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日野原重明さん 「生きていくあなたへ」 最後のメッセージ

2017-10-16 06:15:00 | 報道/ニュース

9月27日 おはよう日本


今年7月に105歳で亡くなった
医師 日野原重明さん。
その半年前に行われた最後のインタビュー映像が残されていた。
約20時間に及ぶインタビュー。
自宅で闘病生活をする中で1か月間の撮影に臨んだ。
(次男の妻 日野原眞紀さん)
「そのインタビューにかけていたんだと思う。
 刻々と自分の死が迫っていることをすごく意識していた。」
生涯現役医師を貫いた日野原重明さん。
最後に残したメッセージである。
ホスピス専門の病院をつくるなど日本の終末期医療を築き上げてきた。
また子どもや若者たちに向けて命の尊さについて積極的に発言してきた。
自らの死に直面に残したかったメッセージとは何だったのか。

Q.先生は怖いですか?
  死ぬことは。
「怖いね。
 聞くと嫌になるね。
 はっきり言われると恐ろしい。」
1,000人を超える患者を看取ってきた日野原さんでも自らの「死」は恐ろしいものだった。
「おろおろすること以外で何もできない自分を感じてね。
 おろおろする自分はどうしたらいいかということを考える。」
しかしこのおろおろする自分こそ日野原さんが新たに出会った自分自身だった。
「人間は病むことによって本当の人間が現れてくるんだなと。
 人間 存在をおろおろするなかにやっと気づいてくる。」
自らを成長させ
人生をより豊かにするために
新しい出会いを求め続けた日野原さん。
死に直面しその恐怖を感じた自分自身をも
新たな自分との出会いととらえている。
「最高のものです。
 自分との出会いが
 みんな自分との出会いがあっても気がつかないの。
 自分との出会いがあって初めて自分がわかる。
 “未知の自分”というものがそこに存在しているけれども
 未知の自分との出会いで
 私たちは本当の自分ということに気づきがあるんじゃないかと。」
日野原さんの生活を支えてきた次男の妻 眞紀さん。
亡くなる直前まで日野原さんは新しい自分を発見することに貪欲だったという。
(次男の妻 眞紀さん)
「どうしてこんなに頑張っちゃうんだろう。
 静かに寝ている方が楽でしょうにと思うけど。
 もう1回自分を問置くからちょっと見てみようと
 面白そうだ楽しそうだ
 次はどんな世界が待っているんだろうという気持ちになった。」
死を前にして新たな自分と出会った日野原さん。
この出会いは仲間や家族の支えがあればこそ。
日野原さんから出てきたのは
支えてくれた人たち全てに向けた感謝の言葉だった。
「いろんな人と会うこと自体が自己発見。
 1人でいると自己発見はない。
 皆さんと一緒になって今日の日を迎えることに感謝。
 以前の私の感謝よりも
 病の苦しみが強かっただけに
 今の感謝は以前の感謝よりも何倍も何倍も大きな感謝。」
(次男の妻 日野原眞紀さん)
「最後はすべてを受容して感謝の気持ちで“ありがとう”って。
 みんなも本当に悲しいけれど
 そのまま受け入れられたみたいな感じだった。
1か月に及んだたインタビューの最終日。
この日はいつもの会話とは異なり
日野原さんは30分にわたってひとりで語り続けた。
最後の力をふりしぼり発したのは
これから生きていく人たちへの励ましの言葉だった。
「いま私は旅立ちの中に
 感謝の旅立ちの心意気を感じている。
 しかしこの旅の中には思わないような苦しみがあるに違いない。
 苦しみがあって初めて
 私の苦労の多い旅が報われるのではないか。
 つらさ以上に喜びはその中にあることを
 私は考えるべきだと
 今さら深く感じ取る。
 感謝に満ちた気持ちで
 キープ・オン・ゴーイング!(前に進み続けよう!)
 さらに前進また前進を私たちは続けなくちゃならない。」
キープ・オン・ゴーイング(前に進み続けよう)。
命を懸けて伝えたかったのは
悲しみや苦しみに直面しても
あきらめずに前に進み続けてほしいという願いだった。
インタビューを終え
その後体調を崩した日野原さん。
今年7月
家族に見守られ
自宅で静かに旅立った。
感謝を伝え続けた晩年
最後に自宅で書き残した詩にもその思いがあふれていた。
風吹きて庭のみどりがささやける
私はこれをみてありがとうの言葉を捧げて言うと
眠るよ
静かに
“どんな苦しみの中えも
 生きることは喜びに満ちている”
日野原さんが自らの死を前にして残した言葉は
未来へ続く希望のメッセージだった。




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