言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

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「条里空間」と「平滑空間」

2011-10-13 | 日記
水野和夫・萱野稔人 『超マクロ展望 世界経済の真実』 ( p.81 )

萱野 空間の問題については、フランスの哲学者、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリも共著『千のプラトー』のなかで、シュミットとひじょうに近いことを述べているんです。
 彼らは空間の問題を「条里空間」と「平滑空間」という二つの概念で考えています。条里空間というのは、簡単にいえば、区画された空間のことです。私たちが住んだり、活動したりしている空間は、基本的にはすべて区画されていますね。ここは道路で、ここは誰々の所有地で、ここは公園で、というように。主権国家の領土だって政治的な帰属が定められた条里空間です。インターネット空間だって、IPアドレスがふられた条里空間ですね。海や空だって基本的には条里空間です。位置確定され、領海権や領空権が定められ、それによって広い意味での「法」が整備された、そうした空間が条里空間です。
 これに対して「平滑空間」というのは、そうした条里空間での「法」を無化してしまうような空間のことです。条里空間における区画を無化するような、滑らかな空間、ということですね。たとえば国家は非常事態においては、人びとの所有権を無視して土地を接収したり、戦車を走らせたりすることができます。そこでは通常の区画は意味をなさなくなる。あるいは、一八七一年のパリコミューンや一九六八年のフランス五月革命のように、労働者や学生が蜂起して街を占拠してしまうようなときも、平滑空間が生まれます。
 注意したいのは、こうした平滑空間はけっしてたんなる無法地帯ではない、ということです。平滑空間は条里空間の法を無化するとはいえ、それはあくまでも条里空間とは別のルールや空間活用法をそこに対置することによってです。

水野 それでいくと、一六世紀では海がまさしく平滑空間だったわけですね。

萱野 そうなんです。…(中略)…
 ヘゲモニーとの関係でいうと、こうした平滑空間を活用する一番の利点というのは、通常の条里空間ではありえないようなかたちで富を手に入れることができるということにあります。たとえばイギリスは海賊によって初期の資本を蓄積し、海での自由貿易を管理することで世界的な富の集積地になったわけですよね。さらにいえば、海のむこうの植民地だって同じです。植民地ではいくら略奪しても、そこはヨーロッパの考える法がまだ確立していないところだという理由で許されました。だからこそ、ヨーロッパの帝国主義列強は、ヨーロッパの外では自由な植民地獲得競争ができた。平滑空間では条里空間とはちがうやり方で富を手に入れることができるし、それが結局はヘゲモニーのもとでの資本蓄積につながっていくんです。


 「条里空間」と「平滑空間」の内容が説明されています。



 要するに、

   「条里空間」= 既存の空間
   「平滑空間」= 新しい空間

ということになるのですが、

 新しい空間である「平滑空間」では「条里空間」の法が適用されない、という部分が重要だと思います。



 言われてみれば当然のことではあるのですが、植民地はヨーロッパではないので、そこではヨーロッパの法律が適用されないわけですね。

 これは(すくなくとも表面上・理論上は)人種差別でも植民地蔑視でもありません。日本の法律がアメリカでは適用されず、アメリカの法律が日本では適用されない、といったレベルの話です。

 したがって、ヨーロッパではない植民地では、略奪を行っても「合法」であり「許される」。



 う~ん。。。

 これは思いつかなかった。



 たしかに法理論上はそうかもしれませんが、

 人間の自然な感覚でいえば「許されない」はずで、そこにはヨーロッパの独善性が現れているように感じられます。おそらく、当時のヨーロッパ人も略奪が「正しい」とは思っていなかったでしょう。法律上は「許される」というにすぎず、倫理的に「正しい」といっているわけではありませんしね。

 とはいえ、略奪を行う際に「良心の呵責」を逃れるための効果が、すこしはあったかもしれません。



 なお、上記私見とは異なり、「人間は正しいことをしようとは思っていない」という考えかたも成り立ちます。倫理なんか気にしている人間はごく一部である、罰せられなければ人は平気で略奪を行う、といった考えかたです。この考えかたを前提にすれば、「合法」であって「許される」以上、略奪を行ううえでの障害はまったくなかったことになります。



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