言語空間+備忘録

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中国における労働運動の背景

2010-05-17 | 日記
アレクサンドラ・ハーニー 『中国貧困絶望工場』 ( p.188 )

 韓東方は一九八九年の天安門事件における抗議活動で中心的役割を果たした罪で刑務所送りになった労働運動家である。彼はこう主張する。
「出稼ぎ労働者が権利を主張するようになってきた背景の一つには、他に選択肢がないことが挙げられる。農村部で農地の供給が減少していることは、現在の出稼ぎ労働者には戻れる場所がほとんどなくなっているということを意味する。本当に身の置き所がなくなっているのだ。これが現実である」
 ミシガン大学社会学部のチン・クワン・リー助教授 (労働政治学・抗議活動専攻) も同じ意見である。
「地方は労働者を追い出し、都市部に長期間留まることを強いる巨大な力と化している。一〇年前とは様変わりで、土地を頼りとする考え方は必ずしも一般的ではなくなった。他に道がないので、自らの権利のための闘いに力を入れるようになってきている」


 出稼ぎ労働者が権利を主張するようになった背景の一つとして、帰る場所 (農地) がほとんどなくなっていることが挙げられる、と書かれています。



 「中国人労働者の意識変化」でみたように、中国では、労働者が権利意識を強め、自らの待遇改善に向けた行動を強め始めています。ここでは、その原因の 1 つとして、彼らには、「帰る場所がない」ことが挙げられています。



 「農地の供給が減少している」という部分、すこしわかりづらいですが、これはおそらく、中国における砂漠化と無関係ではないと思います。

 中国では、たとえば北京とゴビ砂漠のあいだに広がる草原地帯を、農地にすべく開墾しています。ところが、耕作すれば、土地表面の草は剥ぎ取られて ( はぎとられて ) しまいます。その結果、

   今までは風が吹いても ( 草によって ) 土が守られていたのに、
   今では、風によって表面の土が吹き飛ばされてしまう

現象が発生しています。表面の土が吹き飛ばされると、その下にある砂が剥き出し ( むきだし ) になり、あたり一帯が砂漠になってしまうのです。



 砂漠では、当然、農耕は不可能です。さらに、砂漠化が進めば、これまでの農地 ( 新たに開墾した土地ではなく、昔からの農地 ) での耕作も、不可能になります。



 「農地の供給が減少している」理由は、砂漠化以外にもあるとは思いますが、たとえばこのようなプロセスによって、出稼ぎ労働者には、「帰る場所がない」状況になっている。そこで、彼らにとって、工場等での労働条件を改善することが、死活問題になっているのだと考えられます。

 当然、彼らにとって、生死を賭けた闘いになっているわけで、

「中国当局が『ある一線を越えた活動家には、嫌がらせをしたり、逮捕したり、刑務所にぶち込んだりする』にもかかわらず、抗議活動やストライキ、雇用主に対する訴訟を起こし始めている」(「中国人労働者の意識変化」)

事情も、理解できます。



 このように考えれば、当局の弾圧にもかかわらず、中国における労働条件の改善は、進むものと予想されます。不況によって、労働需要が減少することがあっても、長期的にみて、この流れ ( 労働条件改善の流れ ) は止まらないと考えてよいと思います。
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