言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

中国の対北朝鮮戦略

2011-02-01 | 日記
櫻井よしこ 『異形の大国 中国』 ( p.208 )

 WSJは、ベーカー氏らがイラクからの撤退を尤もらしい理屈で安易に決定し、イラク国民が選んだシーア派主導の内閣を見捨てるなら、「非情なる現実主義の指導者が君臨するロシア、中国、ナイジェリア、ベネズエラ、ボリビア、パキスタン、エジプト、サウジアラビアなどを含む諸国で、米国が支援してきた民主主義勢力は痕跡残さず潰されていく」と警告した。
 ブッシュ大統領がISGの提言を受け取るのは11月第4木曜日の感謝祭のあとである。WSJの指摘するシナリオを米国が採れば、影響はイラク問題にとどまらず日本周辺にも深刻な影を落とす。
 具体的には朝鮮半島における中国の動きである。現在中朝国境には8万人の人民解放軍が配備済みだ。脱北者取締りのためとされているが、8万人は国境警備の警察官ではなく、全員が軍人である。中国政府は中朝国境に至る道路を、戦車の走行に耐えうるように拡幅し整備してきた。国境警備には不似合いな戦車や十分すぎる装備も配備した。加えて8万人の軍隊は少なくともここ1年、渡河訓練をはじめ、まるで北朝鮮に攻め入るかのような激しい訓練を重ねている。中国の目的は明白だ。いざというとき、どの国も介入出来ないほどの短時間で、電光石火の北朝鮮制圧をやってのける態勢を作り、それを維持し続けることだ。そうすることで北朝鮮への睨みもきかせたいのである。

★中国のしたたかな計算

 彼らが気にするのは国際社会への口実と米国の動きだ。中国は其の口実を着々と準備してきた。そのひとつが高句麗論争である。高句麗王朝の領土は現在の北朝鮮領土とほぼ重なる。そこで中国は、高句麗は、昔々、中国の一地方政府だったのだから、今の北朝鮮も中国の一部だと主張するのだ。
 これには韓国も北朝鮮も極めて強く反発しているが、中国は彼らの反発など気にしない。中朝国境にある北朝鮮の霊峰、白頭山を中国は長白山と呼び、中国側から着々と開発を進めつつある。進め方は傍若無人そのもので、日本固有の領土、尖閣諸島周辺海域の天然ガスなどを、いかに日本が抗議しようが、平然と奪い続けるのと同じである。
 中国が準備中のもうひとつの口実は、朝鮮人民軍の分裂と、分裂して生まれる勢力の一派からの支援要請である。北朝鮮の体制崩壊に伴う混乱回避のため、北朝鮮内部から支援を要請されたといえば、国際社会の批判を封じ込むことが出来ると、中国は計算しているのだ。


 中国は北朝鮮を制圧するための準備を、着々と進めている。脱北者取締りを口実として、国境警備の名目で (警官ではなく) 8万人もの軍隊を配備している。国境警備が目的のはずなのに、戦車が通れる道路を造ったり、渡河訓練を行っている。実際に軍隊を動かす(=進軍する)ための口実作りも着々と進んでいる、と書かれています。



 国境警備が目的のはずなのに「おかしな」行動を中国はとっている、というのですから、一応、著者の主張は「正しい」とみてよいと思います。

 引用部分を整理すれば、次のようになります。



一、目的

 中国は北朝鮮を領土に加えたい。または、属国にしたい。

二、手段

 中朝国境に軍隊を駐留させ、いつでも侵略できる態勢を整える。
 そのうえで、時期がくるのを待つ。

三、口実作り

 北朝鮮内部からの支援要請があれば、それが最善である。
 しかし、要請がこないかもしれないので、そのときに備えて、
 もともと北朝鮮は中国の領土だった、と主張しておく。

四 作戦の実施

 侵略の際には、他国の介入を防ぐため、電光石火の制圧を行う。



 上記の結果、中国の立場は次のようになります。

  • 北朝鮮側が中国の言いなりになるなら、それでOK!
  • 言うことをきかなくても、北朝鮮の体制崩壊の際、支援要請があればOK!
  • 支援要請がなくても、いざとなれば侵略の口実はある!


 先日、「中国軍、50年間の租借権をもつ羅津港に進駐」というニュースがありました。中国側の準備は、着々と進んでいるようです。



 このような中国の態度を前提に考えると、「平和のために、日本は軍備をもつべきではない」という発想は、完全に現実から遊離しているといわなければならないと思います。
日本が防衛のために軍隊をもてば、それが脅威となり、近隣諸国の軍拡をもたらす。したがって、日本は軍備を放棄すべきであり、自衛隊は認めるべきではない
などといった主張は、どこか「ずれている」のではないでしょうか。

 善人ばかりの世の中ならよいのですが、現実はそうではありません。いざというとき、自分を守るための手段は用意しておかなければならないと思います。



■関連記事
 「核廃絶は不可能、核の傘は必要
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 米ニューヨーク・タイムズ、... | トップ | 中国は「2012年の台湾統一」... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。