わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物は壊れ物 41 器の補修 2(金継ぎ)

2014-01-30 20:25:01 | 焼き物の材料(原料とトラブル)

2) 補修の方法。

 ② 再度本焼きして、釉で補修する方法。

   同じ釉を使い「ひび」や「割れ」、「欠けた部分」に施釉して、再度同じ温度で焼成し、釉で接着する

   方法です。上手くいけば極自然にj補修できます。

   但し、この方法は、窯をご自分で持っている方、又は再焼成をしてくれる方が必要になりますので

   どなたでも出来る補修方法ではありません。

  ) 「欠け」の場合、大きく欠けた時の処置は、「割れ」の補修方法と同じです。

   a) 欠けた破片が小さい場合は、単に同じ濃い目の釉を筆などで盛る方法をとります。

     一度焼成すると、普通の釉の濃度では釉肌に載りません。濃い目にするか、CMC糊等を

     入れて粘る状態にして塗ります。

   b) 欠けた部分が大きく、且つ破片が粉々に成ったり、存在していない事も多いです。

     この場合には、欠けた部分を新たに作り、素焼き後に取り付けるか、同じような形状の物を

     見つけて取り付けるかの方法をとります。取り付けた際、なにもしなくてそのまま自立している

     時は、釉を掛ける事で済みますが、自立出来ない場合には、陶芸用のペースト状の接着剤を

     使います。但し、市販品の物でも、高温で確実に接着できるとは限りません。

  ) 「ひび割れ」の場合、「ひび」の幅によっては、「ひび」の中にまで釉が入り込まないかもしれ

     ませんが、「ひび」の裏表から筆などで、釉を塗る事でOKです。同じ温度で焼成する限り、

     「ひび」の幅は、それ以上広がりません。

  ) 急須の蓋の摘みなどが、その付け根より、そっくり取れた場合には、容易に釉で修正が

     可能です。 でんぷん質の「やまと糊」などを接着面に塗り接着後、接合周囲に施釉すれば、

     完全に補修可能です。

  ) カップ類の取っ手の場合、多くは側面に「ぶら下がる」状態に成っています。

     取っ手部分の重量と、外に出っ張った大きさによっては、接着不可能な事もあります。

     即ち、釉は熔けた状態では、接着効果はありません。釉が冷え固まる事で接着できますので

     それまでの間、他の接着剤などで保持しておく必要があります。

     それ故、重い物では接合部に、引き離す大きな力が働く場合には、他の方法をとる必要が

     あります。例えば楽焼用の低温の釉を使い、作品を寝かせ取っ手が真上になる様にするとか

     の方法です。

    ・ 高温で確実に接着効果を発揮できる製品は、今の所見当たりません。以前にはその様に

      宣伝していた製品も、問題点がある様です。

  ) 複数個に割れた場合。

     板状の作品であれば、工夫すれば補修可能ですが、立体的な作品では上記と同じ様に

     「ぶら下がり」状態の部品は、釉による接着できません。

     一般には釉による補修は諦めた方が良い様です。

 ③ 金継による補修方法。

    金継の方法は昔より存在していましたが、近年俄かに注目され出した補修方法です。

    注目される様に成ったのは、素人でも割合容易に行われる事と、高価な本物の漆(うるし)や

    金粉の替りに、新漆や真鍮(しんちゅう)粉、新漆専用の薄め液などが釣具屋で、安価で

    容易に入手できる為です。釣具屋で市販されているのは、自分で釣竿に蒔絵を施す人の為の

    道具として使われるからです。

  ) 準備する物は、エポキシパテ金属用(接着剤)、透明の新漆、真鍮粉、新漆用薄め液、筆

    (細、極細等)、新漆と真鍮を混ぜる小型の容器(パレット)です。

    いずれも数百円程度です。 パテはホームセンター等で購入できます。

  ) 作業方法は以下の通りです。

    a) 棒状のパテを1cm程度切り取ります。パテは内側が灰色、外側が白色の二重構造に

      成っています。

    b) 指に水を付け、灰色と白色の部分を混ぜ合わせます。耳たぶ程度の硬さに成ればOKです

    c) 破片の接着する面に上記パテを、親指などで擦り付けます。

      破片を本体にしっかり嵌め込みます。破片と本体の表面が滑らかである事を確認します。

      パテは直ぐに固まりますので、手早く行う事と、パテの量を多くし過ぎない事です。

    d) 10分程度の乾燥で固まりますので、はみ出したパテはカッターナイフで削り取ります。

    e) 耐水性のサンドペーパー(紙やすり)に水を付けて、出っ張った所を削り、更になだらかに

      します。

    f) 小型容器(パレット)に、真鍮粉(金粉の代用品)と新漆をほぼ等量絞り出します。

      筆に薄め液を付け掻き混ぜます。薄め液は筆で塗った時筆跡が残らない程度が最適です。

    g) 筆に上記混ぜ合わせた真鍮粉を採り、割れ目の筋の上に載せ、筆を軽き引きます。

      内外両側を塗ります。なるべく筋からはみ出さない様にします。

    h) 10分程度乾燥すると完成です。

   これで、強度的にも問題なく、普通に使用する事が出来ます。

以上にて「焼き物は壊れ物」の話を終わります。

次回より、別のテーマでお話します。

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