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柳川の穏やかな風景

2017-07-15 06:00:00 | 編集手帳

7月6日 編集手帳

 

 いま頃の季節だろう。
北原白秋の詩集『思ひ出』に「水路」という一編がある。
〈ほうつほうつと蛍が飛ぶ
 しとやかな柳(やな)河(がわ)の水路を〉。
幼少期を過ごした水郷・柳川の風景である。

詩人にとって、
水路と蛍の取り合わせは忘れがたい記憶であるらしく、
詩集の序文でも触れている。
小舟は、
〈あをあをと眼に沁(し)みる蛍籠に美(うつ)くしい仮(かり)寝(ね)の夢を時たまに閃(ひら)めかしながら〉夜の水を流れくだるのだ、
と。

詩文の印象から、
福岡県内の川は穏やかに流れるものと勝手に思い込んでいた。
暴れ狂う濁流の映像から目が離せずにいる。

梅雨前線の影響で、
西日本の各地が豪雨に見舞われた。
気象庁はきのう夕刻、
「数十年に一度」の重大な災害が迫っているとして、
福岡県の筑後・筑豊地方などに「大雨特別警報」を発表した。
土砂崩れや河川の氾濫におびえつつ、
多くの住民が眠れない夜を過ごしたことだろう。

〈定紋(じょうもん)つけた古い提灯(ちょうちん)が、
 ぼんやりと
 その舟の芝居もどりの家族を眠らす〉。
白秋の詩は、
水路をゆく人の幸せなひと時をうたっていた。
家族そろっての穏やかな眠りを一刻も早く――と、
思いはそれに尽きる。



ジャンル:
災害
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