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「日米同盟:未来のための変革と再編」の要点

2012-10-08 | 日記
孫崎亨 『日米同盟の正体』 ( p.3 )

 二〇〇五年一〇月二九日、日本の外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官は、「日米同盟:未来のための変革と再編」という文書に署名した。日本ではこの文書はさほど注目されてこなかったが、これは日米安保条約にとって代わったものと言っていい。
 何が変わったか。まずは対象の範囲である。
 日米安保条約は第六条で、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」とする極東条項を持っている。あくまで日米安保は極東の安全保障を確保することを目的としている。それが「未来のための変革と再編」では、同盟関係は、「世界における課題に効果的に対処するうえで重要な役割を果たしている」とした。日米の安全保障協力の対象が極東から世界に拡大された。

(中略)

 次に理念面である。ここでは質的に大きな変化をとげている。日米安全保障条約は前文において「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念……を再確認し」、第一条において「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎む」「国際連合を強化することに努力する」として国際連合の役割を重視している。しかし、「未釆のための変革と再編」ではこうした傾向は見られない。代わって出てきたのは、日米共通の戦略である。では日米共通の戦略とは何か。
 われわれは、米国に戦略があることは承知している。しかし、戦後日本に確固たる安全保障戦略があるとは承知していない。日本が米国の戦略に従う以外にいかなる共通の戦略があるのか。春原剛氏は『同盟変貌』(日本経済新聞出版社、二〇〇七年)で、「『同盟関係』と言うが、実態は米国が重要な案件を『一方的に決めているだけ』」という守屋武昌元防衛事務次官の言葉を紹介している。残念ながら、守屋元防衛次官の発言は、今日の日米安全保障体制の本質を極めて的確に表したものと言える。
 日本は、日米共通の戦略で国際的安全保障環境を改善する国際的活動に協力することを約束した。よくよく見ると、現時点ではこれは差し迫る脅威に対抗するものではない。国際的安全保障環境を改善するため、世界を力で米国モデルに変革しようとする理念の実現のためである。イランの核関連施設を排除すること、北朝鮮の政権を打倒すること、アフガニスタンでタリバンを駆逐することを、日米が国際的安全保障環境を改善するものであると認定すれば、理念上日本は米国の軍事行動に協力することになる。
 かつ、日米安全保障の新たな枠組み模索の中で、中心課題の一つが日本による危険の負担である。別の言葉に言い換えれば、自衛隊員に死を覚悟してもらうことである。


 「日米同盟:未来のための変革と再編」によって、日米安保条約は実質的に変更された。変更点は2つ。「対象の範囲」と「理念面」である。対象が極東から世界に拡大され、理念は国連重視から日米共通の戦略へと変更されたのである、と書かれています。



 ここには引用していませんが、著者は本書で、この変更は「好ましくない」ものであると捉えています。

 しかし私は、この変更は「好ましい」ものであると思います。

 まず対象面。いまや、日本の安全保障を考えるにあたって、極東だけを考えていればすむ時代ではないと思います。世界の他地域の問題が日本の安全保障に大きな影響を及ぼしている以上、対象を世界に広げることには、特段の問題はないでしょう。
 また、自衛隊の防衛能力を高めるうえで、他の地域に出ていくことは有益だと思います。「演習」以上の効果を、自衛隊の防衛能力にもたらすはずです。
 そもそも、いわゆる左翼的な思考に則った場合であっても、他国との協調関係によって日本を守ろうとする以上、日本は、危機に陥っている他国を助けなければならないはずです。相手が困っているときには助けないが、自分 (日本) が困っているときには助けてくれ、という主張は、(一般に) 受け入れられないからです。

 次に理念面。日本は米国の戦略に従う以外にない、という点ですが、その根拠は「戦後日本に確固たる安全保障戦略が」なく、「実態は米国が重要な案件を『一方的に決めているだけ』」だという点にあります。
 とすれば、日本が「確固たる安全保障戦略」をもてば、それですむ話だと思います。
 現実問題として、いまの日本には防衛力 (=軍事力) の強化が必要だと思います。したがって、米国が日米安保条約を実質的に変更する「未釆のための変革と再編」を求めてきたことは、日本にとって好都合ではないでしょうか。日本が独自の「安全保障戦略」をもち、それを「日米共通の戦略」に反映させるならば、なんら不都合はありません。

 以上により、私は著者とは異なり、「日米同盟:未来のための変革と再編」を問題視する必要はないと思います。



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