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中国では 「資本」 がタダらしい

2009-12-12 | 日記
田代秀敏 『中国に人民元はない』 ( p.67 )

 こうした不良債権処理は国家的な 「飛ばし」 とでも言えるもので、不良債権が生み出される構造は変わらない。中国がWTOに加盟した二〇〇一年の暮れには、新たに一兆八〇〇〇億元の不良債権が累積してしまった。WTO加盟時に、二〇〇六年末までに銀行業務を外資銀行に完全開放することを約束したので、銀行の経営再建が急務となった。そこで不良債権処理の第三弾が二〇〇三年末からおこなわれた。
 まず、銀行の資本金をすべて使って不良債権を処理させた。その結果、銀行の自己資本比率はゼロになり、BIS規制どころの話ではなくなった。そこで、中国人民銀行は、中央外為投資会社 ( 原語は中央匯金投資有限責任公司 ) を設立し、その会社に外貨準備から総額四五〇億ドルの米国債 ( 米国財務省証券 ) を出資した。中央外為投資会社は、中国銀行と中国建設銀行とに合計三五〇億ドルの米国債を資本として注入した。こうして、二つの銀行のバランスシートから不良債権は消えてしまったのである。
 中国で最大の銀行である国有の工商銀行に対しても同じような仕方で二五〇億ドルの米国債が資本として注入された。国家的な 「帳簿いじり」 や 「飛ばし」 と違って、米国債の効果は絶大で、冒頭で紹介した史上最大のIPOが達成された。しかし、この不良債権域理には、大きな落とし穴がある。銀行に資本として注入された米国債は、使えない 「見せ金」 なのである。
 中国の国有商業銀行は、事実上、国家機構と一体であり、コーポレート・ガバナンスが原理的に欠如しており、どうしても不良債権が生み出されてしまう。事実、二〇〇五年末で、中国の銀行不良債権の八五%は国有商業銀行が保有している。しかし、もともとあった資本金はすでに使い切ってしまっているので、新たに発生した不良債権が純益を超えてしまうと、注入された米国債を現金化して対処しなければならない。
 だが、総額七〇〇億ドルの米国債を売ろうとすれば、米国債が暴落するおそれがある。そうなれば、中国が大量に保有する米国債の価値が減るだけでなく、ドル金利が暴騰し、ニューヨークの株価が暴落するかもしれない。
 結局、国有企業と国有商業銀行との組織や経営そのものが抜本的に改革されない限り、中国政府は銀行に資本として米国債を次々と注入しなければならなくなる。しかし、そうした改革が困難だからこそ、銀行に米国債を資本として注入したのである。金融を含んだ基幹産業は国有を基本とする原則を続ける限り、今後も銀行への米国債注入をつづけなければならないだろう。


 中国政府が銀行に 「資本として」 注入した米国債は、売却して現金化することが事実上、不可能である。国有企業・国有商業銀行の組織や経営が抜本的に改革されなければ、不良債権は次々に発生し、今後も米国債注入を続けなければならないだろう、と書かれています。



 中国では、不良債権処理が 3 度、なされており、1 度目が 「帳簿いじり」 、2 度目が 「飛ばし」 、3 度目が 「見せ金」 である、というのですが、

 どれも本当の不良債権処理とは考えられませんので、著者が書いているとおり、今後も米国債注入が必要になるのかもしれません。



 この話は、中国では、銀行の 「資本」 はゼロ ( 0 元 ) である、と示しています。要は、

   資本金 0 元の銀行が株式市場に上場し、株価が高騰した、

というのです。株式上場によって現金を得て、そのお金が本来の 「資本」 となった、と考えられます。「中国では、資本がタダである」 と考えてよいと思われます。



 なお、中国の法制度がどうなっているのか、にもよりますが、これはある種、「国家的詐欺に近い」 と考える余地があると思います。
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