言語空間+備忘録

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高齢者の医療費

2009-09-06 | 日記
森谷正規 『戦略の失敗学』 ( p.264 )

 七五歳以上の高齢者の医療費は、〇七年度は全国平均では年間一人約八七万円であり、やはり非常な高額だ。一方、保険料は一人平均年間約七万二〇〇〇円である。つまり、医療費のうち、支払う保険料で負担するのは一〇分の一にも満たない。この差額をカバーするのはたいへんなことであるのは間違いない。
 では、どうするのか。新しい医療制度によれば、医療費の九割にもなる給付費のうち、五割は税金から補填し、四割は健康保険が支援金として拠出する。つまり、壮年、若年層の負担となるが、それで良いのか。国民に広く負担してもらわねばならないのだが、何とか少なくする方法はないのか。
 問題は、この後期高齢者医療制度に、給付費を減らすつまり医療費を減らす努力をするインセンティブが組み込まれていないことである。この制度の運用主体は、「広域連合」と言われる地方自治体の連合であるが、主体としてはあいまいであり、しかも自ら大きな給付費を支払うわけではなく、したがって高齢者の健康管理を具体的な施策によって積極的に進めることは考えられない。高齢者の医療費の増大は、現状では防ぎようがないのだ。
 そもそも厚生労働省は、この制度をスタートさせる際に、高齢者の医療費の増大を防ぐ対策を同時に考えるべきであった。それが、制度が抱える本質的な困難な問題であるからだ。しかもその問題が解決できないと、給付費の四割も負担する健康保険組合の拠出が膨れ上がって、大半の組合が保険料をかなり上げざるをえない。それでも大赤字に陥る組合が多く、破綻に瀕する恐れがある。
 それが、この後期高齢者医療に関する制度がもたらす最大の失敗である。その失敗は、これから医療全般に大きな悪影響として生じてくる。
 厚生労働省は、この新しい制度を国民に良く理解してもらう努力をどれほどしたのか。低所得者の保険料の軽減措置などを講じていて、全般的には高齢者の負担が大きくはならないのだが、詳しい説明がないから、名称や天引きなど批判や不満が強く生じることになった。
 その国民の理解で、厚生労働省が最も力を注ぐべきは、後期高齢者の医療費が膨大な額になっていると知ってもらうことだ。七五歳以上の高齢者は全国で一二六〇万人いて、全人口の一〇%ほどだが、その医療費は、〇七年には一一兆円に達している。この年の医療費の総額は三三・四兆円であり、ほぼ三分の一である。
 この後期高齢者の比率は、これからかなりのペースで高まっていく。総務省統計局の推計では、七五歳以上の全人口に対する比率は、二〇一五年には一二・五%、二〇二〇年には一四・二%になり、人口にすると、二〇一五年に一六〇〇万人、二〇二〇年には一八〇〇万人を超える。したがって、七五歳以上の医療費はこのままでは、二〇一五年には三兆円、二〇二〇年には四・六兆円も増える。七五歳以上の医療費が、医療費総額の四割を超えるのである。それを誰が負担するのか。壮年、若年の健康保険料をさらに増やせば、不満が大きく高じるに違いない。


 高齢者の医療費が増大しており、それをどうするかが問題になっている、と書かれています。



 高齢者の医療費が増大しているのは、医療の進歩によって、長生きする人が増えたことや、一人あたりの医療費が高額になってきたこと、などが考えられると思います。

 後期高齢者医療制度は、この問題に対するひとつの解答ですが、現状に対する説明、新制度に対する説明、ともに、詳しい説明がなく、国民の理解が得られていないと指摘されており、それはたしかにその通りかもしれません。しかし、国民の理解を得る、とはいっても、要は、国民に 「いまの価格でいまのレベルの医療を提供するのは限界です。国民の負担を増やすしかありません」 と伝えるにすぎないと思われます ( それが重要であることはもちろんですが ) 。




 それではどうすべきか。対策は、(1) 国民負担を増やすか、(2) 医療費を減らす、そのふたつしかありません ( 論理的には、お年寄りの数を減らす=殺す、若者の数を増やす=人口増加政策、も考えられますが、お年寄りを殺すというのは論外であり、人口増加政策については速効性がないので、ここでは除外して考えます ) 。

 (1) 国民負担を増やすには、医療費の自己負担割合を増やす、健康保険料の引き上げ、などが考えられます。

 (2) また、医療費を減らすには、医療の効率化や、特許切れの薬 ( 後発薬 ) の活用、薬価差益削減、診療報酬点数の引き下げ、などが考えられます。



 (1) と (2) 、どちらにも、対策が複数あります。( さらに詳しく考えますが ) 大きな問題なのでとりあえず、現状のメモ、指摘にとどめます。
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