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外部性と市場の非効率性

2011-07-25 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.196 )

 まず第6章で学んだ厚生経済学に関する重要な教訓を思い出そう。分析を具体的にするため、アルミニウム市場という特定の市場を考察対象とする。図7-1は、アルミニウム市場の需要曲線と供給曲線を示している。

(中略)

 政府の介入がない場合には、アルミニウムの価格はアルミニウムの需要と供給が釣り合うように調整される。市場均衡における生産量と消費量は、図7-1のQmarketで表され、生産者余剰と消費者余剰の合計を最大にするという意味で効率的である。すなわち、市場における資源配分は、アルミニウムを購入・使用する消費者にとっての総価値から、アルミニウムを製造・販売する生産者の総費用を差し引いたものを最大化する。


 引用文中の図7-1を示します。



★図7-1 アルミニウムの市場

 価格
   *           供給(私的費用)
   * xx         xx 
   *  xx       xx  
   *   xx     xx   
   *    xx   xx    
   *     xx xx     
   *      xx      
   *     xx:xx     
   *    xx : xx    
   *   xx  :  xx   
   *  xx   :   xx  
   * xx    :    xx 
   *      :    需要(私的価値)
   ****************************
  0       Qmarket   量



同 ( p.197 )

 さて、アルミニウム工場が汚染物を排出しているとしよう。アルミニウムが1単位生産されるごとに、ある一定量の煙が大気中に流れ込んでいく。この煙は、その空気を吸う人の健康に危害を及ぼす可能性があるので負の外部性となる。この外部性は市場の成果の効率性にどのような影響を与えるだろうか。
 外部性がある場合には、アルミニウムの生産に要する社会にとっての費用は、アルミニウム生産者の費用よりも大きい。アルミニウム1単位の生産に要する社会的費用は、アルミニウム生産者の私的費用に加えて、汚染の悪影響を受ける周囲の人々の費用を含む。図7-2はアルミニウムの生産に要する社会的費用を示している。社会的費用曲線は、アルミニウム生産者が社会に負わせる外部費用が入るため、供給曲線よりも上方に位置する。この二つの曲線の差は排出される汚染の費用を表している。
 アルミニウムの生産量はどのようになるだろうか。この問題に答えるために、もう一度、博愛的統治者が何をするかを考えてみよう。博愛的統治者は市場から得られる総余剰を最大化したいと考える。すなわち、アルミニウムの消費者にとっての価値からアルミニウムを生産する費用を差し引いたものを最大化することを考えるのである。ただし、博愛的統治者はアルミニウムを生産する費用に汚染の外部費用が含まれることを理解している。
 博愛的統治者は、アルミニウムの生産水準として、需要曲線と社会的費用曲線が交わるところを選ぶだろう。この交点は、社会全体の観点からみたときの最適なアルミニウムの生産量である。これを下回る生産水準では、(需要曲線の高さで測られる)消費者にとってのアルミニウムの価値が、(社会的費用曲線の高さで測られる)アルミニウムの社会的生産費用を上回る。また、博愛的統治者はその水準よりも多くアルミニウムを生産しない。そのような水準では、アルミニウムの社会的生産費用の増加分が消費者にとっての価値を上回るからである。
 アルミニウムの均衡生産量Qmarketが社会的に最適な生産量Qoptimumよりも大きいことに注意しよう。こうした非効率性が生じるのは、市場均衡が私的な生産費用のみを反映しているためである。市場均衡では、限界的な消費者にとってのアルミニウムの価値は社会的生産費用を下回る。すなわち、Qmarketにおいて、需要曲線は社会的費用曲線よりも下方に位置する。したがって、アルミニウムの生産と消費を減少させて均衡水準以下にすることは、全体的な経済的福祉を増大させる。
 博愛的統治者はどのようにすればこの最適な結果に到達できるだろうか。一つの方法は、アルミニウムが1トン販売されるごとに、アルミニウム生産者に課税することだろう。アルミニウムへの課税により、アルミニウムの供給曲線は税の大きさの分だけ上方にシフトする。もし大気中に撒き散らされる煙の社会的費用を税が正確に反映するのであれば、新しい供給曲線は社会的費用曲線と一致するだろう。新しい市場均衡では、アルミニウム生産者は社会的に最適な量のアルミニウムを生産する。
 そのような税の活用の仕方を外部性の内部化という。課税によって、市場の買い手と売り手に自らの行動の外部効果を考慮に入れるインセンティブが生まれるからである。つまり、アルミニウム生産者は、外部費用に対して税金を支払わなければならないために、アルミニウムをどれだけ供給するかを決める際に汚染の費用を考慮に入れるだろう。この政策は、経済学の十大原理の一つ、「人々はさまざまなインセンティブに反応する」に基づいている。


 負の外部性の問題は、生産者の私的費用が社会的費用と一致しないために発生する。この問題を解決する1つの方法は、生産者に課税することである、と書かれています。



 文中の図7-2を示します。



★図7-2 汚染と社会的最適

 価格
   *        社会的費用
   * xx     xx   
   *  xx   xx   供給(私的費用)
   *   xx xx   xx   
   *    xx   xx    
   *   xx:xx xx     
   *  xx : xx      
   * xx  :xx:xx     
   *    xx : xx    
   *   xx: :  xx   
   *  xx : :   xx  
   * xx  : :    xx 
   *    : :    需要(私的価値)
   ****************************
  0  Qoptimun Qmarket   量



 ここで著者が述べていることは「あきらか」であり、とくに論じることは何もないと思います。

 なお、「負の外部性」の逆、すなわち「正の外部性」についても同様に考えれば事足ります。引用します。



同 ( p.199 )

 さまざまな活動のなかには、第三者に費用を強いるものもあるが、恩恵を与えるものもある。たとえば、教育を考えてみよう。高い教育を受けた人々は、すべての人に便益を与えるよい政府をつくる。教育の生産性の便益は必ずしも外部性とはならず、教育の消費者はその便益のほとんどを高賃金という形で手に入れることに注意しよう。しかし、もし教育による生産性の便益の一部が波及して他の人々にとって恩恵となれば、この効果も正の外部性と考えられる。
 正の外部性の分析は負の外部性の分析とよく似ている。図7-3に示されるように、需要曲線はその財の社会的価値を表していない。社会的価値は私的な価値よりも大きいので、社会的価値曲線は需要曲線よりも上方に位置する。最適な生産量は、社会的価値曲線と(費用を表す)供給曲線の交点で与えられる。したがって、社会的に最適な生産量は、私的な市場で決まる生産量よりも多い。
 ここでもまた、政府は市場参加者を促して外部性を内部化することにより、市場の失敗を正すことができる。正の外部性の場合の適切な対応は、負の外部性の場合のちょうど逆である。市場均衡を社会的均衡に近づけるためには、正の外部性に補助をすることが必要となる。実際、それはまさに政府がとっている政策であり、教育は公立学校と政府奨学金を通じて手厚く補助されている。


 正の外部性の問題は、消費者の私的価値が社会的価値と一致しないために発生する。この問題を解決する1つの方法は、消費者に補助をすることである、と書かれています。



★図7-3 教育と社会的最適

 価格
   *    xx      供給(私的費用)
   * xx   xx     xx 
   *  xx   xx   xx  
   *   xx   xx xx   
   *    xx   xx    
   *     xx xx:xx   
   *      xx : xx  
   *     xx:xx:  xx 
   *    xx : xx  社会的価値
   *   xx  : :xx   
   *  xx   : : xx  
   * xx    : :  xx 
   *      : :  需要(私的価値)
   ****************************
  0    Qmarket Qoptimum 量



 これも「あきらか」であり、とくに論じることは何もないと思います。



 なお、とくに論じることは何もないにもかかわらず、なぜ私が引用しているかというと、今後、さまざまな問題を考察する際に、今回の内容を前提知識として引用するためです。



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