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総供給曲線は長期で垂直、短期で右上がり

2011-08-22 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.380 )

 長期における財・サービスの供給量を決定するものは何だろうか。これまでの章で経済成長の過程を分析した際に、すでにこの疑問には暗黙のうちに答えている。長期においては、経済の財・サービスの生産(経済の実質GDP)は、資本と労働と天然資源の供給と、これらの生産要素を財・サービスに変換する利用可能な技術に依存する。物価水準はこうした実質GDPの長期の決定要因には影響を及ぼさないので、図12-4に示されるように長期の総供給曲線は垂直である。言い換えると、長期においては、経済の資本と労働と天然資源と技術が財・サービスの総供給量を決定する。そして、物価水準に何が起こってもこの供給量は変化しない。
 垂直な長期の総供給曲線は、本質的には、まさに古典派の二分法と貨幣の中立性の応用である。第11章の補論で説明しているように、古典派のマクロ経済理論は、実質変数が名目変数に依存しないという仮定に依存する。長期の総供給曲線は、産出量(実質変数)が物価水準(名目変数)に依存しないことを意味するので、この考え方と整合的である。先に注意したように、ほとんどの経済学者は、数年以上にわたる経済を研究するときにのみこの原理は機能し、毎年の変化を研究するのには役に立たないと考えている。したがって、総供給曲線は長期においてのみ垂直である。
 長期の総供給曲線が垂直であるのに、なぜ特定の財・サービスの供給曲線は右上がりなのかと疑問に思う人がいるかもしれない。その理由は、特定の財・サービスの供給は相対価格、すなわち経済の他の財・サービスの価格と比較したときのその財・サービスの価格に依存するからである。たとえば、アイスクリーム以外の価格が変わらないときに、アイスクリームの価格が上昇すると、アイスクリームの供給者は、フローズン・ヨーグルトのような他の財の生産から労働や牛乳、チョコレートなどの投入物を移してきて、アイスクリームの生産を増加させる。一方、経済全体の財・サービスの生産は、資本、労働、天然資源、技術によって限定される。したがって、経済のすべての財・サービスの価格が一緒に上昇するときには、財・サービスの総供給量は変化しない。


 長期の総供給曲線は垂直である、と書かれています。



★図12-3 長期の総供給曲線

 物価水準
   *    長期の総供給曲線     
   *    x         
   *    x       
   *    x         
P1 *・・・・・・・・x        
   *    x       
   *    x      
   *    x     
P2 *・・・・・・・・x    
   *    x   
   *    x  
   *    x  
   *    x  
   ****************************
  0   自然産出量水準   産出量



 これは認めてよいと思われます。

 次に、短期の総供給曲線について説明されている部分を引用します。



同 ( p.385 )

 さて、短期と長期における経済の重要な相違、すなわち総供給の動きに移ろう。すでに議論してきたように、長期の総供給曲線は垂直である。一方、図12-6に示されるように、短期の総供給曲線は右上がりである。すなわち、1~2年程度の期間では、一般物価水準の上昇は財・サービスの供給量を増加させる傾向にある。逆に、一般物価水準の下落は、財・サービスの供給量を減少させる傾向にある。
 物価水準と産出量の正の関係を生み出す原因は何だろうか。マクロ経済学者は短期の総供給曲線が右上がりである理由について、三つの理論を提示してきた。どの理論も、経済の供給側の行動が短期と長期とで異なる原因として、ある特定の市場の不完全性をあげている。以下に紹介する理論は、詳細においては異なるが、共通のテーマをもっている。それは、物価水準が人々の期待する物価水準から乖離すると、供給量は長期的水準、あるいは「自然」水準から乖離する、というものである。物価水準が期待水準を超えて上昇すると、産出量は自然水準を超えて増加する。物価水準が期待水準を下回って下落すると、産出量は自然水準を下回って減少する。

 硬直賃金理論 右上がりの短期の総供給曲線についての最初の、そして、最も簡単な説明は、硬直賃金理論である。この理論によれば、名目賃金は短期においてはゆっくりと調整される。すなわち「硬直的」であるために、短期の総供給曲線は右上がりになる。名目賃金の調整が遅い理由は、労働者と企業の間で名目賃金を決める契約が時には3年に及ぶ長期契約になることである程度説明される。さらに、調整が遅い原因としては、社会的規範や公正の概念が賃金設定に影響を及ぼし、時間を通じてゆっくりと賃金を変化させることもあげられるかもしれない。
 硬直的名目賃金が総供給にとってどのような意味をもつかをみるために、労働者に対して期待物価水準に基づく名目賃金を支払うことに、企業があらかじめ同意しているとしよう。もし物価水準Pが期待水準を下回って下落し、名目賃金がWで固定されたままであれば、実質賃金W/Pは企業が計画した支払水準を上回る。賃金は企業の生産費用の大部分を占めるので、実質賃金の上昇は、企業の実質費用が上昇することを意味する。企業は費用の上昇に対応するため、雇用労働者を減少させて、財・サービスの生産量を減少させる。言い換えれば、賃金は物価水準の変化に対して即座に調整されないために、物価水準が下落すると雇用と生産の利潤が減少し、企業は財・サービスの供給量を減少させる。


 短期の総供給曲線は右上がりである、と書かれています。



★図12-6 短期の総供給曲線

 物価水準
   *    
   *      短期の総供給曲線
   *          xx 
   *         xx  
P1 *・・・・・・・・・・・・・・・・xx   
   *       xx:   
   *      xx :  
   *     xx  :  
P2 *・・・・・・・・xx   :
   *   xx:   :
   *  xx :   :
   * xx  :   :
   *    :   :
   ****************************
  0     Y2   Y1  産出量



 著者によれば、実質賃金が上昇すれば、企業は雇用を減らして財・サービスの生産量を減少させるということになります。企業は賃金を下げにくいので雇用を減らすというのですが、賃金を下げるよりも解雇はもっと難しい気がします。しかし、パートなど、比較的短期間の雇用が存在することや、新規採用の抑制等をも含めて考えれば、たしかにこのような説明も成り立つのかもしれません。

 しかし、説明がどうあれ、短期の総供給曲線が右上がりであることは、データを集めたうえで「観察された事実」であるはずです。著者は明示していませんが、まず間違いなく、「観察された事実」であると考えてよいと思います。

 したがって説明が適切か否かについて、深入りする必要はないと思います。



 なお、引用文中には、なぜ右上がりになるかを説明する「三つの理論」があると書かれていますが、面倒なので「最も簡単な説明」のみを引用しています。必要であれば、直接、本を買ってください。
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