言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

政府紙幣発行の効果

2010-10-10 | 日記
田中秀臣 『デフレ不況』 ( p.98 )

 スティグリッツは、政府紙幣の発行が、景気悪化からの脱却の経路として、
 (1) 信用のアベイラビリティー
 (2) 長期実質金利
 の二つに影響を及ぼすと考えており、前者をより重視しています。
「信用のアベイラビリティー」とは、お金を借りる (信用が供与される) 条件を意味します。お金を借りやすい状態か、なかなか借りられない状態かということで、つまり政府が紙幣を発行すると、それによって企業や家計がお金を借りやすくなるということです。
 後者の長期実質金利に影響を及ぼす方法としては、短期国債と長期国債の構成を変更すること、つまり長期国債買いオペを積極的に勧めています。
 この点ではバーナンキと同様のわけです。ただし、これは信用のアベイラビリティーよりも効果が小さいというのがスティグリッツの考えであり、より大きな効果を出すためには、日本銀行が長期国債買いオペをかなり積極的に行う必要があると指摘しています。
 他方で政府発行紙幣の方はより金融的な効果が大きいと見ているので、「慎重なペース配分」が必要となるわけです。わたしは年間五〇〇〇億~八〇〇〇億円規模の政府紙幣を発行する社会実験を試みてはどうかと思っています。
 しかし、問題はこの「政府紙幣の発行」というアイデアに対しても、日本銀行が強烈な拒否反応を示していることです。おそらく「中央銀行としての権限を政府に奪われる」といった、「行益優先」の発想なのでしょう。
 長期国債の買い入れ増額はお断り、政府紙幣の発行も認めない。
 日本銀行はこれら世界一流の経済学者たちの提案をすべて拒否して、なんの手も打たず、なんの責任もとらず、日本の中央銀行として居座っているのです。


 スティグリッツは、政府紙幣の発行によって景気悪化から脱却できる。なぜなら、信用のアベイラビリティーと長期実質金利に影響を及ぼすからである、と説いていると書かれています。



 信用のアベイラビリティー (お金を借りる条件) について、私は、たしかに影響はあるとは思いますが、効果はそれほどでもない、と考えます。なぜなら、

   いかにお金を借りたいニーズがあろうとも、
      返済能力のない人・企業には、銀行はお金を貸さないし、

   いかにお金を貸したいニーズがあろうとも、
      返済能力のある人・企業は、すでに十分お金を持っている

からです。要は、

   借りたい人は借りられず、(銀行が) 貸したい人は借りたくない

という状態である以上、政府紙幣を発行したところで、根本的に状況は変化しないはずだと思います (「FRB の金融緩和は効くのか」参照 ) 。



 次に、長期実質金利については、スティグリッツの説くように、信用のアベイラビリティーよりも効果が小さいのであれば、

   信用のアベイラビリティーの効果が小さい以上、
         政府紙幣発行の効果はもっと小さいはず

だと考えられます。とすれば、やはり、政府紙幣を発行したところで、根本的に状況は変化しないはずだと考えられます。



 しかし、いかに効果が小さかろうと、「対策をしないよりはよい」という考えかたも成り立ちます。政府紙幣発行の効果として、もっとも重要だと私が考えるのは、

   政府紙幣の発行により、中央銀行に金融緩和を促す効果が生じる

ことです (「ルーズベルトの政策 ( 量的緩和 )」参照 ) 。

 もっとも、これについては、金融緩和の効果をどう考えるかも影響してきますので、いちがいに、金融緩和を促せばよいというものではないこと、もちろんですが (「バーナンキの背理法」「クルーグマンの比喩「子守協同組合」」参照 ) 、

 私はいまのところ、金融政策と財政政策の両方を実施すればよい、と考えています (「金融政策と財政政策、どちらが効果的か」「デフレの脱出策と日銀の説明責任」参照 ) 。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 過去記事を訂正しました。 | トップ | 対中経済支援は日本を危険にする »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。