言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

軍事力を伴わない世界覇権はあり得ない

2011-10-31 | 日記
水野和夫・萱野稔人 『超マクロ展望 世界経済の真実』 ( p.93 )

萱野 空間支配という点で人類はもはや行き着くところまで行ってしまったとすれば、ポスト・アメリカのヘゲモニーの問題も、これまでのように別の国家へと移動するだろうとは単純にはいえなくなってきますよね。
 これまでは世界資本主義のヘゲモニーが移動するときは、より大きな軍事的支配力をもつ国家に移動してきました。海洋技術で先んじたオランダから、その後に世界の海を支配したイギリス、そして世界の空を支配したアメリカへ、というかたちです。いずれも、より強い軍事力のもとで有利な交易条件が維持されてきたわけです。だからこれまでのパターンからすれば、前の覇権国よりも軍事的に強大な国でなければヘゲモニーを確立できない、ということになるんですが。

水野 しかし、すでに議論したように、軍事的な空間支配は宇宙までいくと経済的なヘゲモニーとは一致しなくなりますよね。

萱野 そうなんです。だから今後、アメリカよりも軍事力のある国家がでてきて、アメリカのヘゲモニーがこれまでのようにその国家へと移動するとは単純には考えられません。それに、たとえ軍事力が依然として重要な要素でありつづけたとしても、アメリカよりも軍事的に強い国家は今後しばらくはあらわれそうにありませんし。

水野 基軸通貨という点ではドル対ユーロの戦いがくり広げられていますが、軍事力という点でみるとEUもまだ力不足ですしね。たしかにユーロ軍構想はすすんでいますが、まだまだアメリカ軍のほうが圧倒的です。
 EUのほかにヘゲモニーを握るとすれば中国だと思いますが、萱野さんはその可能性があるとお考えですか。

萱野 まったくないとは思いませんが、可能性は低いんじゃないでしょうか。
 実際、金融危機までのバブルでふくらんだ金融資産が現在中国に投資され、それによって中国はものすごい勢いで経済成長をしていますが、最終的にはその資本を自分でコントロールできなければ、中国はヘゲモニーを確立することができません。そのためにはアメリカに拮抗するだけの軍事力も必要となる。そうなると、アメリカと中国のあいだでヘゲモニーをめぐって場合によっては血みどろの戦争になるというシナリオもありえますが、そうなれば多分世界が終わってしまうでしょう。
 だからありうるシナリオは、ヘゲモニーと工場が分離するというものです。これまではヘゲモニーをもつ国は同時に世界の中心的な生産拠点でもありました。しかし今後はそれが分裂して、中国やインドが世界の工場になるけれども、資本をコントロールしたり、世界経済のルールを定めたりして、中国やインドの成長の余剰を吸い上げるのは別の地域になる可能性がある。経済成長をして高い利潤率をうみだす地域と、世界資本主義をマネージする地域が分離するということです。
 そうしたシナリオがありうるとすれば、今後はアメリカとヨーロッパの連合体が軍事と金融を牛耳って世界経済のルールを定め、中国の経済成長の果実を吸い上げるというシステムになるんじゃないでしょうか。個人的には中国がヘゲモニーをもつより、こちらの可能性のほうが高いんじゃないかと思います。水野さんはこの問題にかんしてどのようにお考えですか。

水野 たしかに中国はアメリカのヘゲモニーをそのまま奪い取るような力はまだありません。そういう意味では、実現性が高いのは後者のシナリオだと思います。おそらく中国がアメリカやEUから何らかの見返りをもらって、バランスを取る。それで満足するということになると、いよいよG3の時代がくるんですかね。


 今後の世界経済について考えると、覇権がアメリカから移動するとは考え難い。中国やインドなど、アジア地域が急速な経済成長を続け、アジアで生み出された利潤を欧米が吸い上げるシステムになるのではないか、と書かれています。



 まず、著者らの発想「軍事的な空間支配は宇宙までいくと経済的なヘゲモニーとは一致しなくな」る、は「おかしい」と思います。なぜこれが「おかしい」かは、すでに「宇宙は次の平滑空間たりうるか」で述べています。

 次に、萱野さんの「たとえ軍事力が依然として重要な要素でありつづけたとしても」という発想も、「おかしい」と思います。どう考えてみても、軍事力は重要な要素であり続けるはずです。これは、軍事力と経済力が分離している状況を考えてみればわかります。いま、圧倒的な軍事力をもつ国Aと、圧倒的な経済力をもつ国Bがあるとします。このとき、どうなるでしょうか? 軍事大国Aは、経済大国Bに「これまで借りた借金はなかったことにしろ」であるとか、「もっとカネを寄越せ」などと脅すことが可能になります。経済大国Bとしては、軍事大国Aの要求を拒否すれば、軍事的に侵略され、男は殺され、女は強姦されてしまうかもしれず、従う以外に方法がありません。つまり、軍事力を伴わない経済力は、本当の経済力とはいえないのです。

 とはいえ、萱野さんの「アメリカよりも軍事的に強い国家は今後しばらくはあらわれそうにありません」という現状理解は、正しいと思います。



 しかし、現在中国は猛烈な勢いで軍拡を続けています。中国は空母を持つために、着々と準備を進めています。「今後しばらくは」アメリカよりも軍事的に強い国家が現れないとはいえ、「長期的にみれば」どうなるかわかりません。

 また、中国の経済力についてみれば、
金融危機までのバブルでふくらんだ金融資産が現在中国に投資され、それによって中国はものすごい勢いで経済成長をしていますが、最終的にはその資本を自分でコントロールできなければ、中国はヘゲモニーを確立することができません。
とはいうものの、中国は少しずつ、利潤の一部を蓄積しています。したがって「長期的にみれば」中国は資本を自分でコントロールする能力をもつ、と考えられます。

 したがって中国がアメリカに対抗しうる軍事力・経済力をもつ日が来ないともかぎらない、と考えなければなりません。もちろんこれは、「超マクロ展望」のレベルでみれば、の話です (この本のタイトルは『超マクロ展望 世界経済の真実』です) 。

 短期的には、「いよいよG3の時代がくる」という可能性も十分に考えられると思います。



■関連記事
 「金融経済化は覇権のたそがれどき
 「覇権を動かす空間革命
 「「条里空間」と「平滑空間」
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 司法修習生の給費制問題の解決策 | トップ | 拉致問題解決のためにも9条... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。