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不祥事の隠蔽、その影響と原因

2009-06-26 | 日記
 不祥事の隠蔽について書いたので (「不祥事とインフォーマル・グループ」) 、それに関連して、( ページを戻って ) 引用します。



荒井一博 『終身雇用制と日本文化』 ( p.98 )

 終身雇用制は優れた機能を有するが、その反面なぜこのような不祥事も引き起こすのかを検討してみたい。かなり詳しく報道されたこれらの不祥事を通して、日本的組織の根本的問題に対する理解を深めることができるように思われる。
 これらの不祥事にまず共通なことは、不正をしたり問題が起こったりしても、内々に処理して外部には何もなかったような振りをしようとする行動である。すなわち口封じまでして、自己の不正や問題を隠蔽するやり方である。また組織内の少数者が、重要な決定を密室で行なってしまうということも、すべてに共通であろう。官庁による密室の指導行政はマスコミで広く批判されている。
 これらの不祥事は、日本の伝統的価値である信頼が、すでにかなり消滅したことを示唆する。

(中略)

 日本は急速に低信頼社会に移行しつつある。低信頼社会では信頼という言葉を発すること自体が虚しい。日本社会の劣化は急激に進行しており、将来を危惧する人が増えている。
 これらの不祥事では、組織内で重要な地位を占める少数の個人(それらの組織の指導者であるべき個人)が、反社会的な行動を意識的ないしは積極的にとったと推察される。彼らはわが国の国際的評価・信用をいちじるしく損ねた。

(中略)

 これらの不祥事は、「一流大学」を卒業するということがどういうことかも明らかにした。積極的にこれらとかかわった者のほとんどは「一流大学」の出身者である。「一流大学」出身者でも有能な指導者でないばかりか、国の名誉や国民全体のことを考えていないことが判明してしまった。この事実は自ずと日本の教育に対する根本的な批判ともなる。わが国の教育を「模範的に」修了した人間は、自己の利益と保身を追求し、わが国全体の利益をいちじるしく低める人間であった。


 終身雇用制は不祥事の隠蔽をもたらす。不祥事の隠蔽は、社会から信頼を消滅させるばかりか、海外からの信頼をも、損ねる、と書かれています。

 それはなぜか。


同 ( p.82 )

 信頼に関して特に注意すべきことは、それがいったん失われると回復することが不可能なことである。これは、人間が考える動物であることと関係する。信頼を破壊する人間は、熟考した後でそうする。信頼を利用された者はそのことを知っているので、信頼の破壊者は二度と信頼を得ることができない。合理主義・個人主義は個人間の信頼を軽視する。しかし、信頼はきわめて重要な財であり、それを破壊する罪は非常に重い。子供の誘拐や偽札造りが重罪になるのは、信頼を破壊するからである。法律に規定されていないが重罪にも値する信頼の破壊行為は無数に存在する。


 不祥事の隠蔽が社会から信頼を消滅させるのは、「信頼を破壊する人間は、熟考した後でそうする」 から、「信頼の破壊者は二度と信頼を得ることができない」 からである。すなわち、一度そのような行為があれば、( その人は ) 次もまた、同じような行為をするだろう、と推測するのが合理的だからである。



 きわめて説得的です。


 しかし、引用部冒頭の、終身雇用制が不祥事を引き起こす、といわんばかりの記述には、疑問があります。なぜなら、( 終身雇用制ではない ) アメリカにおいても、不祥事の隠蔽はみられるからです ( インフォーマル・グループは、終身雇用制でなくても発生します ) 。

 したがって、「不祥事とインフォーマル・グループ」 に述べたように、不祥事の隠蔽は、終身雇用制だからではなく、( 終身雇用制とは無関係に ) 人間が 「正しさ」 や 「社会全体の利益」 あるいは 「組織全体の利益」 よりも、「自己の利益」 を優先するから、発生すると考えるべきです。


 なお、記述の他の部分、すなわち、「不祥事の隠蔽は、社会から信頼を消滅させる」 、「信頼の破壊者は二度と信頼を得ることができない」 などは、まさにその通り、と言ってよいと思います。
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