言語空間+備忘録

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長期においては、貨幣の需要と供給が一致するように物価水準が調整される

2011-08-10 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.353 )

 この補論では、インフレーションに関する学習として、貨幣数量説を展開する。この理論は、経済問題を取り扱った最初期の学者たちによって構築されたので、しばしば「古典派理論」とも呼ばれている。今日でも、ほとんどの経済学者は、物価水準やインフレ率の長期的な決定要因を説明する際にこの理論を用いている。

(中略)

 まず、貨幣供給について考察しよう。詳しくはマクロ編で説明されているが、中央銀行が公開市場操作によって債券を売却すると、その代価として貨幣を受け取るので、貨幣供給は縮小する。中央銀行が国債を購入すると、その代価として貨幣を支払うので、貨幣供給は拡大する。さらに、そうした貨幣の一部が銀行に預金されれば、銀行はそれを準備として保有し、貨幣乗数のプロセスが進行するため、公開市場操作はより大きな効果を貨幣供給にもたらす。ここでは、銀行システムの導入に伴う詳細をほとんど無視し、貨幣供給を中央銀行が直接に調節できる政策変数であると単純化する。
 つぎに、貨幣需要について考察しよう。最も根本的なレベルでは、貨幣需要は人々がどれだけの富を流動性の高い形態でもちたいかに依存する。貨幣需要量を決定する要因は数多くある。たとえば、財布のなかにどれだけの現金を入れておくかは、クレジットカードをどれだけ使うか、ATMが簡単にみつかるかどうかなどに依存する。さらに、貨幣需要量は利子率にも依存する。利子率は、貨幣を財布や低利の普通預金に置いておくのではなく、利子のつく債券を購入した場合に得られる収益率だからである。
 貨幣需要量に影響を与える要因は多いが、そのなかでもとりわけ重要なのが、経済の一般物価水準である。人々が貨幣を保有するのは、貨幣が交換手段だからである。債券や株式といった他の資産と異なり、貨幣は買い物の際に財・サービスの購入に使うことができる。そのためにどれだけの貨幣を保有するかは、財・サービスの価格に依存する。財・サービスの価格が高ければ、1回の取引に必要な貨幣の量は多くなる。そのため、人々が財布や銀行口座に保有する貨幣量も増大する。つまり、物価が上昇すれば(貨幣価値が減少すれば)、貨幣の需要量は増大する。
 中央銀行が供給する貨幣量と人々が需要する貨幣量が等しくなることを保証するものは何だろうか。その答えは、考察対象期間の長さに大きく依存する。短期においては、利子率が重要な役割を果たす。しかし、長期における答えははるかに単純である。長期においては、貨幣の需要と供給が一致するように物価水準が調整される。物価水準が均衡水準よりも高ければ、人々が保有したいと思う貨幣量は、中央銀行が供給する貨幣量よりも多くなるだろう。そのため、物価水準は下落し、需要と供給は等しくなる。物価水準が均衡水準よりも低ければ、人々が保有したいと思う貨幣量は、中央銀行が供給する貨幣量よりも少なくなるだろう。そのため、物価水準は上昇し、需要と供給は等しくなる。均衡物価水準においては、人々が保有したい貨幣量と中央銀行が供給する貨幣量が正確に一致する。


 中央銀行が供給する貨幣量と人々が需要する貨幣量は等しくなる。なぜなら、長期においては貨幣の需要と供給が一致するように物価水準が調整されるからである、と書かれています。



 この部分は、「経済学の十大原理」の一つ、「政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する」の解説です。

 上記のうち、
物価水準が均衡水準よりも高ければ、人々が保有したいと思う貨幣量は、中央銀行が供給する貨幣量よりも多くなるだろう。そのため、物価水準は下落し、需要と供給は等しくなる。
という部分はわかります。人々は保有したいと思う貨幣量を維持しようとするために、「消費が減る」ので物価水準が下落するはずです。しかし、
物価水準が均衡水準よりも低ければ、人々が保有したいと思う貨幣量は、中央銀行が供給する貨幣量よりも少なくなるだろう。そのため、物価水準は上昇し、需要と供給は等しくなる。
という部分がわかりません。人々が保有したいと思う貨幣量を維持しようとするために、「消費を増やす」とは考え難いので、物価水準が上昇するとは考えられません。おそらく人々は、「余った現金」は使わずに銀行口座に入れたままにしておくはずです (もっとも、多少は消費が増えると考えられ、物価水準が「わずかに」上昇するとはいえると思います) 。

 なぜ、物価水準が上昇するのでしょうか? それが不思議でなりません。



 著者は続けて、上記の内容を図を用いて説明しています。したがって、次の引用と図を「にらみ続けていれば」なぜ物価水準が上昇するのか、わかるかもしれません。引用します。



同 ( p.356 )

 図11A-1は、いまの考え方を図示したものである。横軸は貨幣量を表し、左側の縦軸は貨幣価値(1/P)を示し、右側の縦軸は物価水準(P)を示している。物価水準が逆目盛りになっていることに注意しよう。物価水準軸(右側の縦軸)の上方ほど物価水準は低く、下方ほど物価水準は高い。この逆目盛りは、貨幣価値が高いとき(左側の縦軸の上方)には物価水準は低い(右側の縦軸の上方)ことを示している。
 この図の2本の曲線は、貨幣の供給曲線と需要曲線である。貨幣供給曲線は、中央銀行が利用可能な貨幣量を固定しているため、垂直である。貨幣の需要曲線は、貨幣価値が低い(物価水準が高い)ときに、人々は、財・サービスを購入するためにより多くの貨幣量を需要することから、右下がりである。均衡点は、図のA点で示されている。A点では、貨幣の需要量と供給量とが一致している。この貨幣需要と貨幣供給との均衡点において、貨幣価値と物価水準が決定される。


★図11A-1 貨幣の需要と供給はどのように均衡物価水準を決定するか

 貨幣価値(1/P)       物価水準(P)
(高い) *               * (低い)
   1 * x  貨幣供給        * 1
    * x   x           *
    * x   x           *
 3/4 *  x  x           * 1.33
    *  x  x           *
    *   xx x A         *
 1/2 *・・・・・・・xxx・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・* 2
    *    x xxx         *
    *    x   xxx  貨幣需要 *
 1/4 *    x    xxxxx     * 4
    *    x       xxxxx  *
    *    x           *
(低い) ******************************** (高い)
   0  中央銀行によって     貨幣量
     固定された貨幣量

 上図の点線(・・・・・・)は均衡貨幣価値・均衡物価水準を示す。



 貨幣価値(1/P)が物価水準(P)の逆数になることはわかりますし、貨幣需要曲線が「曲がっている」こともわかります。しかし、貨幣供給が増えると、なぜ、物価水準が変わるのでしょうか? 貨幣供給が増えると、なぜ、貨幣需要量も増えるのでしょうか? それがわかりません。

 ひとつ、あり得る説明は、

   物価水準が均衡水準よりも低い場合には、
   消費は増えないが「投資が増える」ので、
   物価水準は上昇する、

というものです。このように考えれば、上記疑問は解けます。



 しかし、このような説明で、本当によいのでしょうか?

 私がこの(自分で提出した)説明に(自分で)納得していないのは、世の中には、「(中央銀行が)貨幣供給量を増やせばデフレは終わる」という主張があるからです。デフレの場合には「投資は(ほとんど)増えない」はずです。したがって、私の説明が正しいとすれば「(中央銀行が)貨幣供給量を増やせばデフレは終わる」という(経済学者の)主張が間違っていることになります。つまり、「貨幣供給が増えると、貨幣需要量も増えるか」という問いの答えは、「(中央銀行が)貨幣供給量を増やせばデフレが終わるといえるか」という問いの答えを導きます。

 常識的に考えれば、経済学者の主張は「正しい」はずです。とすると、「貨幣供給が増えると、なぜ、貨幣需要量も増えるのか」についての私の答えは、間違っているはずです。それでは、「なぜ、貨幣供給が増えると、貨幣需要量も増える」のでしょうか。。。
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