言語空間+備忘録

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日本の「譲歩」は「悪い先例」を作ることになる

2012-11-01 | 日記
日経ビジネスONLINE」の「中国とは絶縁し東南アジアと生きる」( 2012年11月1日 )

 「反日国家」中国とは商売すべきではないと主張、東南アジアに生産拠点を広げてきた経営者がいる。金型・プレス加工を手掛ける伊藤製作所(三重県四日市市)の伊藤澄夫社長だ。中韓と日本が鋭く対立する「新しいアジア」を鈴置高史氏と論じた(司会は田中太郎)。

(中略)

◆「日本企業追い出し」はこれから本格化

――中国に進出してしまった会社はどうすればいいのでしょうか。

伊藤:これから中国で日本車が売れなくなるでしょう。暴徒は日本の量販店を焼き討ちし、日本車に乗っている中国人を暴行しました。もう、中国人は怖くて日本車は買えません。

 日中両国のために早く元の姿に戻って欲しいと思いますが……。中国や韓国と正反対に、東南アジア各国は我々が驚くほどの親日国家です。日本企業にもっと来て欲しいと言ってくれる東南アジアに改めて目を向ける必要があります。

鈴置:中国が日本人と日本企業を敵視し、追い出しも辞さない空気に変わったことに注目すべきです。これまでは日本に言うことを聞かせるために、人質である日本企業を苛めてみせるというのが政府の作戦でした。ですから「イジメ」にも限度があった。

 でも、日本から資本や技術を貰う必要はなくなったと中国人は考え始めました。資本は輸出するほどになりましたし、技術も退職者やネット経由で容易に盗める時代です。

 そして中国に会社が育ったことが大きい。彼らにとって日本企業は邪魔ものです。中国の政府よりも企業が熱心に日本叩きに乗り出すでしょう。

(中略)

◆妥協してびくびくするなら黙って我慢

――日本政府に対し「尖閣」に関し中国政府と対話するよう求める経営者が出始めました。鳩山由紀夫元首相もそうです。話し合えば中国政府が「反日」を止めるとの期待からです。

伊藤:それが一番、危険な道です。「日本人に暴行すれば日本政府は言うことを聞く」という悪い先例を作ってしまう。今後、何か日本から得ようとする時、中国政府は日本企業と日本人を襲撃させることになるでしょう。

鈴置:サラリーマン経営者は目先のこと――自分がトップである4-6年間だけを考えればいい。確かに中国と「話し合い」に入れば瞬間的には日本人への暴行や日本企業打ちこわしは止むかもしれない。

伊藤:しかし、そうすれば中国はいずれ日本人と日本企業、そして日本をもっとひどく苛めるでしょう。中小企業の親父は終身、借入金の保証人となることが求められます。大げさに言えば生きている限り、社員と会社の安全を図らねばいけないのです。

 今、相手の顔色を見て妥協した結果、永い将来に渡ってびくびくせざるをえなくなるのなら、短期的には苦しくても黙って我慢した方がまだいい。

◆「尖閣で対話」は中国のワナ

鈴置:そもそも、下手に「尖閣」での話し合いに応じれば、中国の仕掛けたワナにはまってしまいます。日本人は話せば何らかの妥協ができると無意識に思っている。一方、中国は日本が話し合いに乗ったら、武力を使って「尖閣」を奪取する可能性が高い。

 なぜなら、話し合いに出た瞬間、中国は「日本が中国の領有権も潜在的に認めた」と見なし、軍事力を行使しても世界から非難されなくなる、と考えるからです。

 今まで、中国が武力を使わなかったのは米国が空母打撃部隊を「尖閣」周辺に送って中国を牽制していたことが大きいのです。日中が尖閣を巡り対話し始めた後に米空母が送ろうものなら、中国は「今後は日本と2人で話し合うことになったのだ。第3者はどいていろ」と米軍を追い出すでしょう。

 米国は日本への信頼を、日本は米国への信頼を一気になくしますので、この段階で日米同盟は破綻します。「尖閣」奪取よりもそちらの方が、中国の狙いかもしれません(「『尖閣で中国完勝』と読んだ韓国の誤算」参照)。

――確かに日本人は「話し合いが一番大事」と信じています。だから中国の仕掛けたワナに思わず乗ってしまうのでしょうね。

鈴置: 2005年に日本の国連安保理常任理事国入りを阻止しようと、中国が反日暴動を繰り広げました。直後に中国の金型業界の団体が日本を訪れ、金型工場を見学しようとしました。あの時、伊藤社長の会社を含め、金型メーカーほぼ全社が見学を断りましたね。

◆「殴っても来る」からまた殴られる

伊藤:そのとおりです。金型企業の経営者たちは、見学を受け入れれば日本人への暴行を容認することになると判断したのでしょう。今回の反日暴動だって、2005年にあれだけ日本が攻撃されても日本企業が投資を続けたことが遠因と思います。

鈴置:2005年の反日暴動の後、日本の役人に中国の役人が不思議そうな顔で聞いてきたそうです。「普通、あれだけ殴られれば来なくなるものだが、なぜ、日本人は投資し続けるのか」と。

伊藤:日本人にはプライドや根性がなくなったのでしょうか。私がこういう話をすれば「政治好きな親父だなあ」とか「中小企業のくせに政治を語るとは生意気な」と思われるかもしれません。でも、中小企業だからこそ政治に関心を持たざるを得ないのです。大手のように政府が守ってくれるわけではないのです。

鈴置:危ない国には投資しない。自分が投資していない国で反日暴動が起きても抗議の意思を示す。日本と言う国が軽んじられれば、いずれは自分の身も軽んじられるのだ――。これが、自分の力だけを頼りに生き抜く経営者の発想ですね。

伊藤:ことに今は、政治家も役人も日本全体の利益を考える人が少ないのです。偉そうなことを言うようですが、今、我々、普通の人間が――モノづくりをする人間が――底力を振り絞って日本のために動かないと、この国は立ち枯れてしまいます。

(中略)

 中国で作れば安いから、あるいは中国に市場があるから中国に行く。そのためには中国に新しい技術を持っていく――。これが今までの対中投資ブームの本質でした。

 でも、日本企業は余りに中国に深入りし、その工場は中国の政治的な人質となってしまいました。今や、日本を脅す時の材料にされています。

 尖閣や沖縄、ひいては日本を中国にとられないためには、日本経済が中国市場に頼りきりにならないよう、東南アジアとがっちり手を組む。そして新しい技術を中韓には教えず、彼らに対する優位を保つ――これしかない、と思います。

 日本をおとしめる国々に反撃するには、日本がまだ優位を保つモノづくりを担う人間が立ちあがるべきです。「モノづくりこそ ニッポンの砦」なのです。


 上記引用の要点は、
  1. 日本企業経営者など、一部には、中国との「話し合い」を求める声がある。しかし、中国と「話し合い」をして中国に譲歩すれば、「日本人に暴行すれば日本政府は言うことを聞く」という悪い先例を作ってしまう。今後、中国が日本に政治的譲歩を要求したいとき、中国政府は日本企業と日本人を襲撃させることになる。それを考えれば、短期的には苦しくても黙って我慢した方がまだいい。
  2. そもそも、中国と「話し合い」を始めれば、中国は軍事力を行使する可能性が高い。なぜなら、話し合いに出た瞬間、中国は「日本が中国の領有権も潜在的に認めた」と見なし、軍事力を行使しても世界から非難されなくなる、と考えるからである。さらに悪いことに、その際、米軍が動きづらくなる。
  3. 今後を考えれば、日本経済が中国市場に頼りきりにならないよう、東南アジアとがっちり手を組む。そして新しい技術を中韓には教えず、彼らに対する優位を保つ。これしかない。
です。



 まず一点目。

 日本の「譲歩」は「悪い先例」を作ることになる、という見解についてですが、

 これはまったくその通りだと思います。中国のデモには「官製デモ」の要素が強いことを考えれば、中国政府は「かけひき」の手段として、デモ・暴動を利用しているといってよいと思います。それはすなわち、「困るのが嫌なら、言うことをきけ!」という、遠回しな脅しだといえるでしょう。

 とすれば、ここで日本政府が政治的譲歩をすれば、今後、何かあるたびに中国は「官製デモ」を仕掛け、暴動を発生させて日本に譲歩を要求するようになると予想されます。なぜなら、中国側は、それが日本の政治的譲歩を勝ち取る「効果的な手段」だと思ってしまうからです。(すでに思っている可能性も高いのですが)

 デモ・暴動によって日本企業が損害を受けたとはいえ、中国側も損害を被っています。たとえば日本企業に雇用されている中国人や、日本企業と取引をしている中国企業にとって、今回のようなデモ・暴動が続けば大損害です。中国側(中国人)も困っているのです。とすれば、なにも日本側が「一方的に」譲歩する必要はありません。

 経団連の会長は日本政府に対し、中国への譲歩を要求しているように思われますが、

 日本全体の利益、および企業自体の長期的利益を考えれば、ここは日本企業が「我慢」すべきところではないかと思います。



 次に二点目。

 日本が中国と「話し合い」を始めれば中国は軍事力を行使する可能性が高い、という見解についてですが、

 私は、その可能性は低いと思います。

 なぜなら、「話し合い」を始めることが「日本が中国の領有権も潜在的に認めた」ということになりうることはともかくとして (これは話し合いの内容によるでしょう) 、それを肯定しても、中国が「軍事力を行使しても世界から非難されなくなる」ということにはならないからです。

 今の状況を端的に言うと、「先に手を出したほうが負け」だと思います。「先に軍事力を行使したほうが負け」であり、世界から非難されます。

 もし日本が先に軍事力を行使すれば、米国は日本を助けてくれないでしょう。つまり日本は中国に負けます。

 しかし、逆に中国が先に軍事力を行使すれば、米国は戦況次第では、日米同盟に基づいて日本防衛の義務を果たそうとするでしょう。つまり中国は日本(および米国)に負けます。

 中国もそれがわかっているからこそ、尖閣周辺に出没するばかりで、直接、軍事力を行使してこないわけです。

 したがって日本が中国と「話し合い」を始めても、中国は軍事力を行使してこないと思います。



 最後に三点目。

 日本経済が中国市場に頼りきりにならないよう、東南アジアとがっちり手を組む。そして新しい技術を中韓には教えず、彼らに対する優位を保つ、という見解については、

 まさにその通りで、とくに何もつけ足すことはありません。これに異論を唱える人は、おそらくいないと思います。

 今後は日中関係がどうあれ、日本企業の東南アジア進出が加速すると思います。したがって中国から撤退しようがしまいが、日本企業の対中依存度は下がっていくでしょう。

 したがって、放っておいてもこの方向に向かうと思います。



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