言語空間+備忘録

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規制について、再考すべき時期にきている

2009-11-14 | 日記
リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.66 )

 なぜ、ガイトナー氏を含む多くの米国の論者が、不良債権処理を進めない限り銀行の貸し渋りが続くと考えているかというと、彼らの発想の大前提に、大きな不良債権を抱えた銀行は前向きの資金供給ができないというもう一つの固定観念があるからである。
 これは一見正しいように見えるが、歴史を見ればそうならなかったケースも実は多々ある。例えばバブル崩壊後の日本の銀行は巨額の不良債権を抱えたが、前述の図11を見ても一九九七年後半~九九年の一八か月を除けば、銀行は貸し出しにかなり積極的であった。
 ということは、銀行は不良債権を抱えたからといって、必ずしも貸し渋るとは限らないということになる。
 同様に米国でも、一九八二年に発生した中南米債務危機は大手米銀の大半が破綻状態に陥るという、今回の危機に匹敵する巨大なシステム危機であったが、そこから同危機が解消されるまでの一〇年間、貸し渋りという言葉はついぞ聞かれなかった。このときも、大半の米銀が巨額の不良債権を抱えていたにもかかわらず、貸し渋りは発生しなかったのである。
 日本で前述の一八か月以降に貸し渋りが発生しなかった理由の一つは、一九九八年三月と九九年三月に実施された政府による資本注入が、不良債権処理よりも貸し出しの維持に向けられていたからである。つまり、九九年三月から竹中ショックまでの当局と邦銀間の「相互理解」は、各行の不良債権処理はその銀行の毎期の業務純益を使って行い、政府による資本投入は貸し出しの維持に向けるということだったのである。
 また米国で、一九八二年八月に中南米債務危機が発生した以降も貸し渋りが発生しなかったのは、当局が不良債権処理を急がせなかったどころか、八〇年代末まで当局は不良債権化していた中南米向け債権をあえて「優良債権」扱いにし、その間に銀行の体力増強を推し進めたからであった。つまり、当時の当局の発想は、まず銀行にお金を貸し出させて収益を稼いでもらい、それで銀行の体力が回復してから不良債権処理を進めさせるというものだったのである。
 実際に当局は、米銀の体力が回復した一九八〇年代末期になってようやく中南米向け債権を「不良債権」扱いとし、そこからブレイディ・ボンドなどを介して処理させたのである。


 貸し渋り解消のために、銀行の不良債権処理を進めるべきである、という見解が主張されるのは、論者に 「大きな不良債権を抱えた銀行は前向きの資金供給ができないというもう一つの固定観念があるからである」 。現実には、バブル崩壊後の邦銀、中南米債務危機当時の米銀は、貸し出しを行っていた、と書かれています。



 銀行が不良債権を抱えたからといって、貸し渋るとは限らない、というのは、その通りだと思います。そもそも銀行は、お金を貸して収益を得ているのであり、貸し渋っていては、収益を稼げません。

 したがって、この部分は正しいと思います。しかし、著者 ( リチャード・クー ) が自説の根拠として、

 「日本で前述の一八か月以降に貸し渋りが発生しなかった理由の一つは、一九九八年三月と九九年三月に実施された政府による資本注入が、不良債権処理よりも貸し出しの維持に向けられていたからである。つまり、九九年三月から竹中ショックまでの当局と邦銀間の「相互理解」は、各行の不良債権処理はその銀行の毎期の業務純益を使って行い、政府による資本投入は貸し出しの維持に向けるということだったのである。」

と書いている部分は、正しくないと思います。これは、貸し出しの 「維持」 の話であり、貸し渋りとは、すこし話がちがいます。



 ところで、中南米債務危機の話が意味しているのは、アメリカが、

   金融システム危機を脱出するために、不良債権を優良債権扱いする 「イカサマ」 を行った、

ということにほかなりません。今回の、米銀に対するストレス・テストもイカサマである、という話もありますが、上記、貸し出し 「維持」 のための資本注入も含め、これらが意味しているのは、

   金融システムの健全性を確保するための規制が、金融システムを破壊している

という現象です。

 規制は不要である、とまでは思いませんが、規制というものについて、( 根源的に ) 再考すべき時期にきているのではないかと思います。
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