言語空間+備忘録

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因果関係の落とし穴

2011-06-19 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.63 )

 経済学者は、経済の仕組みに関する議論を進めるためにグラフをよく使う。ある出来事が別の出来事をどのように引き起こしたのかを論じるためにである。需要曲線のようなグラフの場合には、因果関係に関して不明な点はない。他のすべての変数を一定に保ったうえで価格を変化させているので、小説の価格変化が…(中略)…需要量の変化を引き起こしていることは明らかである。しかし、この需要曲線が仮想的な例であることを式れないようにしよう。現実の世界のデータをグラフ化するときには、ある変数が他の変数にどのように影響しているかを確定することははるかに難しい。
 まず第1の問題は、ある変数からもう一つの変数への影響を測定するときに、他のすべての変数を一定に保つことが難しい点である。他の変数を一定に保つことができなければ、図示されていない第3の捨象された変数が変化を引き起こしているのに、グラフ上の一方の変数がもう一つの変数の変化を生じさせていると見誤ってしまう可能性がある。たとえ注目すべき正当な2変数を選択できたとしても、第2の問題が存在する。それは逆因果関係であり、実際にはBがAを引き起こしているのに、AがBを引き起こしていると誤認してしまうことである。捨象された変数と逆因果関係という二つの落とし穴があるので、グラフを用いて因果関係に関する結論を導くときには慎重でなければならない。


 因果関係を考察・判断する際には2つの落とし穴がある。捨象された変数と、逆因果関係である、と書かれています。



 著者は続けて、それぞれ具体例を挙げて(あげて)わかりやすく説明しています。私はグラフの引用はしない(画像をスキャナで読み込まない)ことにしているので引用は省略し、代わりに(文章のみでわかるように)要約を記載します。



 「捨象された変数」の例として著者が挙げているのは、発がん率と所有ライター数です。発がん率と所有ライター数が比例しているからといって、ライターが発がんの原因であるとはいえない。捨象された変数(=喫煙本数)を一定に保って測定されていなければ、喫煙が発がんの原因であるにもかかわらず、ライターが発がんの原因であるといった誤った解釈をしてしまう可能性がある。

 「逆因果関係」の例としては、暴力犯罪件数と警官数が挙げられています。暴力犯罪件数と警官数が比例しているからといって、警察官が犯罪の原因であるとはいえない。暴力犯罪が多いことが原因となって、それに対処するために警察官が増えているのかもしれない。どちらが原因でどちらが結果なのかは、比例関係にあるということだけではわからない。犯罪発生件数が警察官増の原因であるにもかかわらず、警官数の増加が犯罪発生件数を増やす原因である、という誤った解釈をしてしまう可能性がある。

 なお、「逆因果関係」については、赤ちゃんの誕生を「予想」したカップルはミニバンを買うことが多いが、ミニバンの販売量が人口増加の原因であるとはいえない、という例を挙げつつ、どちらの変数が「先に」動いたかをもって因果関係を判定できるともいえない、と書かれています。



 これと同じようなことは、統計(学)の本を読んだときにも書いてあったような気がしますが、「忘れてしまう」ので書いています。



 ところで、これは「経済学の十大原理」の「政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する」にもいえるのではないかと思います。紙幣(貨幣)発行量とインフレ率とに、相関関係があることがわかったとしても、紙幣(貨幣)発行量がインフレを引き起こしているとは「かぎらない」ことになります。

 そこには、なんらかの「捨象された変数」が関与しているかもしれないし、インフレの発生に伴って紙幣(貨幣)発行量が増やされたという「逆因果関係」が存在していたというのが本当かもしれない。このあたり、実際に研究するときに(考察するときに)どうやって因果関係を「判定」するのかが気になります。これは「常識」というルールで判定するのでしょうか。。。 おそらくなんらかの科学的な方法があるのではないかと推察されますが、著者は次のように述べていますので、最終的には「常識」に頼らざるを得ないのかもしれません。



同 ( p.65 )

 どのような場合にグラフから因果関係を結論づけることができるかを、完璧に特定化したルールはない。しかし、ライターがガンの原因ではないこと(捨象された変数の問題)、ミニバンが赤ちゃんの原因ではないこと(逆因果関係の問題)を覚えておくだけでも、誤った経済論議に陥ることをかなり避けられるだろう。

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