言語空間+備忘録

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中南米債務危機を知らない米当局者

2009-11-15 | 日記
リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.90 )

 ところで、日本が行ってきた不良債権処理の一〇〇兆円という金額はちょうどGDPの二〇%に相当するが、この比率を米国のGDPに当てはめるとおよそ二・八兆ドルになる。
 〇九年四月にIMFが公表した Global Financial Stability Report ( GFSR ) の推計では米国金融機関の損失は二・七兆ドルに達するとなっているが、これは、今回の米国が直面している危機は、GDP比で見て日本が直面したものと同じ大きさであるということになる。
 もっとも、日本の一〇〇兆円は商業銀行だけであるのに対し、米国の二・七兆ドルはヘッジファンド等も含む全金融機関の推計値だから、現時点ではまだ日本の方が大きいことになる。
 この問題を日本は一〇年以上時間をかけてやることで納税者負担を総額一一兆円に抑えることができたが、今回の米国の場合は、ファニーメイ、フレディマックからAIGなどを含めて考えると、日本の金額を遥かに超える負担額が必要になりそうである。しかも、このような納税者負担は処理を急げば急ぐほど拡大してしまう。
 米国当局が不良債権の処理を急がず、ゆっくり問題の解消に当たったことで納税者の負担を最小限にした例として、前述の一九八二年に始まった中南米債務危機があるが、残念なことにブッシュ政権下のバーナンキ議長やポールソン財務長官は中南米債務危機のことを全く知らず、必要以上に大きな混乱や政策変更を繰り返した。残念なことに、オバマ政権下のサマーズNEC ( 国家経済会議 ) 委員長やガイトナー現財務長官も同危機のことを全く知らず、同じような間違いを繰り返しているように見える。
 例えば、私は以前、日本がまだ不良債権問題に直面していたころ、財務長官を退任して間もないサマーズ氏とセミナーの舞台上で顔を合わせたことがある。このときサマーズ氏は、日本は不良債権処理をさらに急ぐべきだと主張していたが、最後の質疑応答のなかで、日本人参加者から同氏に「隣にいるリチャード・クー氏は不良債権処理は急ぐべきではないと主張している。その話を聞いて反論してほしい」という質問が飛んできた。そこで私は自分がニューヨーク連銀時代に関わった中南米債務危機の例を踏まえて、システミック危機のときにはなぜ不良債権処理を急いではならないのかを説明した。
 私の説明を聞いたサマーズ氏は、「中南米債務危機のことは全く知らなかった。もしかすると、私は皆さんにかなり思慮に欠けた ( cavalier ) 話をしてしまったかもしれない」と述べたのである。ところが、同氏の最近の発言を見ていると、同氏の中南米債務危機への理解は当時に比べ、それほど深まっていないのではないかと危惧される。


 「ブッシュ政権下のバーナンキ議長やポールソン財務長官は中南米債務危機のことを全く知ら」 なかった。「オバマ政権下のサマーズNEC ( 国家経済会議 ) 委員長やガイトナー現財務長官も同危機のことを全く知ら」 ない、と書かれています。



 「全く知らない」 というのは、「詳しく知らない」 ではなく、本当に 「全く」 知らない、と受け取ってよいのでしょうかね? この部分、大きな疑問があります。

 私でも、多少は知っているくらいですから、アメリカの高官が 「全く」 知らない、というのは ( 常識的に ) 考え難いところです。

 しかし、

 「サマーズ氏は、『中南米債務危機のことは全く知らなかった。もしかすると、私は皆さんにかなり思慮に欠けた ( cavalier ) 話をしてしまったかもしれない』 と述べたのである。」

と書かれていますので、本当に、「全く」 知らない、と読むべきなのかもしれません。



 と、すれば、今後、アメリカは、不良債権処理を急がず、時間をかけることになるのかもしれません。
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