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中朝関係が悪化しつつある

2011-06-08 | 日記
CNN.co.jp」の「北朝鮮が短距離ミサイル発射、1年7カ月ぶり 聯合通信」( 2011.06.08 Wed posted at: 11:18 JST )

ソウル(CNN) 韓国の聯合通信は、北朝鮮が先週半ばに西部沿岸から短距離ミサイル発射実験を行ったと伝えた。

聯合通信は情報当局関係者の話として、北朝鮮が発射したのは短距離ミサイル「KN-06」で、改良と射程の延長が目的だったと伝えている。

北朝鮮がミサイルを発射するのは1年7カ月ぶり。2009年には東部沿岸から短距離ミサイルを連続して発射し、国際社会の非難を浴びた。

韓国国防省はCNNの取材に対し、この報道についてはコメントできないと述べた。

韓国と北朝鮮の間では、昨年の韓国哨戒鑑沈没や大延坪島(テヨンピョンド)砲撃により緊張が高まっている。北朝鮮は先週、韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権を今後一切「相手にしない」とする声明を出した。


 北朝鮮が短距離ミサイル発射実験を行った、と報じられています。



 「西部沿岸から」発射(実験)した、というところがひっかかります。



YOMIURI ONLINE」の「北朝鮮、黄海で短距離ミサイル発射…性能確認か」( 2011年6月8日12時47分 )

 【ソウル=門間順平】韓国政府関係者は8日、北朝鮮が先週初め、北部の平安北道から黄海に向けて短距離ミサイル1発を発射していたと明らかにした。
北朝鮮のミサイル発射が確認されたのは、2009年10月以来。発射されたのは、射程約120キロの地対地ミサイル「KN―02」を改良した地対空ミサイル「KN―06」で、性能確認が目的の実験だったとみられる。


 場所は「北部・平安北道沖の黄海上」であると報じられています。



 要するに中国のすぐ近くですね。「地対空ミサイル」であることからみて、韓国を意識して発射したのでしょうが、

 中国をも意識しているのではないかと思います。なぜなら、中国と北朝鮮の関係も「おかしく」なりつつあるからです。



日本経済新聞」の「中国、北朝鮮に強く圧力 「大国化」で関係に変化も」( 2011/5/27 0:52 )

 【北京=島田学】中国と北朝鮮は26日、国営メディアを通じ、北朝鮮の金正日総書記が20日から26日まで中国を非公式訪問し、25日に北京市内の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談したと発表した。両首脳は北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の早期再開で一致した。中国側が金総書記に強く圧力をかけたのが背景とみられ、中朝関係に変化の兆しが出ている。

 金総書記は「朝鮮半島の情勢の緩和を希望し、朝鮮半島非核化の目標を堅持する」「南北関係の改善に一貫して誠意を持っている」などと述べ、韓国など関係国との対話に前向きな姿勢をみせた。

 慢性的な食糧不足に陥っている北朝鮮が経済支援の強化を求めたのに対し、中国側は支援強化の条件として、核放棄など非核化に向けた具体的な行動をとるよう強く迫ったとみられる。中国としては、6カ国協議議長国として一定の影響力を示せたといえる。

 中国側は今回、ともに世代交代を控えていることを念頭にかつて「生命と鮮血で築いた兄弟のような友情」と表現した北朝鮮との関係を微妙に変化させている。

 「わざと日中韓首脳会談にぶつけてきたにちがいない」。中国外交当局者は、温家宝首相の訪日前日というタイミングに北朝鮮側が金総書記訪中の日程を組んできたことに不快感を示した。温首相は今回の訪日を日中関係改善の転機にしたいと意気込んでいた。

 中国側は北朝鮮へ意趣返しをするように、日中、中韓首脳会談で金総書記の訪中について事情を説明。通常は金総書記が国境を越えて北朝鮮側に入るか、国境付近に着く段階まで訪中を「トップシークレット」扱いとしてきた慣例を破り、北京駅を出発してから4時間半後、国境まで半日近くかかる時点で国営メディアが一斉に報じた。

 中国側の発表によると、金総書記は今回の訪中で「改革・開放政策の正しさを目のあたりにした」と述べ、中国の経済政策に倣って経済再建を進める姿勢を示した。

中国主導で再建

 ただ、中国側にはこれまでの北朝鮮への支援が実際の経済再建につながっていないとの不信感がある。中国が中朝国境地域での経済共同開発にこだわるのも「経済再建を北朝鮮任せにせず中国主導で進める」との意思表明だ。

 首脳会談では、北朝鮮への経済支援の具体策や中朝共同事業での協力拡大などで一定の合意に達したとみられるが、公表されていない。

 金総書記を乗せたとみられる特別列車は26日午後、北京を離れた。遼寧省丹東などを通って27日にも帰国する見通しだ。


 中朝関係に変化の兆しが出ている。中国側は北朝鮮に対して不快感を示し、かつて「生命と鮮血で築いた兄弟のような友情」と表現した北朝鮮との関係を微妙に変化させつつある。従来の慣例、すなわち金総書記が国境を越えて北朝鮮側に入るか、国境付近に着く段階まで訪中を「トップシークレット」扱いとしてきた慣例を破り、北京駅を出発してから4時間半後、国境まで半日近くかかる時点で国営メディアが一斉に報じた、と報じられています。



 報道では
中国が中朝国境地域での経済共同開発にこだわるのも「経済再建を北朝鮮任せにせず中国主導で進める」との意思表明だ。
と書かれていますが、そればかりではなく、その背後には軍事的な面が隠されているはずだと思います。中国が経済ばかりを気にして軍事を度外視しているなど、(私には)とても考えられません (「中国軍、50年間の租借権をもつ羅津港に進駐」参照 ) 。



 今回の報道からは中国側が北朝鮮に対して「冷淡な態度をとった」のではないかと推測されますが、北朝鮮側の反応は次の(報道の)とおりです。また、(下記の報道には) 北朝鮮は中国に軍事協力を求めたが「拒否された」とみられるとも報じられています。



産経ニュース」の「金正日総書記は中国に何を要求したのか」( 2011.6.5 07:00 )

 7泊8日、約6000キロに及んだ金正日総書記の訪中の真の目的は、一体何だったのか。随行首脳部の顔ぶれなどから新たな見方が出ている。「主目的は経済支援などではなく、軍事支援要請の可能性が高い」(日韓の専門家)というのだ。内容は核・ミサイルに比べ極度に老朽化し使い物にならない「通常兵器の更新への協力」や「最新鋭戦闘機の供与」とされる。世襲本番に向け「頭のなかは息子のことだけ」の金総書記が備えるべきは軍事力。さらに軍部の不満解消-という分析である。(久保田るり子)

★2人の軍需最高幹部は何をしに訪中したのか

 「金正日総書記からみれば、中国の羅先(羅津・先鋒)経済特区への投資などは、彼らの中国東北部開発の延長でギブ・アンド・テークだ。中国に頭を下げる(いうことを聞く)などという発想はない」と分析するのは1950年代から北朝鮮研究を行っている韓国の康仁徳・元統一相だ。

 北朝鮮はすでに中国と羅津港の埠(ふ)頭(とう)使用権(50年)契約をかわしており、東北3省の経済開発は中国の中央政府の重要な政策にもなっている。

 「それより北朝鮮のいまの問題は軍事だ。6カ国協議を再開し核問題を協議するというのであれば、まず南北の軍事バランス。古い兵器、部品もない通常兵器をどうするのか。訪中には北朝鮮の軍需最高幹部が同行したが、私は北朝鮮が通常兵器問題を中国に提起した可能性が高いと考えている」(康仁徳氏)

 最高幹部とは朱奎昌(チュ・ギュチャン)氏と朴道春(パク・トチュン)氏。いずれも三男の金正恩氏への世襲作業の本格化に並行して大昇進した軍需(兵器製造開発、配備調達、実験)部門の最高幹部だ。

 朱奎昌氏は核・ミサイル実験をはじめとする兵器開発部門の旧軍需工業部(現機械工業部)部長。2009年4月の長距離弾道ミサイル発射の際の記念撮影では金総書記のそばに立っていたことでも知られる。昨年9月の朝鮮労働党代表者会で党中央委員、政治局員候補などの要職についた。

 朴道春氏は、山間部に軍需工場が多数あるとされる北朝鮮北部の慈江道の責任書記出身で「北朝鮮最高の軍事専門家」(韓国紙「朝鮮日報」)とされる。やはり昨年9月に党書記、政治局員候補となり国防委員会の軍需担当責任者だ。

 金総書記の訪中では朱氏が昨年5月、朴氏は昨年8月に随行したが、今訪中には2人そろって同行した。昨年5月の訪中では、金総書記が胡錦濤国家主席に「最新鋭戦闘機30機の供与を要請したが、成功しなかった」との情報もある。

 日本の軍事筋は「戦闘機情報には注目している。北朝鮮軍のなかで最も貧弱なのが戦闘機だ。北朝鮮はノドから手がでるほど欲しいだろうが、現実には核実験への国連安保理決議1874が執行中であり、中国の支援・供与は困難」と述べている。

★北朝鮮はなぜ、中国の顔に泥を塗るのか?

 金総書記が平壌に戻った翌5月28日、北朝鮮の最高権力機関、国防委員会の声明で「李明博逆賊一味をこれ以上相手にしない」と断言した。1日には韓国が働きかけていた南北首脳会談の交渉過程を実名を挙げて暴露し、非難している。

 中国は議長国として6カ国協議再開問題で、まず、緊張状態の韓国と北朝鮮による南北協議を第一段階とする「3段階再開構想」を推進している。帰国するや金総書記はこれを真っ向から否定した格好だ。

 金総書記は訪中で予定されていた中朝国境の工業団地の起工式や道路建設起工式も欠席し、さっさと帰ってしまった。また、温家宝首相との会談で話し合われた経済協力強化と、これを通じた改革・開放への「新たな局面」についても北朝鮮側は一切無視して報道しなかった。

 明らかに中国の顔に泥を塗った形だ。金総書記の中朝首脳会談への不満の表明とみられる。中国中央テレビは金総書記、温首相会談後の金総書記の笑顔ひとつもない、終始固い表情を捕らえている。何が不満だったのか。経済支援が足りなかったのか、軍事協力を拒否されたのか。

 一方で金総書記は、胡錦濤、温家宝両首脳との会談で「中朝友好協力相互援助条約」が今年7月に締結50年を迎えることを強調したという事実がある。この条約は、一方の国が第三国の軍事攻撃を受けたとき、他方の国が軍事的に介入することを明記した「自動介入条項」を含んでいる軍事同盟条約だ。

 「金正日総書記は世襲に向け焦っているのだろう。彼の頭のなかは息子のことだけだ。世襲の完成のためには、まず軍部をしっかりと引き継ぐこと。先軍政治で北朝鮮の軍部は力を付けており、その不満を解消する必要に迫られている」と康仁徳氏は分析する。

 強硬一辺倒で柔軟性のない金正日体制に、中国はどう出るのかが次の注目点である。


 金総書記は中国首脳との会談後、「終始固い表情」をしていた。金総書記は訪中で予定されていた中朝国境の工業団地の起工式や道路建設起工式も欠席し、さっさと帰ってしまったので、(会談に)不満があったとみられる。金総書記は今回、軍需(兵器製造開発、配備調達、実験)部門の最高幹部2名を同伴しており、胡錦濤、温家宝両首脳との会談で「中朝友好協力相互援助条約」(一方の国が第三国の軍事攻撃を受けたとき、他方の国が軍事的に介入することを明記した「自動介入条項」を含んでいる軍事同盟条約)が今年7月に締結50年を迎えることを強調したという事実もある。おそらく、北朝鮮の目的は核・ミサイルに比べ極度に老朽化し使い物にならない「通常兵器の更新への協力」や「最新鋭戦闘機の供与」だったのだろう、と報じられています。



 北朝鮮もイスラエル同様、「追い込まれている」ようです。とすれば核を放棄するかもしれない、とも考えられますが、

 「地対空ミサイル」であるとはいえミサイル発射実験を行った意図は、「あくまでも対抗する」というアピールであると考えられます。したがって、やはり「当面、北朝鮮は核廃棄しない」のではないかと思います。



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3 コメント

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日本にとってはチャンスなのだが (四葉のクローバー)
2011-06-08 14:08:33
>北朝鮮はすでに中国と羅津港の埠(ふ)頭(とう)使用権(50年)契約をかわしており、東北3省の経済開発は中国の中央政府の重要な政策にもなっている。

北朝鮮が、一向に、市場経済体制や改革開放政策に転換せず、経済が低迷していることが、東北3省の経済発展の足かせとなっている。戦前のように、北朝鮮と東北3省は一体化するのが、本来の姿なのだが。

>一方で金総書記は、胡錦濤、温家宝両首脳との会談で「中朝友好協力相互援助条約」が今年7月に締結50年を迎えることを強調したという事実がある。この条約は、一方の国が第三国の軍事攻撃を受けたとき、他方の国が軍事的に介入することを明記した「自動介入条項」を含んでいる軍事同盟条約だ。

北朝鮮は過去何度も、「自動介入条項」を、朝露条約と同じ「双方の合意により介入」に改定するよう要求してきたが、中国が応じないのだ。
中朝の歴史的特殊性から言っても、この条項は北朝鮮にとって、不安の種なのだ。
北朝鮮にとっての中国は、ある意味、ベトナムにとっての中国、と酷似している。
北朝鮮にとって最大の脅威は、1000キロ越の国境を接している中国である。
消去法で考えれば、明白だ。
米国と日本は北朝鮮に対し、領土的野心はない。
韓国は、既に豊かになり、失う物が多いので、全面戦争など仕掛けてこない。
ロシアは、北朝鮮に死活的利益なない。

>北朝鮮もイスラエル同様、「追い込まれている」ようです。とすれば核を放棄するかもしれない、とも考えられますが、

最後は、米国が北朝鮮に、核の傘を提供するしか、北朝鮮の核放棄はないだろう。

従って、日本にとって、今の状況は、ある意味、チャンスなのである。
しかし、菅政権は、ご覧の通りの状況で、足元の原発対応と権力闘争で手一杯、戦略がどうのこうの、と考える余裕はない。
つくづく、日本国民は不幸だと思う。
Unknown (memo26)
2011-06-08 16:19:45
> 従って、日本にとって、今の状況は、ある意味、チャンスなのである。

 これは説得力がありますね。

 ところでアメリカは、北朝鮮との「対話」を基本的に、中国に委ねているように映るのですが、なぜアメリカは積極的に動かないのか、それがひっかかります。

 日本としては、アメリカが動かないことには、(チャンスだといわれても)動けません。
Unknown (四葉のクローバー)
2011-06-08 16:31:38
>ところでアメリカは、北朝鮮との「対話」を基本的に、中国に委ねているように映るのですが、なぜアメリカは積極的に動かないのか、それがひっかかります。

そこが難しいところですが、水面下では、米国と北朝鮮の直接交渉が行われている可能性も否定できません。
なぜなら、北朝鮮は、出来れば、中国を介さない米国との直接交渉を望んでいるからです。
ニクソン大統領の電撃訪中の前に、キッシンジャーが中国を極秘訪問したようなこともありえます。

>日本としては、アメリカが動かないことには、(チャンスだといわれても)動けません。

米国を妄信すると、ニクソン大統領に先を越されて慌てふためいた佐藤首相、の二の舞になりかねません。
日本は主体的に、北朝鮮と接触した方が良いです。そのような日本を、北朝鮮は望んでいるし、評価すると思います。


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