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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

アイデンティティってなに?

2012-12-19 13:18:01 | 日記
26歳になるある女性からアイデンティティってなに?って訊かれた。高校のときスクールカウンセラーから、20歳までにアイデンティティが確立されなかった女性は仕事や結婚で多くの問題を抱えることになると言われたという。そして、人間は「自分ってなにもの?」ってことに答えられるかどうかが大事で、大人になるということはそれに答えられるとうことだと言われたという。

確かに「自分ってなにもの?」ってことに答えられるかどうかは大きな問題だろう。でも「答えられる」ということが一言で答えられる職業に就くことであったり、結婚したり子どもを育てることを意味するのであったら、それはどうかなって思う。結局、すんなり就職してすんなりと結婚相手を見つけていくこととアイデンティティは結びつかない。たぶん、もっと大事なことは「こんな人になりたい」と思って、そいうった生き方ができるようにコミットメントしていくことだ。

マーシャの同一性地位でいうと、意外と師士業の人たちは早期完了であったりする。資格を持つことで経済的、社会的に自分の居場所を見つけられると、危機を回避してきた人たちが多いということだ。そして、多くはその地位に堅く居続ける。つまりその地位にコミットメントしていくなかでさらなる発達的なアイデンティティの獲得しようなんて考えない。ある種、社会的経済的に便利な「地位」に安住する。

ただ、こうした人たちも、安住する一方で、精神的には壊れかけて悩みが大きい人もいる。外見は一応アイデンティティ獲得なんだけど、内面はアイデンティティ拡散…。実際、看護や福祉の世界に生きる女性にこういったタイプは少なくない。基本的に彼/彼女たちはそういった専門学校(高校・大学)に進学して、同じ種類の人間たちの中で成長し、「専門家」といわれる先生たちに囲い込まれる。アイデンティティの確立に最も大事な時期に、対立する価値観が排除された場所で長い時間を過ごさせることが、その後の葛藤対処力を奪ってはいないか。看護とか福祉という世界にケアされる側として入ってくる人たちはときとして破壊的なトリックスターだったりする。うまく対応しきれるのか。

とまれ、件の26歳の女性にはぼくもうまく答えられなかった。これがペーパーテストであれば紙に回答を書けたと思うけど、生身の人間を相手に短時間で回答を与えるのはなかなか難しい仕事だ。スクールカウンセラーになるような人は臨床心理士だったりしてかなり高度な勉強をしているはずで、紙の上では正解をたくさん書いてきたんだと思うけど、生身の人間を相手にしたときには簡単じゃない。

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