言語空間+備忘録

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共産党は「優れた」リーダーである

2010-11-22 | 日記
陳惠運・野村旗守 『中国は崩壊しない』 ( p.178 )

 世界恐慌の渦に呑み込まれた中国経済はこの先どこへ向かうのか。この危機を小康状態にとどめてやり過ごし、ふたたび成長に向かうことができるのか。それとも急降下して、またもや貧苦に喘ぐことになるのか――。答えは三年以内に出るだろう。
 しかし、たとえ経済が失速しようと、それは中国共産党の政権機構の維持とはほとんど関係がない、というのが中国の、あるいは共産主義の国家体制である。なぜなら、共産主義国家は市場原理などあっさり無視することができるからだ。日本の中国崩壊論者たちはここのところを間違えている。
 彼ら論者たちが中国共産党の一党独裁体制崩壊の原因として真っ先に挙げるのが、経済破綻の問題である。
 専門家たちの論法に小異はあるが、大同は概ね次のようなものである。
 北京五輪後、中国国内のバブル崩壊と世界経済の失速が⇒不動産・株価の暴落と輸出急減を招き⇒企業倒産が相次ぎ⇒国中に失業者が溢れて不会不安が拡大し⇒不満を募らせた民衆が各地で暴動を起こし⇒それが現政権に対する反乱へと発展してゆく……。
 反乱がやがて内乱、内戦へとつながってゆくのではないか、という「予測」もある。もちろん仮定の上ではどんな予測も成り立つわけで、その可能性を一〇〇%否定することはできない。
 しかし、これまで見てきたような中国共産党の精緻な国家統治システムを考えたとき、人々の不満が現政権に対する大規模な反乱へと転化してゆく公算は限りなく低いと見做さざるを得ない。
 すでに何度も述べたた通り、中国の国家体制を支えているのは、北京の中国共産党中央政治局常務委員会を頂点とするピラミッド型の党細胞機構である。この強固な骨組みは、容易なことで壊れないし、壊してしまったらそれに代わる器がない。そして、そのことを一番よく知っているのは中国人自身である。つまり、バブル崩壊は共産党独裁体制維持の阻害要因とはなり得ない、と考えるのが常識的な線なのだ。
 実際問題として、土地と株のバブルはすでに崩壊しはじめており、人々の不満は充分燻って (くすぶって) いるにもかかわらず、それを原因とした暴動はほとんど起こっていないし、(チベットやウィグルなどの民族問題を別とすれば) この先にも大規模な暴動が予想されるような兆候もあらわれていない。


 共産主義国家の中国においては、経済が失速しようと独裁体制は崩壊しない、と書かれています。



 この主張には説得力があると思います。

 ここまで、私がこの本を読みつつ考えてきたところによれば (私の引用は部分的なので、必要であれば本を買ってください。いい本だと思います) 、

  1. 中国人は「独裁そのもの」を否定していないうえに (「中国人は民主化を望んでいない?」参照 ) 、
  2. 中国共産党は分裂しない」し、
  3. 中国人民解放軍は共産党の一部であり、党に反抗することはあり得ない。民衆による反乱が起こっても即座に鎮圧される (「中国人民解放軍における軍内党組織 (政治委員)」「林彪事件と人民解放軍人事」参照 ) 。
  4. 共産党は民衆の不満を解消すべく手を打っている (「中国共産党の「ガス抜き手法」」「中国における戸籍制度改革」参照 ) 、

と考えられます。したがって、私も著者と同様に、共産党の独裁体制は簡単には崩壊しないと思います。



 しかし、私は著者の主張に完全に納得しているわけではありません。中国人の圧倒的大多数がいま、中国共産党を支持しているのは確かだと思いますが、その支持が完全に失われれば崩壊してしまうかもしれない、と思ってしまうのです。



 中国人が共産党を支持している理由は、なんといってもやはり、

   共産党は「優れた」中国のリーダーである、

と (中国人が) 思っていることに尽きると思います (「江沢民理論=「三つの代表」論」参照 ) 。

 そしてなぜ、共産党が中国の「優れた」リーダーかといえば、なんだかんだ言っても (小さな不満はあるものの、トータルでみれば) 、

   中国は侵略されず、徐々に中国が大国になった
       (政治的・経済的・軍事的など、さまざまな面で)

   中国人の生活レベルは、確実に上昇してきた

という、この二点に尽きるのではないかと思います。中国の地位も、中国人の生活レベルも向上している以上、共産党は「優れた」リーダーである、と (中国人は) 思っているのではないかと思います。



 逆にいえば、この二点が崩れれば、共産党の独裁体制は崩壊する (可能性が高くなる) と考えられます。それはたとえば、台湾問題での中国の譲歩 (中国が台湾を放棄し、独立を認める) であったり、中国人の生活レベルの低下 (これは格差の拡大とは異なります。「自分の」生活レベル=「絶対評価の」生活レベルです) であったりするのですが、この二点が崩れないかぎり、中国人は共産党を支持し続けるのではないかと思います。

 そしてこの観点からみれば、

   中国が台湾を「あきらめる」ことも、
   中国が「大幅な」人民元高を容認することも、あり得ない、

という予測が成り立ちます。これらは、共産党が中国人の支持を失うことにつながりかねないからです。
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