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レアアース問題の解決策

2010-10-07 | 日記
 先日の尖閣諸島沖漁船事件で、レアアースの問題が浮上し、レアアースを中国にばかり頼っていては大変なことになることが示されました。

 そこで、今日は今後に備え、レアアースの問題をどうすべきか、について意見を述べます。



 対策としては、次の 2 つが考えられます。

   中国以外の調達先を確保する。
   そもそもレアアースを使わない。

 最初に、抜本的な解決策である「そもそもレアアースを使わない」という可能性について考えます。



産経ニュース」の「レアアースの代替技術を開発、NEDO 資源確保へ実用化に期待」( 2010.9.16 16:42 )

 経済産業省所管の独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は16日、レアアース(希土類)の一種で液晶テレビのガラス基板の研磨材に使われるセリウムの代替技術と使用量低減技術を開発したと発表した。レアアースをめぐっては産出国の中国が輸出を規制するなど、安定調達が大きな課題になっており、新技術の早期の実用化が期待されそうだ。

 開発したのはNEDOの「希少金属代替材料開発プロジェクト」に参画する立命館大学、アドマテックス(愛知県みよし市)、クリスタル光学(滋賀県大津市)、九重(ここのえ)電気(神奈川県伊勢原市)の研究グループ。  代替技術は、研磨パッドを新たに開発することで実現した。ガラス研磨は、研磨パッドの多孔質ポリウレタン樹脂と、砥粒(とりゅう)(除去作用を行う硬質な粒子)の酸化したセリウムを分散した液体を組み合わせて行われる。

 研究グループでは、研磨パッドに多孔質エポキシ樹脂を使ったところ、従来の2倍超の研磨効率があることを突き止めた。このエポキシ樹脂とセリウム代替材料として価格が半分で入手しやすい酸化ジルコニウムを砥粒に使うと、セリウム研磨を大きく上回る研磨効率が確認できたという。

 一方、低減技術は砥粒を複合タイプにすることで達成した。有機物の表面に酸化セリウムを付着させた構造を採用した結果、研磨効率が50%高まり、その分使用量を削減できるとしている。


Searchina」の「日本がレアアース不要の次世代モーターを開発、中国依存に変化も」( 2010/09/30(木) 13:03 )

  日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と北海道大は29日、レアアース(希土類)を使わない次世代自動車用モーターの共同開発に成功したと発表した。環球時報が伝えた。

  尖閣諸島(中国名:釣魚島)で発生した漁船衝突事故をめぐり、中国からのレアアースの対日輸出が一時滞ったことで、日本を含め、世界中でレアアースの稀少性に対する危機感が高まった。世界で生産されるレアアースの9割が中国産であることから、米国では「中国がレアアースを武器化している」との報道も見られた。

  ハイブリッド自動車や電気自動車のモーターにはレアアースが必要不可欠だったが、NEDOと北海道大はモーターの構造を改良し、レアアースを使わずに高出力を実現させた。新しい技術の開発はモーターのコスト低減につながるだけでなく、レアアースをめぐる中国依存にも変化をもたらす可能性がある。(編集担当:畠山栄)


 独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) などがレアアースを使わない技術の開発に成功した、と報じられています。



 次々に開発成功が報じられており、最終的には、レアアースを使う必要性が「まったくない」状態になるのかもしれません。

 しかし、技術開発に成功したとはいっても、現実に量産段階に入れるかどうかは、また別の話だと思います。また、分野によっては、依然として、レアアースを使わない技術が開発されていないケースもあるでしょう。

 したがって、いまの段階では、レアアースを使わないという選択はありえないと思われます。



 そこで、次に、「レアアースの調達先を中国以外に求める」という選択について考えます。



 この可能性について考えるには、いま、なぜ中国がレアアースに影響力をもっているのか、を考えなければなりません。そこで、次の記事を引用します。



My Life After MIT Sloan」の「中国がレアアース輸出規制したって怖くない理由

2.レアアースは中国が世界の9割以上を産出してるというけど、なぜなの?

さて、このレアアース(希土類)、何で中国がそんなに大量に生産してるのか、と思うでしょう。
実は、中国といってもたった一箇所、モンゴルとの国境に近いバイユンオボ鉱床 (Bayan Obo)だけから生産されている。

この鉱床が有名になる前は、レアアースは世界中で産出されていた。
特にアメリカのカリフォルニア州にあるマウンテンパス鉱床が有名で、1980年代には世界の50%以上のレアアースが産出されていた。
実際、バイユンオボ鉱床についで、レアアースの圧倒的な埋蔵量を誇っている鉱床だ。
ほかにも、オーストラリア、ブラジルなどが著名な産地だった。

ところが、バイユンオボ鉱床は、希土類の鉱質が地表面に出ているような状況で、要は掘るのにコストがかからない。
中国のこの鉱床が出てきたおかげで、採掘コストに対して市況が安くなってしまい、他の鉱床は採算が取れなくなってしまった。
それで、マウンテンパス鉱床はなんと2002年に休止、オーストラリアや他の国の鉱床も、採掘量を減らしてしまったのである。

このバイユンオボ鉱床の圧倒的な採掘コストの安さが「レアアース中国93%依存」というおかしな状態を生み出してしまったのだ。


 中国以外にもレアアースの鉱床はある。しかし、中国の鉱床においてのみ、レアアースは地表に露出している。したがって価格競争力の面で、中国産レアアースは圧倒的である、と書かれています。



 価格が圧倒的に安い以上、中国以外にレアアース調達先を求めるという選択は、現実には難しいと考えられます。わざわざ高いレアアースを使うという選択は、経済的にみて、合理的ではないからです。

 ここで、次のニュースが気になります。



asahi.com」の「レアアース輸出拡大、中国側「ゼロ回答」 日中経済対話」( 2010年8月29日0時43分 )

 【北京=琴寄辰男、古谷浩一】日中両政府の経済閣僚が集まる「日中ハイレベル経済対話」が28日、北京で開かれた。ハイブリッド車(HV)や省エネ家電の部品生産に使われる「レアアース(希土類)」の輸出枠を中国が大幅に削減した問題で、日本側は「世界全体に大きな影響がある」などとして削減の再考を求めたが、中国側は採掘に伴う環境問題などを理由に応じず「ゼロ回答」に終わった。

 直嶋正行経済産業相がこの日、中国の李毅中・工業情報相、陳徳銘・商務相との会談で中国側に申し入れ、閣僚がそろう全体会合でも輸出枠の拡大を求めた。日本側の説明によると、中国側は「環境対応で生産量を減らす必要がある」「資源の枯渇が見込まれ、節約が必要だ」と主張し、議論は平行線に終わった。陳商務相はこの日、記者団に「国内でも採掘を制限しており、(日本にも)理解してもらいたい」と語った。

 中国は7月、今年下半期向けの輸出枠を約8千トンと発表。年初からの合計では約3万トンにとどまり、前年比約4割の大幅減となった。世界生産の9割超を握る中国が今後も輸出枠を削減する姿勢を続ければ、HVや省エネ家電の生産にも影響が出る可能性がある。

 日中ハイレベル経済対話は2007年12月に第1回会合が北京で開かれ、今回が3回目。日本側は岡田克也外相、直嶋経産相ら6閣僚が訪中し、中国側は王岐山(ワン・チーシャン)副首相らが出席した。レアアースを巡る議論のほか、マグロ類資源保護での協力や省庁間の定期協議設置などに合意した。

■「戦略資源」高値化狙う

 中国側がレアアースの輸出を制限するのは、ハイブリッド車(HV)や省エネ家電などに欠かせない「戦略資源」を、国内需要向けに計画的に使うとともに、価格支配力を強めて海外にもっと高値で輸出したいからだ。

 「下半期だけでみれば輸出枠は7割減。これはやりすぎだ」

 直嶋経産相は、中国側の関係2閣僚との会談でこう食い下がった。中国が削減の理由に挙げた採掘に伴う環境問題について「日本に技術的に協力できるところがあるかも知れない」とも申し出たが、中国側が譲る気配はまったくなかったという。

 中国国土資源省幹部は今月、地元テレビのインタビューで「乱開発で価格を押し下げられてきた。ある地方政府幹部に言わせれば『大根や白菜のような値段』だ」と不満を表明。中国ではレアアースを国内で加工し、付加価値をつけて高く売ることを目指している。中国メディアによると、広東省河源市の国土資源局幹部は「加工すれば金やダイヤモンドの値段になる」と話した。

 レアアースの世界生産の9割超を握る中国に対し、輸入に頼る日本の立場は弱く、打開策はすぐには見つかりそうもない。液晶テレビのガラス基板の研磨剤などに使われるセリウムの価格は1キロあたり40~50ドルと、1年前の5~6ドルから急騰。家電1台あたりの生産に必要な量は少ないため、商品価格がすぐに上がることは考えにくいが、製造過程に支障が出るおそれもある。

 日本の合金メーカー大手の幹部は「これまでも中国は輸出枠を絞ってきたが、今回は日本の景気が回復しつつあり、モノがほしい時に重なった。価格も青天井で上がる気配で、ショックは大きい」と困惑を隠さない。

 輸出規制だけではなく、採掘制限の強化もささやかれている。この幹部は「いまは在庫はあるが、レアアース自体が入ってこなくなることが心配だ。今後は中国国内での生産や、中国以外の調達先を探すことも考えなければならない」と話した。(琴寄辰男=北京、神谷毅)


 8 月 28 日の「日中ハイレベル経済対話」において、日本側の要請にもかかわらず、中国側は「環境対応で生産量を減らす必要がある」「資源の枯渇が見込まれ、節約が必要だ」として、「レアアース(希土類)」の輸出枠を大幅に削減する方針を変えなかった。レアアースの価格は、たとえばセリウムでは約 8 倍と、この 1 年で急騰している、と報じられています。



 レアアースの価格はこの 1 年で急激に上昇しており、今後も価格上昇が継続すると予想されているなら、中国以外の鉱床も、次第に価格面で採算に合うようになると思われます。

 したがって、レアアースに対する中国の影響力は次第に小さくなると考えられます。今後、尖閣諸島沖事件のような事件が発生した場合にも、レアアースの問題が日本の弱点になることはないかもしれません。

 しかし、価格差が小さくなっても、やはり、価格差は残るとみなければなりません。採掘コストが圧倒的に異なる以上、価格差が縮まってくるとはいえ、中国産レアアースは、やはり他国産レアアースに比べ、安いままだと思われます。

 とすれば、すこしでもコストを抑えるために、やはり、中国産レアアースへの需要は圧倒的なまま、変わらないと思います。価格差が縮まるとはいえ、品質が同じならば、安いに越したことはないからです。逆にいえば、わざわざ高いものを選ぶ必要性がありません。

 もちろん、今回のような状況を避けるために、危機管理の観点から、あえて高い他国産レアアースを使う、という選択もあります。しかし、買い手の立場でみれば、他社との競争が存在している以上、他社が中国産を使うなら、自社も中国産でなければ競争に負けてしまうかもしれず、あえて高い他国産レアアースを使うというのは、他社が中国産から切り替えるかどうか、にかかっている面もあると思われます。

 平時であれば、中国産のみを使っているほうが有利なのであり、この可能性は十分、考えられるとみてよいと思います。



 したがって、このような問題を回避するために、レアアースを使わない技術開発を続けたり、レアアースの備蓄を行うことはもちろんですが、このような対策とともに、

   当面のあいだ、中国産以外のレアアース使用を義務づける
      ( たとえば全使用量の半分を中国産以外のレアアースにする)

ことが必要なのではないか、と思います。



 なお、中国側の言い分として、次の記事が参考になります。



中国語翻訳者のつぶやき」の「中国のレアアースが世界に与えた影響

中国側にもそれなりに言い分があります。中国中央テレビは9月29日の討論番組「環球視線」で「中国のレアアースは、中国が決める」と題して、レアアース問題について解説を行いました。

その中で、有名なテレビキャスター水均益氏は「中国は世界の97%のレアアースを産出しているにもかかわらず、自国で備蓄している量は世界の30%余りしかない」と解説しました。

これに対しテレビの論説委員は、「実のところ先進国のレアアースの備蓄量は十分足りており、例え中国がレアアースの輸出を全面的にストップしたとしても向こう20年間の生産には困らないほどの量はある」と説明し、「西側メディアがレアアースのことであれこれ中国を批判するわけは、これまで白菜が買えるような安い値段で、中国からレアアースを買ってきた先進国が、引き続き安値で中国から買うべきだと考えているからにほかならない」と解説しました。これまで長きにわたって先進国にレアアースをいいように買い叩かれてきた中国にも相応の発言権があると主張したわけです。

また論説委員はレアアースがアメリカの兵器製造など軍事目的にも使われていることに触れ、「中国が輸出したレアアースがアメリカで兵器に変わり、台湾に売却されてわれわれを脅かしている。こんなばかげたことはない。アメリカに倣って、中国も売却の際にレアアースを平和目的のみに使用するよう外国に確約させるべきだ」と述べました。

このほか中国国内でも、レアアースの採掘によって深刻な自然破壊が進んでいるという現実もあります。レアアースの採掘業者に対する規範もしっかり固まっておらず、業者による無秩序な開発が大きな国内問題になっており、業者が排出した有毒な汚水により、周辺住民が公害を患うといったケースが多発しているのです。中国としてはレアアースの生産自体縮小したいというのも本音なのだといえます。


 中国側の言い分として、レアアースの価格は安すぎる、先進国には 20 年分の備蓄がある、中国産レアアースはアメリカの兵器にも使われている (その兵器が台湾にも売却されている) 、採掘によって中国では鉱床で深刻な自然破壊が進んでいる、などが主張されている (または考えられる) と書かれています。



 このような事情・言い分が中国側にある以上、中国の態度は変わらないと予想されます。したがって、なおさら、上記の対策 (一定の割合で、中国産以外のレアアース使用を義務づける規制) が、必要なのではないかと思います。
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