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“ぼくを重んじよ  おなじように降ってきたのだ”

2017-08-27 06:00:00 | 編集手帳

8月17日 編集手帳

 

 ステファン坊やの投げたボールが、
お隣ランガー家の窓ガラスを割った。
坊やは泣いて父親に訴えた。
「パパ、
 ランガーさんが窓ガラスで僕のボールを壊しちゃったよ」。
西洋の小話である。

父親は何と答えるだろう。
窓は割れたが、
なるほど、
お前のボールもガラスの破片で傷ついたね。
ボールと窓ガラス、
非は双方にある…とは、
まさか言うまい。言えば、
父親失格である。

博愛と平等の心が一枚の美しいガラスならば、
差別と偏見はそれを粉々に砕くボールだろう。
米国南部で白人至上主義者の団体と反対派が衝突した。
反対派の側に死者も出ている。
「非は双方にある」。
トランプ大統領は記者会見でそう述べたという。

寺山修司の戯曲『乾いた湖』の一場面を思い出す。
登場人物はラングストン・ヒューズの詩を朗読した。
今年が没後50年にあたるアフリカ系米国人の作家である。
〈ぼくを重んじよ
 おなじように降(ふ)ってきたのだ
 おなじように
 降ってきたのだ〉

あなたも、
天から地上の米国へ、
おなじように降ってきた3億2000万人の1人にすぎぬ。
窓ガラスを割って謝らない子供を叱(しか)りなさい。



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