言語空間+備忘録

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規制緩和の第一次的効果

2009-08-29 | 日記
内橋克人とグループ2001 『規制緩和という悪夢』 ( p.20 )

 一九九四年六月二十一日、円がついにニューヨークで百円をわった。それに呼応するかのように、翌日、アメリカ大使館は「規制緩和の推進」を日本政府に強く要望する異例の声明を発表した。
 ――日本でも欧米なみの、生活者、消費者が重視される社会をつくっていきたい――
 そう国民に公言して、当時首相だった細川護熙が、経済界、官界、労働界、学界、マスコミから選りすぐりの人材を集め、首相の私的諮問機関「経済改革研究会」を組織したのは九三年八月のことである。研究会は座長・平岩外四(経団連会長=当時)の名をとって平岩研究会と呼ばれる。
 三ヵ月後、日本の "ベスト・アンド・ブライテスト" が「消費者重視の社会を」という首相の問いかけの答えとして出したのが「大胆な規制緩和の必要性」だった。

(中略)

 たとえば、「細川首相のたっての希望で」(田中秀征)平岩研究会のメンバーに迎え入れられた経済学者の中谷巌(一橋大学商学部教授)は自著『経済改革のビジョン』(東洋経済新報社)の中で次のように書く。
 ――大胆な規制緩和が実行されるとすれば、日本の物価と欧米諸国との物価の格差が大幅に縮まることになる。たとえば、半分に縮まったとして、約四十三・二兆円分が消費者の実質購買力の増加につながる。この新たな需要めがけて、これまで存在していなかったニュービジネスが生まれることになる。このニュービジネスが新たな雇用を生み出し、非効率産業で生まれた失業者を吸収していく。――
 だが、本当に規制緩和によって、
一、物の値段が下がり、
二、消費者の実質的な所得が上昇し、
三、消費者の新たな欲望が生まれ、その欲望を満たす新産業が生まれ、
四、雇用は増大するのだろうか?
 平岩研究会のあるメンバーは規制緩和を「日本経済の壮大な実験」と評した。


 規制緩和の目的が、物価を下げることだった、と書かれています。より正確には、規制緩和→物価下落→実質的購買力上昇→新産業の発生→雇用増大、という流れ図が想定されていた、と書かれています。



 物価は、たしかに下落しました。いまも、デフレが進行しています。また、物価の下落によって、実質的な購買力も上昇しました ( といってよいと思います ) 。

 しかし、新産業が生まれ、雇用が増大したといえるか、が問題です。新産業として生まれたのは、主として、労働者派遣業などではないかと思います。これは労働者に対して、従前の仕事を、以前よりも安い賃金で働かせているにすぎず、とてもではありませんが、雇用が増える新産業とはいえません。また、「今後の雇用情勢 ( 予想 )」 でみたように、たしかに非正規労働者は増えましたが、これは上記、労働者派遣業を介した雇用であり、規制緩和が本来、想定していた雇用ではありません。



 問題は、( 本来の ) 新産業が生まれてこないところにあります。新産業が生まれれば、すべての問題は消えてなくなるのですが、なかなか、新産業が生まれない。「実験」 は失敗だったのかもしれません。

 新産業が生まれればよいのですから、規制緩和は失敗だった、とは言い切れない。けれども、「万一、このまま新産業が生まれなかったときには、どうすべきか」 を考えなければなりません。これはおそらく、「再び規制するほかないのではないか」 と思います。規制緩和によって物の値段が下がり、デフレになったのですから、再び規制すれば、物の値段が上がり、デフレが終わる可能性があります ( デフレが終わるとはかぎりません ) 。

 私は、再び規制しても元には戻らないと思いますが、実際どうなるか、試してみないことにはわかりません。再規制も、一考の余地があるのかもしれません。
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