言語空間+備忘録

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石油枯渇対策としての採鉱ロボット開発

2010-12-07 | 日記
兵頭二十八 『「自衛隊」無人化計画』 ( p.110 )

 石炭は、液化したり、あるいはガスとして燃料に利用することも可能な地下資源です。地球全体での埋蔵量が原油とくらべて圧倒的に多い。当分は枯渇の心配がありません。
 しかも、特定の国に偏らずに存在しています。「禁輸」の脅しがきかない戦略物資だといえるでしょう。
 やがて主要な原油資源が枯渇しかかれば、世界の石油価格は暴騰し、ふたたび石炭が燃料資源として見直されるはずです。その頃には、安価な脱硫技術もいっそう普及していることでしょう。
 エネルギー安全保障上、非常時のバックアップ・エネルギーとして、国内炭を幾らかは利用できるようにしておくのは、やはり心強いことでしょう。とくに北海道のような土地で暖房用のエネルギー供給が途絶することは、住民の死活問題ですからね。
 石炭燃料には、石油以上に二酸化炭素を出すという環境政治上の短所 (じつは二酸化炭素は地球に何の害も為さないのだとする説得力のある反論もありますが) の他に、輸送コストの不利があります。
 液化やガス化や練炭 (れんたん) 化などの形状加工をしないままでは容積が嵩み (かさみ) 、どうしても、末端価格で液体燃料に太刀打ちできません (輸送のためにまた大気汚染が昂進することになります) 。
 また、採掘をする段階で人件費が非常にかかるという宿命的な経営経済上のデメリットがあります。多くの炭鉱会社経営者に店じまいを決心させたのも、ここが大きかったのでしょう。
 これがもし原油の採掘ならば、油井のパイプを地中深くに差し込んで液体を吸い上げるだけで、省力的この上ないのですが、石炭は、生身の人間が坑道に入って採掘機械の操作を続けねばなりません。
 この生身の人間を、落盤や坑内爆発などの事故から守るためには、多額の安全設備投資が必要でした。地下数百メートルの穴の中で、どんな人身事故も起きないようにしなければならなかったのです。
 外国ですと、縦坑の深さが地下一〇〇〇メートル以上になるところもあります。大勢の坑夫がエレベーターやトロッコで切り端 (きりは) と地上の間を往復するだけで、毎日一時間以上かかってしまうでしょう。採掘会社として、労災補償の大きな負担も見込んでおく責任も生じるのです。
 オーストラリアの炭鉱は、露天掘りができる優良炭鉱のようです。そのため、安全設備や労災のための出費も大幅に節約できます。オーストラリアからはるばるバラ積み船で石炭を輸入したほうが、九州や北海道で石炭を掘って地元で売るよりも安くなってしまうのですから、安全コストの大きさが分かるというものです。
 船載で輸入されるオーストラリア炭が、国産炭よりもカロリーが高くて、しかも安価という事情は、世界最大の石炭消費国である中華人民共和国の沿岸部においても、わが国と同様です。
 しかし、彼 (か) の国の内陸部には、無数の「郷鎮(ごうちん)炭鉱」も、しぶとく生き残っています。「郷鎮」とは、「オラが村」といった意味で、質の悪い石炭を各家庭の炊事や暖房などのために「地産地消」する限りにおいては、輸送流通コストの問題は小さく、また彼の国の特殊事情として、経営者 (しばしば地元の共産党ボスと同一) は、落盤事故や坑内火災などを、さほど気にかけなくて済むようです。
 これからの日本では、石炭の「地産地消」は可能でしょうか? 北海道と九州には、豪州炭とのコスト競争に勝てずに出炭を停止した大きなヤマが集中しています。
 冬の暖かい九州では分かりませんが、一年の半分近くで暖房用の灯油を燃やしている北海道の家庭なら、生産と流通のコスト次第では、平時から需要があるかもしれません。
 もし、地下深くで作業する坑内労働者を、安価なロボットで完全に置き換えることができたなら、北海道での採炭業は、地元で採算のとれるビジネスとなるでしょう。

(中略)

 ロボットには、新鮮な空気など不要です。シフト明けにいちいちエレベーターで地上まで帰ってくる必要もありません。落盤で埋没しても、仲間がまた掘り出してくれるまで、土の中でじっと待っていることができます。
 この場合、オペレーターである生身の採掘会社員たちは、ほとんど地上で勤務していればよいので、閉山前のようには、会社が安全のための大きなコストを負担することもないでしょう。
 もしこのようなロボットが量産できるようになったら、九州や本州の廃坑だって、いつでもまた、非常時用の出炭ができるようにもなるわけです。


 エネルギー問題の解決策は、ロボットによる石炭採掘である、と書かれています。



 この主張、説得力があると思います。



 まもなく石油が枯渇する、という話があります。

 もちろん反対意見として、石油はなくならない (石油は無限にある) という説もあるのですが、一般的には、石油はなくなる (石油は有限である) と考えられているようです。

 そこで現在、石油がなくなったときに備え、対策が打ち出されつつあります。電気自動車などは、その一例です。

 しかし、電気自動車が普及し、自動車がすべて電気で走るようになれば、それで問題は解決するのでしょうか? ちがいます。飛行機はどうやって飛ぶのでしょうか? まさか電気飛行機なんてことはないですよね。電気では、出力が小さすぎるでしょう。また、プラスチックなどの石油化学製品はどうでしょうか? 原料の石油がなくなれば、それらは作れなくなるでしょう。

 もちろん、石油がなくなるとはいっても (石油は有限であるという説を前提とした場合であっても) 、急に、石油の量が「ゼロになる」のではありません。したがって自動車など、石油消費量の多い分野で石油を使わなくなれば、石油が「長持ちする」とはいえるのですが、そうはいってもやはり、石油がなくなった場合に備えた対策が必要であることには変わりありません。



 一般的には、太陽光発電などの「新エネルギー」が注目されているようです。しかしエネルギー効率を考えると、それらが石油の代わりになるのは難しいのではないかと思われます。

 おそらく現実問題として、石炭に注目せざるを得ないのではないでしょうか。石炭には環境の点で問題はありますが、石炭以外に有効なエネルギー源がなければ環境問題をクリアする技術が開発されるでしょう。石炭の問題点を解消することこそが、もっとも現実的な石油枯渇対策ではないかと思います。

 すくなくとも、石炭が有効な石油枯渇対策であることは間違いないと思います。



 とすると、なぜ日本の炭鉱は閉山せざるを得なかったのかが問題になります。著者の述べているように「価格競争力」が原因であるとすれば、その問題をクリアすればよいのです。そしてその方法が、「ロボット化」だと思います。著者の主張は、正鵠を得ているのではないでしょうか。

 ロボットであれば、毎日、地上と地下 (採掘現場) を往復する必要もなく、作業効率が大幅に改善されます。また、安全設備も不要となり、この面でも、価格競争力の向上が期待されます。

 採鉱ロボットが実用化されれば、夕張市も、日本経済を支え、日本人の暮らしを守る重要な役割を再び、引き受けることができます。もちろん、他の炭鉱 (の所在地) についても同様です。



 採鉱ロボットの開発には、膨大な費用がかかると思われます。そこで、国費によるロボット開発 (当面の目的は安全保障用=自衛隊用) の成果を転用すればよい、というのが著者の主張です。私もこのアイデア、いけるのではないかと思います。



■関連記事
 電気自動車について、「電気自動車がもたらす日本の未来」に、
 中国における炭鉱の状況について、「石炭による環境汚染」に記載しています。
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