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地政学の概要

2010-09-11 | 日記
曽村保信 『地政学入門』 ( p.26 )

 事実上現代の地政学の開祖ともいっていいH・J・マッキンダー (Sir Halford J. Mackinder) は、一八六一年に英国のリンカーンシャーで生まれた。

(中略)

 彼は第一次大戦を基本的にいって、ユーラシア大陸の心臓部を制覇しようとする大陸勢力と、これを制止しようとする海島国 (英国、カナダ、米国、ブラジル、豪州、ニュージーランド、日本) の連合およびフランスやイタリア等の半島国――いいかえれば、つまり海洋勢力――とのあいだの死活をかけた闘争であると見た。そして、今後世界の平和を保証するためには、東欧を一手に支配する強力な国家の出現を絶対にゆるしてはならないと力説した。彼の国際連盟の構想は、いわばこの目標を実現することにかけられていたといってもいい。
 しかしこれだけでは、あまりに要約が簡単で、なかなかその意味をつかみにくいだろう。彼は英国人であったから、シー・パワー (sea power) の世界史的な意義を本能的に理解できた。また地理学者であったから、ユーラシア大陸内部の歴史にもよく精通していた。したがってルネサンス以後の西欧諸国の発展は、要するにその間において、背後にそれを脅かすにたりるだけの大陸の勢力が存在しなかったためであると結論した。しかしながら一九世紀の末期頃になると、交通、運輸、通信等――つまり、ひとくちに今日の言葉でいってコミュニケーションの手段に格別な変化が起こって、大陸の内部に大帝国が出現する条件が兆し (きざし) 始めた。それがロシアないしは新興のドイツのいずれかであったことはいうまでもない。ともかくも彼の史観は、ヨーロッパの運命がユーラシア大陸の内部における勢力の変動によって決定的に左右される、という見方で貫かれている。その意味において、ユーラシアを、単にヨーロッパ・プラス・アジアだと考えてはならない。そして、このことをユーラシア大陸内部の地理的な特徴から徹底的に論証しようと試みたところに、本世紀初頭における彼の一大発見があった。これが今日地政学といわれるものの、そもそもの出発点である。

(中略)

 そして、その戦いの帰結がどうやらはっきりした一九一八年の晩い (おそい) 頃に、マッキンダーは、彼の学説の中心となった『デモクラシーの理想と現実』(Democratic Ideals and Reality, 1919)という現代地政学の古典中の古典を書き上げて、その翌年に出版している。
 これは、その題名が示しているように、一九一七年にアメリカ合衆国が参戦した際にかかげた、「デモクラシーにとって安泰な世界を築く」(to make the world safe for democracy) というスローガンにたいして、現実の政治外交の観点から答えたものであり、その理想はきわめて結構だが、しかしながらそれを具体化するためには将来、原料や貿易、重要な産業等の独占をはかろうとする大陸国家の出現を絶対にゆるしてはならぬということを力説したものである。
 その際彼は一八七八年という年を新時代への転換期として、ことさら重視している。なぜならば、この年に英国の技術と資本とでアメリカに建設した鉄道が営業を開始したし、またやはり英国で建造した鋼鉄製の貨物船が大西洋で就航したからだ。それまでは主として帆船が、たとえば綿花、綿製品や、木材、石炭のような比較的軽い荷物を運んでいた。が、一八八〇年代以降は、バラ積み船の出現によって、小麦や鉄鉱石、石油のような物資を大量に運べる時代が来た。ということは、つまり原料産業 (一次産業) の独占主義的な経済における比重が相対的に低下したことを意味するもので、今後先進的な工業国家が特定の場所に偏在しないようにすることが世界の平和にとって必要である、とマッキンダーは説いた。これが彼の主張した国際連盟の主旨だった。

(中略)

 このときのマッキンダーの直観的な結論は、彼自身によって、次の三行に要約されている。
 Who rules East Europe commands the Heartland:
 Who rules the Heartland commands the World-Island:
 Who rules the World-Island commands the World.
 〔東欧を支配する者はハートランドの死命を制する。ハートランドを支配する者は世界島の運命を決する。そして世界島を支配する者はついに全世界に君臨するだろう〕

(中略)

 ここではただ、世界島というのは、旧ユーラシア大陸にアフリカを加えたもの、そしてハートランドというのは、それぞれの内陸地帯を指すものだ、とだけいっておこう。これは、つまり旧ヨーロッパの航海者の観点からみて、いわゆる大陸といわれたもの、あるいは海上交通の立場からみて接近が不可能な地域をそれぞれ指しているものとみていい。


 地政学の骨格をなす、マッキンダーの理論の概要が紹介されています。



 国際情勢が今後、どのように変化するのか、その予測に興味があります。国際情勢の動きがわかれば、私が、あるいは日本が、「いま、どのようにすればよいか」がわかるはずです。

 国際情勢の分析と予測を行うには、その基礎になる理論、すなわち地政学の知識が前提になると思います。というわけで、今後のために、重要だと思われる部分を引用します。



 地政学では、ランド・パワー (大陸勢力) とシー・パワー (海洋勢力) の対立、という構図がさかんに説かれます。たとえば冷戦は、ランド・パワーたるソ連を、シー・パワーたるアメリカが押さえこもうとする構図だった、と捉えます。これは、たんにそのように「も」捉えられるというのではなく、アメリカは地政学理論に沿って動いていたとみる、ということです。

 つまり、地政学の立場では、アメリカは地政学理論を肯定しており (地政学理論に沿った動きをしており) 、したがって地政学理論がわかれば、アメリカの動きがわかる、という話になります。したがって地政学理論がわかれば、国際情勢の分析・予測がしやすくなるはずです。



 そこでマッキンダーの理論ですが、要は、

   ユーラシア大陸を制する者が、世界を制する、
   したがってユーラシア大陸を制覇する国家の出現を阻止しなければならない、

というものです。

 上記引用文中、
彼の史観は、ヨーロッパの運命がユーラシア大陸の内部における勢力の変動によって決定的に左右される、という見方で貫かれている。その意味において、ユーラシアを、単にヨーロッパ・プラス・アジアだと考えてはならない。
とあります。

 これはつまり、「ユーラシア大陸を制覇する国家の出現を阻止しなければならない」理由が、「ヨーロッパの都合」によるものであることを示しています。すくなくとも、(広く解して) 日本やアメリカを含む「海洋国家群にとっての都合」であることを示しています。



 この理論を、現在のアメリカが重視しているとすれば、

 「アメリカが中国に覇権の一部を譲り渡そうとしている」、あるいは「アメリカは中国と共同で世界に君臨しようとしている」などといった考えかたは、否定されることになります。また、
今後先進的な工業国家が特定の場所に偏在しないようにすることが世界の平和にとって必要である、とマッキンダーは説いた。
というのですから、「(政治的・軍事的にはもちろん) 経済的にも、中国がこのまま発展し続けることをアメリカが許すはずがない」と考えることになります。

 これを日本の立場でみれば、「今後のことを考えれば、親米路線を捨てて親中路線に走るべきである」「今後は米国市場ではなく、中国市場が重要である」といった考えかたには、重大な疑問符がつく、ということになると思います。



 そこで、地政学 (この本の内容) について考えたいと思います。
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