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中国経済がデフレ?

2010-11-09 | 日記
三橋貴明 『高校生でもわかる日本経済のすごさ!』 ( p.105 )

 一時は世界経済希望の星などと歌われていた中国も、2009年7月のCPI (消費者物価指数) が前年同月比1・8%の低下となりました。同国のCPIは、これで6ヶ月連続のマイナスになります。
 また、中国はPPI (生産者物価指数) までもが、激しく低下する局面を迎えています。同月の中国におけるPPIはマイナス8・2%と、これまでにない大きな下落率を見せたのです。
 さらに、中国は一部の産業において、供給過剰が危険水域に突入している模様です。
 2009年5月、中国政府は国内の鉄鋼各社に対し「減産」の緊急命令を出し、世界を驚かせました。
 第一章において「政府は企業に指示も命令もできない」と書きましたが、あれは日本が正しく資本主義経済だからこそ言えるのです。表面的な資本主義を装いつつ、内実は共産主義そのままである中国は、政府が企業に命令することが普通に可能なわけです。
 中国政府は同国内の鉄鋼業界全体で、三割の余剰生産能力があると指摘し、命令に従わない場合は「罰則を適用する」と、かなり強い論調で企業に減産を強制しました。もちろん、中国政府が鉄鋼の減産命令を出したのは、史上初めてのことです。
 現在、公共投資による「内需拡大」を派手に喧伝している中国ですが、早くも需要の拡大を疑問視される状況になりつつあります。鉄鋼のみならず、銅やセメントなども供給過剰が明らかになっており、今後は減産対象製品が広がる可能性が高いのです。
 世界で最も成長しているはずの中国で、デフレーションが進行しているという事実は、金融企業や耐久消費財のメーカーの方々にとっては大変なショックでしょう。金融産業や耐久消費財産業は、どちらかと言えばインフレ期の方が売上や利益を伸ばすことができ、デフレは天敵なのです。


 中国では、消費者物価指数も生産者物価指数も下落している、と書かれています。



 しかし、

世界経済のネタ帳」の「中国のインフレ率の推移

を見ると、(一時期) 中国経済でCPIの下落がみられたとしても、全体の傾向としては、インフレ基調にあることがわかります。

 さらに、



REUTERS」の「中国インフレ率、11年は4%上回る見通し─政府研究員=新華社」( 2010年 11月 8日 09:59 JST )

 [上海 6日 ロイター] 新華社は6日、中国のインフレ率は来年、4%を上回り、インフレ圧力は2011年の最初の数カ月にピークとなる、と伝えた。中国国家情報センターの研究員の話として報じた。
 新華社によると、研究員はフォーラムで「中国は来年、強いインフレ圧力に直面する。上昇率は1─3月に最大となる」との見方を示した。

 中国の消費者物価指数(CPI)伸び率は9月は前年同月比3.6%となり、1年11カ月ぶりの高水準だった。ロイターの調査によると、11日に発表される予定の10月のCPI伸び率は4%に達する公算。

 中国政府は2010年の物価上昇率目標(上限)を3%としている。


 直近のCPIは上昇しており、来年は強いインフレ圧力に直面する、と報じられており、



 中国経済がデフレであるという著者の説には、いまひとつ、説得力がありません。

 ここで考えられる可能性は、次の二通りです。

   (1) 著者のいう「減産命令」によってインフレ基調を維持している、
   (2) 「一時的な」CPIの下落をもって、デフレ基調だと判断したのが間違い

 それでは、どちらが適切なのでしょうか。ここで、次の資料を引用します。



大紀元」の「マネーサプライ対GDP比、異常な260% バブルとインフレ危機の元凶=中国」( 10/11/05 07:00 )

 【大紀元日本11月4日】中国ではこのところ、不動産、食品、食糧、綿花などの価格が急騰しており、インフレ圧力が急激に増強した。中国人民銀行(中央銀行)によるマネーサプライの急増が主な原因であると専門家は相次いで指摘する。

 11月2日付「中国経済週刊」によると、中国人民銀行(中央銀行)の元副総裁で、現在全国人民代表大会(全人代、国会に相当)財政経済委員会の呉暁霊副主任は最近、「過去30年間、われわれはマネーサプライを急増させることで、経済の急速な発展を推し進めてきた」と認めた。同氏の話によると、「過去の一定期間、中央銀行にはマネーサプライの過剰な供給という問題がある。特に09年は、金融危機の対応政策として(中央銀行は)超金融緩和政策を採った」という。

(中略)

 1日に4度も変わる食用油の価格 国民生活が苦しい

 マネーサプライの急増で中国経済が大きく拡大したが、同時にインフレ圧力も一段と強まった。2日、国家発展改革委員会(発改会)が発表した10月の都市部食品小売価格調査によると、調査対象となる野菜、果物、食用油など31項目の商品のうち、24項目の価格がそれぞれ9月と比べて上昇している。同調査は北京、上海、重慶などの36の大中都市で行われている。

 また生産メーカー側の相次ぐ値上げにより、食用油、酒、インスタントラーメン、シャンプー、洗剤などの販売価格が10%から20%上昇。「価格表示が間に合わない」、「食用油を例にとると、1日に3、4回値上がりの通知を(生産メーカーから)受け取る。最も多い時は4回も値札を変えた」と北京のスーパーマーケット店員は嘆く。3人から5人家族の世帯の1か月の支出は少なくとも数百元は増えており、国民は物価高騰で生活苦に直面している。

 インフレ圧力を最も強く感じているのは台所を預かる主婦だ。広州市の6人家族を持つ主婦は、昨年と同じような水準の食事を維持するには今、倍近くの食費が必要だと話す。中国の各家庭では物価高騰の対策で、食用油やトイレットペーパーなどの生活に欠かせない物を大量に買い込んだり、生活費を切り詰めたりしているという。


 中国におけるインフレ圧力の原因は、マネーサプライの急増である。中国人民は生活必需品を大量に買い込んだり生活費を切り詰めたりしている、と報じられています。



 中国の人々が生活必需品を大量に買い込んだり、生活費を切り詰めたりしているならば、中国政府としては、「減産命令」を取り消し、「増産命令」を出すはずです。したがって、

   中国でみられたデフレは一時的なものであり、全体としてはインフレ基調である

と考えるべきだと思われます。



 もっとも、インフレの原因は、たんにマネーサプライの急増という金融政策的な側面によるものだとも考えられます。つまり、中国経済は「モノ余り」であるにもかかわらず、金融政策 (または為替政策) によって、インフレ傾向がみられるだけなのかもしれません。

 これについては、機会をみて、さらに考えたいと思います。
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