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生産性の減速と加速

2011-08-06 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.300 )

 生産性の成長率は決して安定的でなく、また確実なものでもない。労働1時間当たりの生産量で測ったアメリカの諸企業の生産性は、1959年から1973年にかけて、年率3・2%で成長した。その後生産性は減速し、1973年から1995年までは、生産性の成長は年率でわずか1・5%であった。1995年に生産性は再び加速しはじめ、その後の6年間には平均して年率2・6%で成長した。
 生産性の成長のこのような変化がどのような影響を及ぼすかは容易にわかる。生産性は実質賃金と家計所得に反映される。生産性の成長が減速したとき、典型的な労働者が受け取るインフレ修正後の昇給額は少なくなり、多くの人々は一般的な意味での経済的不安を経験した。たとえわずかな変化であっても、長年にわたって積み重なると、生産性の成長の変化は大きな影響を与えた。もし1973年にこの減速が起こっていなければ、平均的なアメリカ人の所得はいまよりも約50%高くなっていただろう。同様に、生産性の成長が1995年に加速したことによって、アメリカの実質所得はすでに約7%増加している。
 生産性の成長のこうした変化の原因は特定しにくいが、はっきりとした事実が一つある。これらの変化の原因を、最も容易に測定できる生産要素に求めることはできないということである。経済学者は、労働者が利用できる物的資本の量を直接測定できる。また、人的資本も在学年数という形で測定できる。それらをみると、生産性の成長の減速と加速は、主としてこれらの投入要素の成長の変化によるとはいえないようである。
 技術は数少ない残された犯人の一つである。すなわち、他の説明をほとんど除外した結果、多くの経済学者は、経済成長の減速と加速は財・サービスの生産方法に関する新しいアイディアの発生の変化に起因すると考えている。「アイディア」の量は測定しにくいので、この説明は立証するのも反証するのも困難である。しかし、この仮説はもっともらしく思われる。1995年からの生産性の成長の加速は、情報技術(IT)とインターネットの急速な成長と同時に起こっている。
 技術進歩と経済成長は将来どうなるだろうか。歴史をみる限り、いかなる予言も確信できる理由はほとんどない。生産性の減速も加速も、それらが現実となる以前に予想した予測家はほとんどいなかった。
 しかしながら、歴史は正常な技術進歩率がどれくらいかということについては、ある程度の目安を与えてくれる。図10-2は、先進諸国の1人当たり実質GDPの平均成長率を1870年までさかのぼって示している。生産性の減速は明らかである。1970年を境に、成長率は3・7%から2・2%へと減速した(生産性の加速がこのデータに表れていないのは、それがあまりにも短期的で、主としてアメリカで起こった現象だからである)。この図は重要な教訓を示している。歴史的に比較してみると、変則的なのはむしろ1950年代と1960年代の急速な成長のほうである。おそらく、第2次世界大戦後の数十年間が異常に急速な技術進歩の時期だったのであり、1973年から成長が減速したのは、技術進歩がより正常な率に戻ったからにすぎないのである。


 生産性の減速・加速の変動は不規則的である。生産性を上昇させる要因はわかっていないが、消去法で考えれば、おそらく技術進歩なのではないかと思われる。技術進歩であると考えれば、生産性の成長率の変動が不規則であることとも合致する、と書かれています。



 生産性を上昇させる要因がわかっていないのであれば、生産性を上昇させる決定打は見当たらない、ということになりますが、

 おそらく技術進歩であろう、ということであれば、技術進歩を促進する政策をとればよい、ということになります。

 その方法は、たくさんあります。たとえば、
  • 理系の待遇を改善する。
  • 特許制度を強化する。
  • 政府が研究開発に補助金等を出す。
  • 税制面で優遇する。
などが考えられます。



 しかし、ここでもっと興味をそそられるのは、「なぜ、第二次大戦後のアメリカで、急激な技術進歩が起こったのか」です。いくつか可能性が考えられますが、ひとつ気になるのは、「逆かもしれない」という可能性です。つまり、

   第二次大戦後のアメリカでは、
   急激な技術進歩が起こったから所得が増えた

のではなく、その逆、

   第二次大戦後のアメリカでは、
   歴史上稀なほどリッチだったので
   急激な技術進歩が起こった

という可能性もあるのではないかということです。

 著者はこの可能性(逆である可能性)について言及していませんので、著者がこのような可能性を否定したうえで「生産性の上昇の原因は技術進歩であろう」と書いているのか、あるいは、このような可能性を考えもせずに「技術進歩であろう」と書いているのか、そのあたりはわかりません。

 この(私の)考えかたが成り立つかどうかはともかく、



 経済学では一般的に「技術進歩が生産性の上昇をもたらし、経済成長をもたらす」と考えているようなので、とりあえず、「技術進歩が経済成長をもたらすので、技術進歩を促進する政策をとればよい」と考えておけばよいのではないかと思います。



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