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世界遺産の街ウィーン 条例変更で登録抹消?

2017-11-22 07:00:00 | 報道/ニュース

10月26日 キャッチ!


1972年にユネスコの総会で世界遺産条約が成立して以降
遺跡や景観 自然など
すでに1,000件以上が登録されている。
そのなかでも町全体が世界遺産に登録されているオーストリア ウィーンが
登録が抹消される可能性が出ている。

音楽の都 ウィーン。
市の象徴であるゴシック様式のシュテファン大聖堂にオペラの聖地とされる国立歌劇場。
豊かな文化と歴史が残る美しい街である。
なかでも市の中心部は「歴史地区」と呼ばれ
2001年に街ごと世界遺産に登録された。
ところが3年前この歴史地区に
高さ73mの高層マンションをはじめホテルやスケートリンクを建設する計画が持ち上がった。
背景には市が都市計画を見直したことがあった。
これまでは条例で禁じられていた高さ38m以上の高層ビルの建設が可能になったのである。
事態を重く見たユネスコの世界遺産委員会は
今年7月
世界遺産の登録の抹消も視野に入れた“危機遺産”に指定。
市に対し
条例の撤廃を見直すとともに
計画を変更するよう警告した。
(ユネスコ オーストリア モナ・マイリッチさん)
「国際社会への警告としてウィーンを危機遺産に登録しました。
 “歴史地区”の価値を守るよう適切な対策をとるべきです。」
住民からも新たな高層ビルの建設計画に反対の声があがっている。
(都市景観保護団体 ヘルベルト・ラージンガーさん)
「目を殴るようなものだ!
 こんなきれいな景色におぞましい建物なんて。
 ウィーン市は目を覚まし
 建設を許すべきではない。」
ウィーン市は計画を見直すのか。
市の都市計画の責任者からは意外な答えが返ってきた。
最悪の場合 世界遺産の登録を抹消されてもいいというのである。
(ウィーン市 都市計画担当 ルードルフ・ツンケさん)
「ここは博物館じゃない。
 ここで人々は生活をして働いています。
 したがって開発と歴史保護とのバランスをとるべきなのです。」
そうし高齢化が進むウィーン市。
社会保障費が年々増加していて
財源の確保が課題となっている。
市は新たな都市開発で大企業や富裕層を誘致し
税収につなげたいとしている。
保存よりも開発を選んだことで実際に世界遺産の登録を抹消された街がある。
ドイツ東部の都市ドレスデンである。
市の中心部を流れるエルベ川と
“芸術の都”として栄えた旧市街地が調和した美しい風景が評価され
2004年に世界遺産登録された。
ところが渋滞の緩和のため新たな橋を建設したところ
登録を抹消された。
美しい風景が損なわれたというのがその理由である。
登録の抹消に市民たちの反応は
(地元タクシー運転手)
「観光客が減ると言われたが
 昔と変わらないよ。」
(ドレスデン市民)
「世界遺産はただの名前で
 大して重要じゃないわ。」
登録を抹消された後も観光客は増えていて年間200万人が訪れている。
(観光客)
「きれいな街ね。
 古いものと新しいものを関連付けていて好きよ。」
ドレスデン市の担当者は
ウィーンを“危機遺産”に指定したことで
世界遺産そのものも意義が問われていると指摘する。
(ドレスデン市 広報官)
「世界遺産になると
 自分たちで街の未来を作れず
 ユネスコの要望に従わねばならない。
 ユネスコは各都市が世界遺産登録を歓迎するよう妥協すべきだが
 登録はとても危険だ。」
遺産を未来に残すという理想と
今を生きる住民の暮らしを豊かにするという現実に
どのように折り合いをつけるのか。
世界遺産の意義が問い直されている。





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