言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

「思いやり予算」は異常ではあるが

2010-12-20 | 日記
西部邁・宮崎正弘 『日米安保50年』 ( p.21 )

(宮崎) アメリカは、昔は「安保ただ乗り」と日本を批判していましたが、最近は言わなくなりました。いわゆる「思いやり予算」でお金を出しているせいかもしれませんが、この予算は在日米軍の駐留経費のおよそ七五パーセントにも上ります。そもそも外国の軍隊が駐留していること自体、主権国家の体(てい)をなさず、国際的にはまずあり得ないことだし、金まで払うのはさらにあり得ない話です。台湾も米軍を追い出したし、タイはとうの昔に追い出しています。フィリピンもとうとう追い出しました。それを考えると、日本という国は本当にお人好しの国家です。


同 ( p.169 )

(宮崎) 思いやり予算にちょっと補足しておくと、外国の軍隊が駐留しているのだから、本来は基地使用料をアメリカが日本に支払わなければいけない。それが常識です。今、パキスタン、カザフスタン、キルギスにいるアメリカ軍は基地使用料として年間数億ドル払っています。基地で雇用している人間に、アメリカはちゃんとサービスチャージと給与を払っています。キルギスという小国においてすらそうです。日本だけは、占領されている国が予算を付けるという逆転現象になっていて、しかも国民はそのことを全然不思議に思っていない。ですから、これもやはり「世界の常識は日本の非常識」につながる、非常に不思議な話です。


 日本は主権国家の体をなしていない。そもそも、外国の軍隊が駐留していること自体があり得ないし、お金まで払っているのはさらにあり得ない。日本は本当にお人好しの国家である、と書かれています。



 書かれていることはわかりますが、これはすこし、ちがうのではないかと思います。

 日本の場合、米軍を追い出してしまえば、中国など他国に侵略される可能性が高いと考えられます。したがって、「日本の都合で」米軍が日本にいる、という要素が大きいのであり、「米国の都合で」米軍が他国にいる場合と、同一には論じられないと思います。



 もちろん、たとえば台湾やフィリピンにみられるように、米軍がいなくなれば (中国など) 他国に侵略される可能性が高い国においても、米軍を追い出してはいます。それを考えれば、日本においても、米軍を追い出してよいのではないか、とも考えられるのですが、

 台湾についていえば、内部には「自分は中国人である」と考える有力な勢力があります。したがって明確な反中姿勢をとりづらい、という事情があります。また、フィリピンについていえば、米軍撤退後、着々と南沙諸島を中国に侵略されつつある現実があります。

 ところが日本には、「自分は中国人である」と考える日本人はいません。すくなくとも、有力ではありません。また、日本から米軍がいなくなれば、南沙諸島と同様に、尖閣諸島の領有権が中国に奪われる可能性が高いと思われます。場合によっては、沖縄も中国に占領されてしまうかもしれません。

 もちろん、「自分は中国人である」と考える日本人が多ければ、尖閣や沖縄が中国に侵略・占領されてもかまわない、という発想も出てくるのでしょうが、日本は、そのような社会状況にはありません。

 したがって、日本も米軍を追い出すべきである、とはとうてい言えないと思います。



 日本にとって米軍の存在が必要不可欠であるとすれば、普天間移設問題についての民主党の姿勢は、「最初からズレていた」ということになります。

 普天間問題がここまで大きくなった背景には、「普天間問題の根本的原因」に記した事情があると思いますが、政治の側、つまり民主党が日本の置かれた立場・状況を甘く考えていた、ということも大きいのではないでしょうか。



 そしてまた、日本にとって米軍の存在が必要不可欠である以上、「お金まで払って」米軍に駐留してもらうことも、やむを得ないと思います。

 究極的には、日本が自分で日本を守る、という態勢にならなければならないとは思いますが、それまでは、「お金まで払って」外国の軍隊に駐留してもらう、ということもやむを得ないのではないでしょうか。

 「思いやり予算」は異常ではあるけれども、それは「自主防衛に反対している日本人」が異常である以上、やむを得ない、ということです。



■追記
 著者の主張は、「日本という国が」お人好しである、というのではなく、「自主防衛に反対している日本人が」お人好しである、と読むべきなのかもしれません。とすれば、私と著者の主張はおそらく同じでしょう。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 普天間問題の根本的原因 | トップ | 「正しい」戦争には勝たなけ... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。