言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

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工場ぐるみの不正

2010-05-10 | 日記
アレクサンドラ・ハーニー 『中国貧困絶望工場』 ( p.76 )

 チャンの説明によれば、彼の工場の従業員は農村部からの出稼ぎ労働者だという。
「彼らは法定の最低賃金ではとても足りないので、労働時間が長くなっても収入を増やしたいと思っている」
 我々は工場の会議室に座っていた。飾り気のない室内を見渡すと、工場の製品を並べた大きなテーブルと陳列棚がわが物顔で場所を占領していた。ウォルマートの監査担当役員の訪問を受けてから数カ月が経過していた。チャンの話を聞こう。
「一番の悩みは従業員が短期間でもっと稼ぎたがっていることだ。どこかの工場が残業を認めると、従業員は皆そこに集まってしまう。それほど残業をやりたいのだ。よく言われるよ。『ここには休暇で来たわけではない。カネを稼ぐために来たのだ』とね。残業がなければ、この職場には人がいなくなるだろう」
 チャンが工場経営者の友人たちに助けを求めると、従業員と取引先の相反するニーズに対処するために従ら自身が実施している方法を説明してくれた。まず、ウォルマート対策用にタイムカードを新たにワンセット作成し、本物のタイムカードは別の場所に保管する。従業員にはウォルマートが求めている面接時の答え方を指導する。あるいは、別途新工場を立ち上げたという友人もいる。この工場はウォルマートの監査を受けたことはないが、とにかく納品用の製品を生産している。要するに、下請工場という位置づけだ。
 チャンは彼らの例をいくつか見習うことにした。例えば、毎夜遅くまで、工場の事務員二人がウォルマートの基準に合致するようにタイムカードの出退勤時間を示すスタンプを押した。本物と偽造のタイムカードは混乱を避けるために別々の場所に施錠して保管した。管理職の一人は偽造タイムカードと合致するようにオフィスのコンピュータ上の賃金台帳を捏造した。別の管理職は信用できる従業員を毎週作業終了後にオフィスで開く「宴会」に招き、ウォルマートの監査担当役員からの質問に対する理想的な答え方を説明した。未成年者や各種社会保険未加入の従業員は監査予定期間中には休暇を取らせた。念のため、新規採用者は労働者擁護団体のスパイかもしれないので、臨時の残業を認めなかった。
 記録の偽造・捏造作戦は見事に成功した。面接に際しても、従業員は相手が十分に納得するように完璧に答えた。タイムカードは本物そっくりであった。ウォルマートが工場の偽造・捏造を証明するに足る証拠を見つけることは到底無理な話であった。さしたる証拠があるわけではないものの、チャンのパートナーであるフィリップ・ラムはウォルマートが記録の偽造・捏造や面接の回答が仕込まれたものだということを薄々知っていたが、結局ウォルマートはそれを無視する方を選んだのではないかと見ている。ラムは言う。
「先方も安価な製品が必要なのだ。一方の目を開けながら、もう一方の目を閉じるのが嫌ならば、製品を安く調達することなどできるわけがない」
 ラムの話は続く。
「法定基準を満たしたいと思うならば、生産コストをここまで引き下げることはできない。だからこそ、大半の工場が二つの工場を持っているのだ。一つは取引先に見せるための工場であり、もう一つは実際に生産する工場だ」
 二人は、中国政府がチャイナ・プライスの裏にはその代償が存在することに気づいていると確信している。チャンは断言する。
「わが国の理想的な労働時間を法で定めたのは、世界に宣伝するためにすぎない。政府は誰もが不正を働いていることを知っているし、政府自身もその例外ではない」


 中国の工場が、会社ぐるみでウォルマートの監査を逃れている様子が説明されています。また、監査を実施するウォルマートの側も、その事実を知りつつ、気づかないふりをしているのではないか、という工場経営者の意見も書かれています。労働法についても同様で、中国政府は会社ぐるみの不正を知りつつ、気づかないふりをしているのではないか、と書かれています。



 労使が一丸となって、監査を免れたり、労働法による規制を逃れようとしているとき、それを見破るのは難しいと思います。けれども、上記引用にあるように、( 監査を実施している ) ウォルマートも、中国政府も、工場ぐるみの不正を知りつつ、気づかないふりをしている、となれば、

   法規制や倫理規定は名ばかりであり、体面を保つためにすぎない、
   誰も、法律や倫理規定を守ろうとはしていない、

ということになると思います。結局、誰もが利益優先なのかもしれません。

 もちろん、「ウォルマートや中国政府が、不正を知りつつ、気づかないふりをしている」 というのは推測にすぎないのですが、ありうる話だとは思います ( これについては推測にすぎないので、断定は避けたいと思います ) 。



 なお、工場ぐるみの不正が行われている、という点についてですが、

 これはなにも、中国の工場 ( 中国人 ) にかぎった話ではないと思います。日本でも、「不正の傍観者」 でみたように、同様のことは起きている ( ありうる ) 、とみるべきだと思います。

 したがって、この点を捉えて、「日本人とは違って中国人は…」 といった批判をすることは、不適切であると考えられます。

 もっとも、程度の差はあるかもしれず、そういった観点での批判はありうるとは思います。



■追記
 「程度の問題」 について、私なりに考えてみましたが、中国は日本よりも酷い、とは言えないのかもしれません。「規制緩和は構造改革の一環にすぎない」 や 「行政指導は明確でなければならない」 には、相手の弁護士に配慮して、事実の一部のみを記していますが、さらに次のような事実が存在しているからです。じつは、「行政指導は明確でなければならない」 に書いた席には、私と、湯山孝弘弁護士のほか、楓真紀子弁護士も同席していたのですが、その際に、楓弁護士は 「湯山先生はお金あげてるのよ!!」 と、私に対して怒鳴り、湯山弁護士が暗に要求していた事柄、すなわち、「ある事柄」 を公的機関に伝えないよう、強要したからです。これは要するに、「湯山弁護士は賄賂を贈っているのだから、要求を受諾しろ」 ということにほかならないのではないか、と思います。
 とすれば、法規遵守・倫理レベルの面で、中国は日本よりも酷い、とは言えず、日本も中国と同程度である、と考えられます。
 なお、これについて、楓真紀子弁護士、および、湯山孝弘弁護士において、反論があれば、いつでもコメント等していただければと思います。コメント等していただければ、対応します。
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