言語空間+備忘録

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アメリカの本音とアジアの本音

2009-11-25 | 日記
リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.188 )

 今回の危機と貿易不均衡の関係である。ここにはいくつかの論点がある。
 まず最近でこそ金融危機で耐久消費財が買われず日本は一時的に貿易赤字にまで転落したが、日本が不況だった一五年間に、日本の貿易黒字は図 21 にあるように増えもしないし、減ってもいない。増えていないということは、海外にそれまで以上の迷惑はかけていなかったということである。
 一九九九年六月に、当時、大蔵省財務官で 「ミスター円」 と呼ばれた榊原英資氏が、とにかく円安にすると言い放って、アメリカの通貨政策責任者であったローレンス・サマーズ財務副長官の逆鱗に触れ、逆に円が急騰するということがあった。もともと世界最大の貿易黒字国だった日本が、円安によって輸出で不況から脱却しようとして、全世界から袋だたきにあったのである。これはつまり、貿易黒字国がバランスシート不況に陥ったときは、外需ではなく、自ら財政出動で不況を克服しなければいけないということである。
 しかし、アメリカは世界最大の貿易赤字国である。貿易赤字国が自国通貨を安くして貿易赤字を解消しようとするのは正当な政策対応であり、誰からも非難される理由はない。従ってアメリカとしては、ドル安にしてどこが悪いのかという気持ちがものすごくある。ある意味で、バーナンキFRB議長がそれを代弁しているところがあるし、そのような声は不況が深刻になればなるほど大きくなる。
 二点目に注意すべき点は、アメリカが巨額の貿易赤字を出していることで、同国内に 「アメリカがこれから財政出動をやって、その恩恵を受けるのが中国や日本の輸出業者だったら、何の意味もないじゃないか。それだけは絶対に避けなければならない」 と言う人が大勢いるという点である。これは半分、保護主義の発想である。そして、その保護主義を避けるためには大幅なドル安が必要という声がある。このような見解を持つ人は議会にもいるし、オピニオンリーダーと言われる人たちのなかにもいる。実際に一九八五年九月のプラザ合意は円ドルレートを一ドル二四〇円から一二〇円まで持っていったが、その目的はアメリカの保護主義を抑えることであった。
 また実際に世界の各国が保護主義をとるようになったら、一九二九年の大恐慌の再来となってしまう。そうした最悪の事態を避けるには、日本も中国もまずきちんと財政出動をやることが大切である。われわれアジアの輸出国は欧米の財政出動にただ乗りしているわけではないということを、まず最低限示す必要があるからだ。

(中略)

 それではなぜ私が 「最低限」 と言うかというと、ここが三点目となるが保護主義回避という重大な目標とは全く別の観点から今回の金融危機の背景には貿易不均衡があるのではないかという見方が欧米にあるからだ。つまり、あまりにもアジアからお金が入ってくるから、アメリカではお金があまってこんな金融資本主義になった。もし貿易不均衡が当初からあれほど大きくなければ、アジアからアメリカにそんなにお金が入ることもなかっただろうし、それがなければあんな変なことをウォール街がやることもなかったのではないか、という声があるのである。

(中略)

 アメリカから見れば、アジアが対米貿易黒字を出し続け、そこで稼いだドルをアメリカで運用しようとしたことが今回の金融資本主義の暴走を可能にしたと映るのである。
 確かにアメリカは日本や中国に対して何回も 「貿易黒字を減らせ。通貨を上げろ」 と言ってきたが、日本も中国もずっとそれに抵抗してきた。今回の金融・経済危機は中国や日本に言わせると、みんなアメリカのせいだとなっているが、アメリカから見ると責任の半分はアジアにあると映るのである。アジア諸国がいつになっても通貨を上げようとしないから、貿易不均衡を介してアメリカに余計なお金が入り込んでこんなことになったんだ、という見方が根強くあるのだ。


 アメリカの気持ちが紹介されています。



 著者によれば、アメリカの気持ち ( 本音 ) は、

  1. 貿易黒字国が不況に陥った際、自国通貨安政策をとることは許されない。したがってアメリカはそれを阻止する。逆に、貿易赤字国 ( 米国 ) がドル安にするのは当然である。
  2. アメリカの財政出動に、アジアが 「ただ乗り」 することは許さない。そのために保護主義をとれという声を抑えるには、ドル安が必要である。
  3. アメリカはずっと、「貿易黒字を減らせ。通貨を上げろ」 と言ってきたのに、アジアが抵抗してきたのがいけない。早く通貨を上げて貿易黒字を減らせ。

です。

 これは要するに、アジア ( 諸国 ) は いつもアメリカに輸出して稼ごうとする。早く ( 対米貿易 ) 黒字を減らせ。そのために通貨を切り上げろ、です。

 「中国の政策スタンス」 で引用した報道記事には、その攻防の一端が垣間見えている、と考えてよいと思います。



 これに関して、私が感じるのは、日本は 「おいしいポジション」 にいるのかもしれない、ということです。

 ( 図は画像として取り込む必要があるので、省略していますが ) 引用文中の 「図 21」 には、1990 年 ~ 2009 年における、日米中の貿易黒字 ( 赤字 ) 額がグラフとして表示されています。これを見ると、

   米国の対日貿易赤字額は一定で、増えもせず、減りもせず、といった感じ

です。それに対して、米国の対中貿易赤字額は激増しています。

 日本は中国に部品を輸出し、中国が組み立ててアメリカに売っている、とすれば、

   日本は、面倒なアメリカとの交渉を、中国に丸投げした、

ともいえ、( 不謹慎な表現かもしれませんが ) ある意味、日本は 「おいしいポジション」 にいるのかもしれない、と感じるのです。



 アメリカの言い分に対して、アジア ( 輸出国 ) としては、おそらく、「だったら買わなきゃいいじゃないか。俺たちは努力して、安くていいモノを作っているんだ。それのどこが悪い」 ということになるのでしょうが、アジアが対米輸出で稼ごうとするかぎり、
  • アメリカが危機を抜け出さないことには、( いつまで経っても ) アジアの状況も好転しないうえに、
  • 「世界の覇権国、世界最大の軍事大国であり、かつ、世界最大のお客様」 であるアメリカに対して、文句を言っても始まらない

ところもあり、

   アジアは内需拡大に向かうべきではないか、
   せめて、通貨を切り上げるべきなのではないか、

と思います。アメリカが復活しなければ、どのみち、嫌でも内需を拡大せざるを得なくなります。



 それでは、どうやって内需を拡大するのか、と問われると、わかりません、となってしまうのですが。。。

 エコカー補助とかエコポイント、それって 「エコ ( eco ) じゃなくてエゴ ( ego ) だろ」 といった批判もありましたが、「じゃあ、なにがある?」 と考えると、難しいですよね。
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