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消費者物価指数

2010-09-23 | 日記
田中秀臣 『デフレ不況』 ( p.18 )

 二〇一〇年一月二九日、総務省が二〇〇九年一二月の全国の消費者物価指数 (CPI) を発表しました。結果は前年同月に比べて一・七%の下落で、基準年である二〇〇五年の水準も下回っています。消費者物価指数が前年同月を下回るのはこれで一一ヵ月連続で、二〇〇九年平均の消費者物価指数も前年比一・四%の下落となっています。
 この下落率は比較可能な一九七一年以降で最大を記録するもので、景気の悪化とデフレの加速を裏付けるものでした。
 現在の日本は、内的原因と外的原因の複合した、いわば「二段階不況」の状態にあります。
 まず内的原因とは二〇〇六年の日本銀行によるゼロ金利政策と量的緩和政策の解除、利上げという一連の「出口政策」の実施です。
 この出口政策については後にくわしく検討しますが、結論からいえば、実質的なデフレ状態の中での金融政策の転換でした。「実質的なデフレ」ということについては少し説明が必要でしょう。
 日本経済の物価を見る指標として重要視されているのは、総合消費者物価指数 (CPI) や、そこから生鮮食料品を除いた消費者物価指数 (コアCPI) 、そして生鮮食料品とエネルギー関連を除外した消費者物価指数 (コアコアCPI) 、そしてほかにはGDPデフレーター (物価変動指数) という指標があります。
 日本銀行が金融政策を転換する際に重視したと思われるもの (思われるというのも変ですが、実は何を重視して政策を決めているのか不透明なのです。これは後で見ていきます) は、生鮮食料品を除く消費者物価指数の動きでした。
 日本銀行が出口政策をとった二〇〇六年の三月では、二〇〇五年一一月と一二月のコアCPIがそれぞれ前年比〇・一%の上昇率だったということを見ての判断でした。
 ところがFRB (連邦準備制度理事会) など欧米の主要中央銀行が重視しているコアコアCPIはそれぞれマイナス〇・一%、〇%という状態でした。コアCPIもゼロ近傍、コアコアCPIはマイナスかゼロという状態で、常識的にはデフレを脱却したとはとてもいえない状態でした。
 実際にその後の推移を見てもコアCPIは石油価格の急激な上昇を受けて二〇〇八年に一時的に一~二%台に達しましたが (コアコアCPIはマイナスからゼロ近傍) 、それ以外は現在に至るまでゼロ近傍ないしマイナスです。
 このような意味から「出口政策」のときの日本経済の状態は「実質デフレ」の状態であったといえるでしょう。
 経済がこのような実質デフレ状態の中で中央銀行が引き締めに転じたことは、マクロ経済学の見地からすると、経済が減速することを意味します。これによって「二段階不況」の第一段階の準備が整うことになります。
 金融政策が実際に経済に影響を与えるまでにはタイムラグが働きますから、引き締めの効果は一年から一年半ほど後に出てきます。結果は、まさにわたしたちエコノミストが危惧 (きぐ) していた通り、日本経済は二〇〇七年の頭から減速し始めることになりました。
 つまり、二〇〇八年九月にリーマン・ショックが起きる以前から、実は日本経済は自ら景気下方局面の引き金を引いていたのです。もちろんリーマン・ショック以前の景気の減速には、日本銀行のゼロ金利・量的緩和解除以外の要因も考えられます。それは政府の行った定率減税の廃止です (二〇〇六年度と〇七年度の両方で半額ずつ実施) 。これは事実上の増税でした。この増税と日本銀行の金融引き締めスタンスへの転換の効果が重なったということは指摘してもいいでしょう。

(中略)

 さて、以上のように、ゼロインフレ近傍の中での金融引き締めという不安定な状態で、さらになんらかの外的な要因が作用すれば、日本経済はたちまちデフレに舞い戻ることになります。
 そして現実には、不幸にもわたしたちの懸念した通り、リーマン・ショックという最悪の外的要因が発生。日本ばかりか先進国経済全体を金融危機と不況が飲み込んでいくことになりました。先進国の中でも日本が最も深い不況に見舞われたのは、日本が実質デフレという脆弱な経済の体質を持ちながら、それが日本銀行と政府との同時的な緊縮政策によってさらに不安定化していたことによると思われます。


 現在の日本は、内的原因と外的原因の複合した「二段階不況」の状態にある。内的原因とは日銀によるゼロ金利政策・量的緩和政策の解除、利上げという出口政策の実施であり、外的原因とはリーマン・ショックである、と書かれています。



 日本経済の状況を見るうえで、

   総合消費者物価指数 (CPI)
   消費者物価指数 (コアCPI)    …生鮮食料品を除外 (日銀が重視?)
   消費者物価指数 (コアコアCPI)  …生鮮食料品とエネルギー関連を除外
   物価変動指数 (GDPデフレーター)

が有益である、とりわけ、日銀はコアCPIを重視し、FRBなどの欧米主要中央銀行はコアコアCPIを重視している、とのことなので、早速、調べてみます。

総務省統計局・政策統括官・統計研修所」の「平成17年基準 消費者物価指数 全国 平成22年7月分(PDF:141KB)

を見ると、たしかに「最近の」物価は下落基調であることがわかります。しかし、2006 年以降、「わずかに」物価は上昇傾向をたどっており、「当時の」日銀の判断を否定してよいものか、やや疑問があります。

 もちろん、「後から見れば」著者の指摘はもっともなのですが、「当時の」日銀の判断をいちがいに否定してよいのか、(私には) わかりません。



 とはいえ、日銀が「量的緩和を嫌い、利上げを好む傾向にある」ということはいえると思います。

 おそらく、日銀が量的緩和を嫌っているのは、「量的緩和を行ったところで、国債が買われるだけで、デフレ脱出効果はない」と考えているからではないかと思います (「「流動性の罠」 対策」参照 ) 。また、利上げを好むのは、「通常の金融政策が効果を発揮する状況、すなわちゼロ金利ではない状態に、なるべく早く戻りたい」からではないかと思います。

 まず、利上げの是非については、完全にデフレを脱出していない以上、「通常の金融政策が効果を発揮する状況」に戻ろうとすること自体が「おかしい」と考えるべきで、(本当にこのような理由であれば) 日銀の姿勢には問題がある、と考えられます。

 次に、量的緩和の是非については、「効果がないかもしれないが、試してみる価値はある」と思われますし、「打てる手は次々に打つべき」だと考えられます (「金融政策と財政政策、どちらが効果的か」参照 ) 。



 ところで、先日の為替介入のあと、介入資金を吸収しない方針が決定されました (「円売り介入の効果」参照 ) 。

 これで日本は一歩、金融緩和に踏み出したことになりますが、

 著者の主張するように、金融緩和にデフレ脱出効果があるのか、(この本を資料として) 再度、考えたいと思います。
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