり
黒人と南米系も不仲なのです。
Unknown (memo26)
2011-06-15 11:58:08
> インドと中国、韓国と日本の竹島問題、拉致問題で北朝鮮と日本国とか、同じアジアでありながら、

 アジアには問題または対立がたくさんあります。日本には「東アジア共同体」構想を主張している人もいますが、現実性に乏しいですね。

 そしてこのような状況を考えれば、日本は万一に備え、軍備をしっかりすべきではないかと思います。(一部で主張されている)「自衛隊不要・日米安保破棄」論は論外だと思いますね。

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