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財政赤字(黒字)が利子率・投資に及ぼす影響

2011-08-09 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.332 )

 財政収支均衡を達成していた政府が、減税か政府支出の増加によって財政赤字になりはじめたとしよう。このような財政赤字の影響は、図11-4に示されているように、貸付資金市場における3段階アプローチで分析することができる。第1に、政府の財政が赤字になりはじめると、どちらの曲線がシフトするだろうか。国民貯蓄、すなわち貸付資金供給の源泉は、民間貯蓄と政府貯蓄で構成されていることを思い出そう。財政収支の変化は、政府貯蓄の変化を意味し、したがって、貸付資金供給の変化を意味する。財政赤字は、家計や企業がそれぞれの所与の利子率の下で投資資金として借り入れたい量に影響を与えないので、貸付資金需要曲線は変化しない。
 第2に、供給曲線はどちらの方向にシフトするだろうか。財政赤字が発生すると、政府貯蓄はマイナスになり、そのため国民貯蓄が減少する。言い換えれば、政府が財政赤字を埋め合わせるために資金を借り入れると、家計や企業の投資に利用可能な貸付資金供給が減少する。したがって、財政赤字は、図11-4に示されるように、貸付資金供給曲線をS1からS2へと左方にシフトさせる。
 第3に、元の均衡点と新しい均衡点を比較しよう。この図では、財政赤字によって貸付資金供給が減少すると、利子率は5%から6%に上昇する。利子率の上昇は、貸付資金市場に参加している家計と企業の行動に変化をもたらす。貸付資金の多くの需要者は、利子率の上昇によって投資意欲を失う。その結果、家を建てる人の数も新しい工場を建てようとする企業の数も減少する。このように、政府の借入れによって投資が減少することを、クラウディング・アウトと呼ぶ。この図では、クラウディング・アウトは、需要曲線上の移動によって投資が1兆2000億ドルから8000億ドルに減少する形で表されている。すなわち、政府が財政赤字を穴埋めするために借入れを行うと、投資をするために借入れを行おうとする民間部門が押しのけられるのである。
 したがって、財政赤字に関する最も基本的な教訓は、貸付資金の需要と供給への影響から直接導かれる。すなわち、政府が財政赤字を発生させて国民貯蓄を減少させると、利子率は上昇し、投資は減少する。投資は、長期的な経済成長にとって重要なものなので、政府の財政赤字は、経済の成長率を低下させる。
 財政黒字は、財政赤字とはちょうど逆の効果をもつ。政府が支出する以上の税収を集めると、政府は、未払い債務の一部を償還してその差額を貯蓄する。この政府の財政黒字(あるいは政府貯蓄)は、国民貯蓄に寄与する。したがって、財政黒字は、貸付資金供給を増加させて利子率を低下させ、投資を刺激する。投資の増加は、より大きな資本蓄積とより速い経済成長を意味する。


 政府の財政赤字は利子率の上昇と投資の減少をもたらし、財政黒字は利子率の低下と投資の増加をもたらす、と書かれています。



 著者の主張が正しいことは、引用文中の図11-4を見ればあきらかだと思います。



★図11-4 政府の財政赤字の影響

 利子率(%)
   *        S2
   * xx     xx   
   *  xx   xx   供給(S1)
   *   xx xx   xx   
  6 *・・・・・・・・xx   xx    
   *   xx:xx xx     
  5 *・・・・xx・・:・・xx      
   * xx  :xx:xx     
   *    xx : xx    
   *   xx: :  xx   
   *  xx : :   xx  
   * xx  : :    xx 
   *    : :    需要
   ****************************
  0     800 1200   貸付資金(10億ドル)



 さて、上記は一般論です。いま、ここでデフレ経済について考えれば、デフレ経済下では資金需要は「ほとんどない」と考えられるので、上図は次のようになると思います(需要曲線の形を変えています)。



 利子率(%)
   *        S2
   *x       xx   
   *x      xx   供給(S1)
   * x    xx   xx   
   * x   xx   xx    
   * x  xx   xx     
   * x xx   xx      
  2 *・・xx   xx       
   *xx:x  xx        
   * : x xx         
  1 *・・・・xx          
   * xx:x     
   * : :x需要
   ****************************
  0 100 200       貸付資金(10億ドル)



 要は、デフレ経済では、需要曲線の位置が変わり、かつ、傾斜が大きくなるために、

   利子率は
     絶対値ではわずかしか上昇しないが、
     比率でみれば大きく上昇し、

   貸付資金量は、
     絶対値でみて、わずかしか減少しない

と考えられます。つまり、デフレのときには、クラウディング・アウトが起きたところで「貸付資金量」も「金利」も「ほとんど変わらない(絶対値)」ということです。したがって、デフレのときにはクラウディング・アウトなど気にせず、減税や公共投資を行ってよいと考えられます。

 もっとも、国債発行残高が巨額であれば、「絶対値でみて、わずかな金利の増加」であっても、「比率でみて、大きく上昇する」ことから、国家財政に与える影響は大きいのではないかと考えられます。



 上記を(現在の)日本にあてはめれば、デフレのときには「クラウディング・アウトなど気にせず、減税や公共投資を行ってよい」はずが、すでに国債を発行しまくっているので「そうとも言い切れない」ということになるのではないかと思います。



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