言語空間+備忘録

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中国における戸籍制度改革

2010-11-21 | 日記
陳惠運・野村旗守 『中国は崩壊しない』 ( p.106 )

 中国にはあからさまな農村差別がある。
 共産党政権成立以来、農村の住民が都市に移り住むことはできても、戸籍の移動は絶対にできないようになった。
 おなじ都市住民といっても、戸籍があるのとないのとでは、大違いである。
 仮に上海に住んでいたとしても、上海市に戸籍がなければ上海の役所や企業に就職できないし、子供を学校に入れることもできない。都市で働く農村出身者といえば、民工 (建設現場などの出稼ぎ労働者) やメイドなどいくつかの特殊な職種に限られる。
 また、農村の女性が都市の男性と結婚しても都市の戸籍には入れず、生まれた子供の戸籍も農村になる。あるいは、都市間での移住にも制限がある。たとえば大都市から中小都市への戸籍の移動は許されるが、中小都市から大都市への移動は原則的に許されない。国民を都市に集中させないのは、そのほうが公安の戸籍管理がやりやすいからだ。
 農村出身者が正攻法で都市戸籍を取得する唯一の道は、大学に入学することである。大学生の戸籍は大学の所在地に帰属することになるので、これが地方出身者が北京や上海などの大都市の市民権を獲得するにあたっての唯一の抜け道と言える。中国の教育熱が高い理由の一つは、ここにある。


 原則として農村出身者は都市戸籍に入れず、中小都市出身者は大都市の戸籍に入れない。唯一の抜け道は大学に入学することである、と書かれています。



 しかし、この戸籍制度は、徐々に改革されつつあるようです。



Record China」の「13省で「農業戸籍」を撤廃、進む戸籍制度改革―中国」( 2008-12-10 14:02:31 )

2008年12月9日、中国公安部はウェブサイトで、これまで農業戸籍と非農業戸籍に分けられていた戸籍制度を撤廃し、統一した戸籍制度を導入した省レベルの自治体は河北省、遼寧省など13の省・自治区・直轄市に及ぶと発表した。中国新聞網が伝えた。

中国はこれまで農業戸籍と非農業戸籍に分けられ、厳格に管理されてきた。農業戸籍に生まれた者は、都市部への移住を一生許されない。運よく都市部で就業できたとしても、戸籍がないため都市住民と同じ社会保障が受けられず、差別を強いられてきた。政府はこうした格差をなくそうと戸籍制度の改革を推進。現在までに13の省・自治区・直轄市に及んだ。

公安部はこのほか、不動産を購入した都市への戸籍移転を認めるなど7項目の改革措置を徐々に追加し、流動人口に対する治安管理や権利保護などを強化する方針を示した。(翻訳・編集/NN)


 13 の省・自治区・直轄市において戸籍制度が改革され、「これまで農業戸籍と非農業戸籍に分けられていた戸籍制度を撤廃し、統一した戸籍制度を導入した」と報じられています。



Record China」の「中国13紙が異例の共同社説、戸籍制度改革求め人権宣言」( 2010-03-02 19:19:06 )

2010年3月2日、中国各地の新聞13紙が、異例の共同社説を一斉に掲載し、近く開会する全国人民代表大会と全国政治協商会議(両会)の代議員に対し、職権を行使して戸籍制度改革を迅速に実現するよう呼び掛けた。2日付シンガポール紙・聯合早報が伝えた。

中国の戸籍制度は、国民を都市部と農村部の2種類に分けて登録させる。一種の身分制度で両者は固定され、農村部から都市部へは簡単には移せない。起源は建国直後の1951年にさかのぼり、近年は改革を求める声も強い。13紙は代議員に対し、戸籍改革のタイムスケジュールを出すよう職権を行使して中国の行政府に促せと主張している。

社説は「わが億万の国民が地域の南北、都市農村の区別なく、就職・医療・養老・教育・自由な移転の権利を与えられるよう望む。数十年にわたる悪政はわれらの世代で終わらせてもらいたい。後の世代には憲法が保障した自由、民主、平等の神聖な権利を与えよ」とした。

社説は、「経済観察報」から始まり、11の省・自治区・直轄市で順次転載された。新聞13紙の他、新浪網、鳳凰網、経済観察網などネットメディアも転載した。(翻訳/編集 東亜通信)


 中国各地の新聞各社が「戸籍制度改革を迅速に実現するよう呼び掛けた」。それをネットメディアも転載した、と報じられています。



 とすれば、改革が進むとともに、中国内陸部の人が沿海部の都市で働く際にも、職種が限られなくなると考えられます。また、公共サービスも (もともとの) 都市住民と同様のサービスが受けられるようになるものと考えられます。

 このような改革が「なぜ、なされたのか」を考えると、

 (本の) 著者が述べているように、これまでの制度で「国民を都市に集中させないのは、そのほうが公安の戸籍管理がやりやすいからだ。」とすれば、電子化 (コンピュータ化) などによって、国民が都市に集中した場合であっても、公安の戸籍管理に問題がなくなったからではないか、とも考えられます。

 しかし、たんにそれのみにはとどまらず、海外からの批判や、さらには、

   内陸部の経済発展がなかなか進まないので、
     移動の自由を与えることで、その代わりにする

という側面も、戸籍制度改革の原因として作用しているのではないかと考えられます。



 この戸籍制度改革は重要です。

 なぜなら、中国崩壊論 (分裂論) の主要な論拠のひとつが、中国内陸部と沿海部の経済格差にあるからです。つまり、内陸部の経済発展が難しいので、内陸部の経済発展は遅々として進まないはずだ。現に経済格差はどんどん開いていっている。したがって民衆の不満が暴発し、中国は崩壊 (分裂) する、という予測がなされているのですが、

 戸籍制度改革により、誰でも都市に引っ越してよい。誰でも (生まれながらの) 都市住民と同等の扱いを受けられる、ということになれば、内陸部が経済発展しないことは、暴動の原因にならない、すくなくとも原因になりづらい、ということになります。

 もちろん、この制度改革によって大都市部におけるホワイトカラー賃金が下落するなど、(生まれながらの) 都市住民にとっての「マイナス」も発生すると予想されますが、全体としては、中国において暴動が発生しづらくなる方向へと、改革が進んでいるものと考えてよいと思います。



 したがって、この観点でみた場合にも、中国は崩壊・分裂しないと予想されます。
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