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医師会の調査によれば、医療保険は黒字

2009-10-16 | 日記
紺谷典子 『平成経済20年史』 ( p.340 )

 政府はなにかにつけて、少子高齢化を理由に社会保障予算を削ろうとする。そのために、財政危機を演出する。年金だけでなく医療もそうである。医療保険の財政危機もずっと以前から、声高に叫ばれてきた。
 大企業を中心とした組合健康保険も赤字、中小企業のための政府管掌健康保険も赤字、自営業やリタイアした人を中心とする国民健康保険も赤字だと、国民は思い込まされてきた。
 ところが、ここにからくりがある。組合健保も政管健保も毎年赤字と発表されるが、これは全体ではなく、赤字の部分だけを発表しているのだという。このことは、もう8年も前に医師会が調べて、その嘘を暴いている。
 データが古いが、平成9年度の組合健保収支は前年見込みで500億円程度の赤字と発表されたが、実際の決算では17億円の赤字にまで縮小、さらに、民間の企業会計ルールで計算しなおすと当期純利益が1000億円の黒字だったという。
 なぜ、そうなるかと言えば、全体の収支を示す一般収支ではなく、経常収支のみを発表するからだという。全体の損益を発表しない理由は明らかにしないそうである。
 政管健保も同様である。政管健保の会計は、健康勘定と業務勘定に分かれるが、赤字の発表は、健康勘定のうちの、さらに小項目である単年度収支の部分だそうである。そもそも、資産や負債、剰余金などを示すバランスシートがないことが問題と医師会は指摘している。
 それでは全体像はつかめない。赤字、赤字と国民を脅しにかけているが、実態を示す会計資料さえ作っていないのだ。いや、本当はこっそり作っているのかもしれないが、少なくとも一切発表していない。
 そこで、医師会が平成9年度について、損益を試算したところ、組合健保、政管健保に、さらに共済組合、船員保険を含めると、当期純利益は1473億円の黒字、正味財産は最低でも4兆円に上ったという。
「組合の55%が赤字」などとよく報道される。しかし、大きい組合ほど黒字になる傾向があり、従業員についてきちんと平均をとれば、黒字になるはずだ。医療は個人が受けるもので組合が受けるものではないのだから、従業員で平均をとるべきだろう。何の意味もない赤字組合の比率を発表すること自体、医療保険財政が危機であると、世論誘導するためとしか思えない。
 いや、それ以前に、赤字になっている部分勘定だけでなく、保険財政全体の正確な収支を発表すべきであろう。かりに、きちんと計算していないとするならば、それこそ問題だ。会計をきちんと把握もせずに、保険料の値上げや、自己負担の増加を求めているからである。
 研究報告が出た平成12年以降も、医師会は調査を続けており、その後も会計状況は基本的に変わっていないそうである。


 医療保険も黒字である。政府は年金同様、医療保険の危機を演出している、と書かれています。



 医療保険が黒字である、と著者が述べる根拠は、医師会が試算した数字です。医師会がどのような資料に基づいて、どのような計算をしたのかがわからないので、上記記述のみを根拠に、国が嘘をついている、と即断するのは避けようと思います。とりあえず、国と医師会、両者の言い分が異なる、と把握しておくにとどめます。



 しかし、大きい組合ほど黒字になる傾向があり、「組合の55%が赤字」 などの報道によって、医療保険財政が危機であり、健康保険料を値上げしなければならないだとか、自己負担の増加が必要だなどと、世論誘導しようとしている旨の主張には、説得力があると思います。



 なお、年金については、少子高齢化を考えると、どのみち赤字になるのではないかと考えられます。したがって、改革不要論には説得力がないと思います ( 「元年金数理課長、年金が本当は大黒字」 参照 ) 。
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