言語空間+備忘録

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格付機関を格付けする

2009-11-21 | 日記
リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.143 )

 世界にはムーディーズ、スタンダード&プアーズ、フィッチという三つの大きな格付機関があるが、そのなかでイギリスのフィッチだけは、この問題にかなりの理解を示している兆候がある。というのは、私が二〇〇三年に出した最初の英語の本 『Balance Sheet Recession ( バランスシート・リセッション )』 のなかで、「格付機関の言っていることはでたらめだ。日本が陥っているバランスシート不況のことを全然理解していない」 と書いたのを、フィッチのスタッフが読んで驚き、すぐにロンドンから二人の専門家を私のところによこして来たのである。そして、かなり長時間にわたって私と議論した結果、彼らは理解し、フィッチは即座に日本の格下げをやめたのである。
 あとの二つのアメリカの格付機関は、バカの一つ覚えのように格下げを続けたが、イギリスのフィッチだけはバランスシート不況を理解して格下げをやめたのである。だからフィッチのような格付機関が出てくれば、たんに財政赤字が大きいからというだけで格下げするような愚かな行動にブレーキがかかるはずである。
 また、ここに来てムーディーズも判断基準を見直す動きに出ている。二〇〇九年四月に日本は大きな補正予算を打ち出したが、それに対してムーディーズは日本国債の格付けを上げたのである。以前の彼らであれば、あれだけ大きな財政赤字を出すということになれば当然、格下げという話になるはずである。それが外貨建てはやや下げて、円建ては少し上げている。
 そのムーディーズの説明のなかに、「日本で新たに発生する財政赤字は、国内志向が強い日本の投資家のことを考えると充分国内で吸収されるだろう」 という一節があった。「昔からそうじゃないか。何をいまごろ言い出すのか」 とも思ったが、ムーディーズも少しはバランスシート不況のことを勉強したのかもしれない。もしかしたらアメリカやイギリスが今後、財政赤字を膨らませる方向に行かなければならないのを見越して、いまのうちに彼らが日本に対して犯した間違いを正しておけば、今度、アメリカやヨーロッパが同じ状態になったときに同じ間違い ( =格下げ ) をしなくてすむと考えたのかもしれない。そうだとすれば、彼らが世界経済の攪乱要因になる可能性は少なくなるだろう。その一方でスタンダード&プアーズは以前と同じオーソドックスな発想でイギリスを格下げするなどと言っているから、ここはまだまだ注意が必要である。


 世界の三大格付機関のうち、フィッチはバランスシート不況をかなり理解している。ムーディーズは理解しつつあると思われる。しかし、スタンダード&プアーズはまったく理解していない、と書かれています。



 すでに、「格付け会社への信頼喪失」 が発生しており、「格付け会社の 「表現の自由」」 でみたように、格付け会社は訴訟において、敗訴しつつあります。

 したがって、格付け機関が何を言おうが、「みんなで無視すれば問題ない」 とも、考えられるのですが、専門家 ( 専門機関 ) が言っていることは 「正しい」 と、それなりに信頼される可能性もあり、社会で一定の影響力をもつことも考えられます。

 実際問題として、

  1. 国際的なネットワークを持つ、大規模な機関投資家でないかぎり、詳細に調べることは不可能であるうえに、
  2. 大規模な機関投資家であっても、「ほかの人がどう考えているか」 も、投資判断をなす際の重要な要素になり得る以上、

格付機関の格付けには、それなりの影響力は残存する、と考えるのが、現実的かもしれません。



 そこで、その影響力や、信頼性をどう考えるか、が問題になります。その際に、上記、著者の見解は、参考になるのではないかと思います。



 また、徐々に著者の見解は受け容れられつつある、と考えられますので、

 この点をも勘案すると、中国が 「ドルに合わせて金融緩和をしたくないから、新しい基軸通貨の必要性を主張している」 と考えるのが、適切なのだろうと思います ( 「米中の政策スタンス」 参照 ) 。
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