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高速道路を「ただちに」無料化すべきか

2010-08-24 | 日記
山養世 『道路問題を解く』 ( p.149 )

 ここで、原点に戻って考えてみましょう。
 なぜ、日本の高速道路は有料になったのでしょうか。どんな仕組みで、料金を取るようにしたのでしょうか。それがわかれば、無料にするやり方がわかります。
 有料には、二つの根拠があります。
 一つは、かつては道路公団、いまは高速道路会社という、国とは別の組織に高速道路を作らせてきたことです。
 国が作らないから、高速道路で通行料金を取ることが許されました。もし、国が作っていれば、高速道路は無料にしなくてはいけません。なぜでしょうか。
 国が自分で高速道路を作ったと想像してください。そのときは、高速道路は、最初から国道の一種になりますから無料です。国道は無料だからです。道路法という、道路の基本法によって、国道は国が作り、無料で提供することになっているからです。
 高速道路を有料にしたもう一つの根拠は、国でなく、道路公団や高速道路会社に借金をさせてきたことです。
 いくら、道路公団が道路を作っても、すべての費用を国が払っていたら、道路公団が利用者から料金を取る根拠がありません。しかし、国は高速道路の費用を出しませんでした。とんでもないことに、高速道路の利用者から取ってきたガソリン税などの税収も、高速道路には使いませんでした。その分は、一般道路の建設に流用してきたのです。
 そのうえで、国は、高速道路にかかわるほとんどすべての費用を、道路公団に借金をさせて調達しました。ですから、高速道路の建設や管理の費用はもちろん、のちに膨大になる金利支払いの費用も、すべて道路公団が借金をしてまかなったのです。
 だから、道路公団は、借金を返済するために、料金を徴収することが許されたのです。裏返せば、道路公団の借金の返済がすべて終われば料金を取る根拠はなくなり、高速道路は無料開放しなくてはいけなくなります。これが、「償還主義」です。借金を償還すれば、有料という特別措置は終わり、原則である無料に戻るのです。この原則は、道路公団民営化後も変わっていません。ただ、民営化という名の先送りをしただけです。

(中略)

 このように、原点に戻って考えると、道路公団とその借金、この二つがそろって初めて、高速道路は有料になったのです。ということは、道路公団の後継組織である高速道路会社と高速道路機構を廃止する、あるいは、高速道路の借金がなくなる、このどちらかが実現できれば、高速道路は無料にしなくてはいけないのです。
 一番すっきりするのは、まず、高速道路の借金を国がいったん引き受けて、借金をなくすことです。そのうえで、高速道路会社や機構という国営のペーパーカンパ二ーを廃止することです。
 そうすれば、料金を取る根拠が完全になくなるうえ、将来、道路公団のような組織がゾンビのように復活することを防げます。そして、高速道路の無料化が完全に実現できます。地方を中心に、日本経済は大きなメリットになることは間違いありません。

(中略)

 高速道路無料化は二つのステップでできます。ステップ1は、国が高速道路の借金を肩代わりします。国が高速道路のコストを負担するわけですから、財源の面で、高速道路も普通の国道と同じになります。この時点で、高速道路の通行料金を取る根拠がなくなりますから、無料化が実現できるわけです。
 次のステップとして、肩代わりした借金を国が返済します。その財源は、既存の道路財源など十分にあります。新規の国民負担は要りません。
 肩代わりした借金は、一括して返済するか、もしくは、繰り延べて返済することになります。財政のなかに貯まった積立金など、いわば国の貯金で一括して返すこともできます。一括返済できない部分は、国債などで借り換えることになります。そのときは、道路財源の一部などを使って、国債を返済します。二〇五〇年までの超長期の高速道路の借金が、期間が短かく金利が低い国債に振り替わるのですから、金利コストは大幅に低下します。
 こうして高速道路無料化を実現するための手法は、財務用語でいえば、デット・アサンプション (債務承継) です。不良子会社の高金利の借金をなくし、親会社の低金利の借金に置き換えるときなどに使われる手法です。国の借金が増えても、国の子会社といえる独立行政法人の借金は減りますから、国全体を連結会計で見れば、借金額は変わりません。むしろ、国のほうが、金利が安く、また返済期間も短くできますから、財政全体のコスト削減ができるのです。


 高速道路を無料化するために、国が借金を肩代わりせよ、そして「ただちに」無料化せよ、と説かれています。



 「高速道路の無料化は既定路線」になっていますが、著者のいう無料化とは、さらに進んで、「ただちに」無料化せよ、というものであることがわかります。



 無料化の条件として、建設のためになされた借金の完済が必要であることは、著者も認めていると思われます。それにもかかわらず、著者が、「国が高速道路の借金を肩代わり」したうえで、ただちに無料化せよ、と説く理由は、おそらく、

   高速道路の利用者が負担してきたガソリン税などは、
   一般道路の建設に流用されてきた。
   流用がなければ、すでに完済されているはずである、

というものだと思います。

 しかし、あまり細かいことを言い始めると、「国道1号線の利用者が負担してきたガソリン税などは、(国道1号線以外の) あらたな国道の建設に流用してはならない」ということにもなりかねません。

 もちろん、「有料の」高速道路を走るためにかかったガソリン税を、「無料の」一般国道の建設に流用するのは話が違う、と考える余地もありますが、

 話が違うか違わないかは、考えかたの問題であり、どちらも成り立つ、どちらも正しい、と考えられます。つまり、高速道路機構の借金を国が肩代わりする政策も、肩代わりしない政策も採りうると思います。



 それではどう考えるべきか。おそらく、どちらの政策が有益であるかが決め手になります。

 著者によれば、機構の借金を国が肩代わりするメリットは、金利の低下です。金利が低下すれば、返済は早まるはずである、とも思われます。しかし、国が肩代わりしない場合をも考えてみれば、必ずしもそうとは言い切れません。

   借金を国が肩代わりする場合のメリット   金利低下
   借金を国が肩代わりしない場合のメリット  通行料収入
    (高速道路機構の借金を国が肩代わり=無料化=通行料収入なし)

 金利の低下による効果と、通行料収入を得る効果と、どちらが借金返済が早くなるでしょうか。間違いなく後者です (「道路公団民営化のカラクリ」で引用した著者の記述によれば、機構の借金は約 40 兆円であり、金利 1 %分が約 4,000 億円にしかなりません ) 。

 つまり、返済が早まるのは、あきらかに「ただちに無料化しない場合」だと考えられます (新規の高速道路・一般国道の建設抑制効果をも考えれば、話は変わってくる可能性はあります) 。また、返済が早まれば、金利を支払う期間が短くなり、金利低下効果以上に金利負担が小さくなると考えられます。



 したがって、(通行料収入が全額、借金返済に充てられるわけではないとは思いますが) 「ただちに」無料化しないほうがよいと思います。
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