言語空間+備忘録

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中国による脅威と米国の対抗戦略

2011-12-27 | 日記
リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原剛 『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮』 ( p.89 )

春原 ナイ教授は対中戦略の基本として、国際社会に関与させる外交努力を続けつつ、予見不可能な脅威に対するヘッジも怠らないという「ヘッジ&インテグレーション(Hedge & Integration)」を提唱していますが、ここでは特にその「ヘッジ」の部分についてお聞きしたいと思います。

アーミテージ 日本だけでなく、米国も被害を受けるであろう「脅威」として、まず挙げられるのがサイバー攻撃です。次いで、我々の戦力を(アジア太平洋地域から)隔離するような兵器群があります。中国は我々の空母を遠ざけるための特別な弾道ミサイルも保有しています。これを我々は「エリア接近否定能力(Area Access Denial Capability)」と呼んでいます。第三の脅威は、中国が一九七四年に犯した南沙諸島への侵攻と同じようなことをやろうとしている点です。
 だから、今後、我々が取るべき対策はまず、サイバー攻撃への防御を強めること。同時にサイバー攻撃の能力も高めます。次に無人(攻撃機の)技術開発、そして兵器群の迅速な搬送・配置能力向上も必要です。最後に水陸両用の上陸作戦能力も向上させる必要があります。

ナイ 軍隊組織というものは常に「最悪のことが起こったら、どう対応するか」という考えに基づいて行動します。国を守ることが職務であり、その観点に立って最悪に備えるのです。「もし、台湾が一方的に独立を宣言したら、どうするか」という前提に立って、中国は弾道ミサイルの保有量を増やし、かつADZの設定に動いている。それは驚くことでもありません。

春原 このADZ設定という考え方は何を背景としているのでしょう? 台湾奪還か、それともアジア地域に限った覇権主義ですか、あるいは地球規模での覇権主義なのでしょうか?

ナイ 中国はまだ、地球規模での覇権を考えるには至っていないと思います。ただ、東アジアでより大きな自由が欲しいのでしょう。

春原 仮にそうだとしても、日本は中国が「自由に振る舞いたい」と考える域内に位置しています。

ナイ ですから、米国はアジア太平洋地域に主要な海軍戦力を維持しなければなりません。同時に日本と韓国に陸上戦力を堅持する必要もあります。

春原 だからこそ、沖縄の米海兵隊や横須賀の米第七艦隊は重要だということですね。

ナイ はい、そうです。

春原 宇宙空間はどうでしょう。中国は先に人工衛星の撃墜実験を行い、日米両国などに「日米両国の偵察衛星などすぐに壊すことができる」というメッセージを送っていますが……。

アーミテージ もちろん、宇宙も大事です。その意味では先に日本の国会で宇宙開発の道を一層、大きく拓いたことは大変結構なことだと思っています。宇宙については今、いわゆる「地球規模での共用財」という考え方があるのですが、実際には中国が我々に対して攻撃的になれば、彼らは我々から「視覚」を奪おうとするでしょう。

春原 宇宙、およびサイバー空間における安全保障について、ナイ教授はどうお考えでしょうか?

ナイ 宇宙についてはまだ、米国に一日の長があります。もちろん、中国も日々、この分野を強化していて、それを誇示していますが。サイバー空間はとても興味深い分野です。そして、ここでも中国は急激に進化しています。サイバー空間での「軍備管理」などは難しいかもしれませんが、彼らが行っている行動はとても受け入れられるものではないということをはっきりと伝えなければなりません。

春原 サイバー空間について中国側から何か前向きな反応はありますか?

ナイ あまりありません。ただ、我々もサイバー空間における安全保障という側面をまだ、理解し始めたばかりです。ちょうど、一九五〇年代に核兵器の意味を理解し始めたように。だから、米中双方にとってこの分野が意味するところを学ぶ時間は多少なりとも必要でしょう。中国によるサイバー攻撃について、日本の反応はどのようなものですか?

春原 米国ではホワイトハウスやペンタゴン(国防総省)が毎日のように中国からの攻撃にさらされていて、とても関心が強まっていると聞いていますが、日本ではまだ、そのレベルにまではなっていません。ただ、さきほども触れた尖閣諸島付近での中国漁船と日本の海上保安庁の巡視船との衝突事故の後、それと思われる「事件」も散見されましたが。


 中国による「脅威」として、サイバー攻撃、「エリア接近否定能力(Area Access Denial Capability)」を構成する兵器群(=米国の空母を遠ざけるための特別な弾道ミサイルなど)、南沙諸島への侵攻と同じようなことをやろうとしている点が考えられる。したがって、サイバー攻撃への防御を強めつつサイバー攻撃の能力も高めること、無人(攻撃機の)技術開発、兵器群の迅速な搬送・配置能力向上、水陸両用の上陸作戦能力向上などの対策を行う必要がある。また、周辺に米国の陸上・海上戦力を保持する必要がある。宇宙空間も大事である、と書かれています。



 今回の引用は、米国の考えかたを示すことが目的です。

 米国の考えかたは、要するにサイバー空間、宇宙空間など、あらゆる分野で中国を抑え込む(または対抗する)、というものです。



 これはすなわち、「宇宙は次の平滑空間たりうるか」や「覇権を動かす空間革命」で引用した『超マクロ展望 世界経済の真実』の著者ら(水野和夫・萱野稔人)の考えかたが間違っていることを示しています。

 とくに、宇宙空間は覇権を決定づける要素にはなり得ないという点に関しては、著者らの意見は完全に間違っているといってよいでしょう。(逆にいえば、今回の引用は私の批判・意見が正しかったことを示しています)



 日本人学者の意見は「あまりにものん気」で、「あまりにも非現実的」です。その原因はおそらく、戦後、数十年間も日本は国防・安全保障を真剣に考えてこなかったからだと思われます。

 米軍がいたからこそ、これまではそれで済んだのですが、より「対等な日米関係」を構築するために、そういう時代はそろそろ終わりにしなければならないと思います。
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