MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

panenka

2013-06-22 01:49:52 | El mundo de futbol
「勇気と約束があれば…」ということば唐十郎の『少女都市』の中のセリフの一節だ。何が起こるかわからない世界に旅立つとき、その向こうにある目的に到達できるかどうか全く視界ゼロであるとき、第一歩を踏み出す力は、自分の勇気と自分への約束。

 スポーツの試合を観ていると、ときどきこの言葉を思い出す。5月のチャンピオンズリーグ準決勝で優勝候補の筆頭に挙げられていたレアル・マドリードとバルセロナを倒したドイツのドルトムントとバイエルン・ミュンヘンの戦略は、誰もが後半はバテるだろうと見た高い位置からの速く強いプレッシングだった。つまりパスサッカーを封じるために、パスを出させない作戦とったわけだが、これには相当な運動量が求められる。たぶんドイツの選手たちはそれが最も効果が期待できる戦術だと信じ、最後までプレッシングし続けるという勇気と約束をモチベーションにしてひたすら練習に励んだのだろう。

 この戦術はダッシュが0.1秒遅れれば効果は半減する。そして続ける体力がなくなればそれで終わりだ。ある意味、逆境を力にした戦術だった。1976年の欧州選手権で、優勝経験がない東欧のチェコスロバキアが強豪西ドイツとの決勝戦に臨み、2-2のスコアのままPK戦にもつれこんだ。ドイツの第4キッカーが外したあと、これを決めたら優勝だというチェコスロバキアの第5キッカーだったアントニーン・パネンカはボールの斜め左から走りはじめ、強いキックを打つ動作のままチップキックで放物線を描く軌道のシュートを放ち、左に飛んだGKをあざ笑うかのようにネットのど真ん中を揺らした。もしGKが動かなければ、GKは楽々と顔の前でキャッチできたPKだった。このPKは、キッカーの勇気と約束が可能としたものだった。その後、こうしたPKのことをパネンカと呼ぶようになった。

 人が、若くても、年寄りでも、何か新しいものに挑戦するとき、または困難に遭遇してそれを越えようともがくとき、最後に力とできるものは勇気と約束? 諦めないこと、続けること、そして自分を信じることが、サポートを呼び寄せ、トンネルの向こうに一筋の光を見つけさせる。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿