言語空間+備忘録

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有限回繰り返しゲームにおける協力関係

2009-06-23 | 日記
荒井一博 『終身雇用制と日本文化』 ( p.26 )

 厳密に考えると、特定の人間が無限回ゲームを繰り返すことは不可能である。なぜならゲームを一回行なうには時間がかかり、また人間には寿命があるからである。二〇〇歳まで生きられる人間は今日存在しない。すると人間は、有限回しかゲームを繰り返すことができず、右の考え方に基づくかぎり、協力関係を成立させることができないことになる。
 厳密に考えても現実において無限回ゲームが行なわれうるといえそうなのは、企業や国家などの組織の間のゲームである。特定の個人に寿命がきても組織は存続しうるので、組織の間で無限回繰り返しゲームを行なうことはできる。ただし、将来に組織が崩壊・消滅する可能性は残る(人間の場合と異なり、特定の期間内に消滅することがあらかじめわかっているわけではない)。

(中略)

 もし有限回繰り返しゲームでは協力関係が実現しないのであれば、終身雇用制を設定しても組織内の個人間で協力することはなく、設定の利益はないことになる。しかしゲーム論はあくまで理論であって、現実そのものではない。後でもみるが、実際に有限回繰り返し囚人のジレンマ・ゲームの実験を行なってみると、右の説明とは違って、かなりの協力関係が成立する。


 有限回繰り返しゲームであっても、( 理論とは異なり ) 実際には協力関係が成立する、と書かれています。

 ここで理論、というのは、下記の利得表をもとに、一回だけゲームを行えば、互いに協力するほうが利益になるにもかかわらず、協力しないほうを選びがちであり、有限回繰り返しゲームにおいても同様である、と示す、ゲームの理論 ( 囚人のジレンマ・ゲーム ) です。

協力する協力しない
協力する(A, 3 : B, 3)(A, 1 : B, 4)
協力しない(A, 4 : B, 1)(A, 2 : B, 2)



 理論とは異なり、現実の人間には、有限回繰り返しゲームであっても、( かなりの ) 協力関係が成立する。すなわち、有限期間の人間関係であっても、人間は ( かなりの程度 ) 協力する。

 とすれば、「終身雇用制と相互協力」 で述べた、私の疑問はかなり実態に沿っていたもの、といえそうです。


 なお、引用はしませんが、この本では、「しっぺ返し ( tit-for-tat ) 戦略」 によって ( 有限回繰り返しゲームであっても ) 協力関係の成立が説明しうる、と理論を修正する方向が概説されています。
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