言語空間+備忘録

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竹中ショック

2009-11-12 | 日記
リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.59 )

 竹中平蔵氏が金融担当大臣となり、銀行に不良債権処理を急がせた二〇〇二年九月以降は、図11にあるように「竹中ショック」と言われた貸し渋りが明らかに発生している。
 これは当然の結果であり、当時の日本のように全国的な資産価格の下落を受けて大半の金融機関が同じ問題を抱えているシステミック危機のときに、当局がこれらの金融機関に同時に不良債権の売却を強要すると、民間でそれを買える人たちが極度に減少しているなかで、資産価格はさらに下がってしまう。しかし、それで資産価格が下がると、同類の資産を保有している他の金融機関の損失はさらに増えてしまい、結果的に事態はさらに悪化してしまうのである。
 だからこそ、そのような事態を心配したボルカー元FRB議長が、システム危機を抱えている日本は不良債権処理を急ぐべきではなく、逆に政府は銀行の不良債権処理に速度制限を設けるべきだとまで進言したのである(『週刊東洋経済』二〇〇一年六月二十三日号でのボルカー氏へのインタビュー記事「不良債権処理、量的緩和、米国経済を語る――迅速な不良債権処理必要だが処理の制限速度は大事」を参照)。
 これは、裏を返せばシステミック危機が発生しているときに不良債権処理を急げば、貸し渋りはさらに悪化することを意味している。
 今回の米国の銀行問題がシステム危機であり、しかもそれは、当時の日本と同等かそれ以上に深刻であることを考えると、不良債権処理は急ぐべきではなく、むしろボルカー氏が提案したように、ゆっくりと秩序立ってやるほうが貸し渋りの解消につながることになるのである。


 竹中金融担当大臣が銀行に不良債権処理を急がせた結果、さらに事態が悪化した。不良債権の処理は急いではいけない、と書かれています。



 金融システム危機の際、金融機関に注目するのは自然ではあるのですが、「金融システム」 は、借り手がいなければ成立しません。借り手をも含めた、広い視野で 「金融システム」 を考えるなら、

   「「貸し渋り」 ではなく、「借り渋り」」 が発生していた

ことに、気づいてもよさそうなものです。

 民間の資金需要が低迷しているのみならず、民間は、過去の借り入れの返済に追われ、あらたに、積極的な投資を行う環境にないのですから、

 「当局がこれらの金融機関に同時に不良債権の売却を強要すると、民間でそれを買える人たちが極度に減少しているなかで、資産価格はさらに下がってしまう。しかし、それで資産価格が下がると、同類の資産を保有している他の金融機関の損失はさらに増えてしまい、結果的に事態はさらに悪化してしまうのである。」

と、ますます金融システム危機が大きくなります。



 それでは、当局が不良債権処理を強要するのではなく、放置すればどうか。

 その場合には、「抜けがけ」 的に、さっさと不良債権を処理した銀行が有利になりますから、どの金融機関も、われ先にと、不良債権を売却しようとすることになる可能性があり、やはり、資産価格の暴落 → 金融システム危機の悪化、という展開があり得ます。そこで、

   政府は銀行の不良債権処理に速度制限を設けるべき

という、竹中氏とは正反対の発想が出てくることになります。



 この問題は、おそらく、資産価格が暴落することも厭わず、一気に不良債権処理を進めるのか、逆に、資産価格がだらだらと下がり続けることを厭わず、持久戦に持ち込むのか、の相違であり、

 どちらが優れている、という問題ではないような気がします。どちらを選択するかは、その人間の性格にもよるのではないかと思います。

 状況の激変を避けようとするなら ( おそらく激変を避けようとする人が多いと思います ) 、持久戦に持ち込むほかなく、長期不況をも甘受しなければならないのではないかと思います。
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