わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

国宝の埴輪 (挂甲の武人 )

2010-09-23 22:07:44 | 国宝の焼き物
3世紀中頃~7世紀末頃に掛けて、全国各地に大小様々な、古墳が作れます。

この時代を古墳時代と、呼びます。世界最大の墳墓である、仁徳天皇陵も、この時代に、作られています。

・ 埴輪(はにわ)とは、この古墳の周囲に埋設されていた、素焼の焼き物の事で、時代と伴に、

  その形も変化していきます。

 尚、埴輪の使用目的は、首長の葬送儀礼に、用いられたという説や、生前の祭政の様子を、表していると

 いう説があります。

1) 埴輪は大きく分けて、円筒埴輪と、形象埴輪の二種類に、区分されます。

 ① 古墳時代前期初頭(3世紀中期~後期)には、円筒形または壺形、朝顔形埴輪などの、円筒埴輪しか

   見られません。

 ② 4世紀前期には、家形埴輪、蓋(きぬがさ)形埴輪や、盾形埴輪を始めとする、器財埴輪、

   鶏形埴輪などの、形象埴輪が現れます。

 ③ 5世紀中頃からは、巫女などの人物埴輪や、馬や犬などの動物埴輪が、登場します。

 ④ 6世紀中頃になると、畿内では前方後円墳が衰退し、埴輪も次第に、姿を消していきます。

   しかし、関東地方に於いては、前方後円墳を盛んに築造し、埴輪も引き続き、盛んに作られました。

 ⑤ 形象埴輪からは、古墳時代当時の衣服、髪型、武具、農具、建築様式などが、表現され、当時を

   知る、貴重な史料となっています。

 ⑥ この形象埴輪は、関東を中心とする、東国で盛んに作られました。

2) 挂甲(けいこう)の武人

   群馬県、太田市飯塚町出土。 高 130.5cm。 古墳時代(6世紀後半)

 ① 昭和初期、群馬県太田市飯塚町の、長良神社境内から、出土した物です。

   その後、東京国立博物館が1952年、地元の美術史研究家から購入。1974年、国宝に指定されます。

 ② 「古代東国の拠点」として、栄えた群馬には、かつて1万基を超える、古墳がありました。

   これらの古墳から、出土した埴輪は質、量ともに日本一を誇ります。 
 
 ③ 挂甲(けいこう)とは

   古代日本で使用されていた、鎧(よろい)の一形式です。

   古墳時代の、挂甲が実際にどのような、名称であっったのかは、明らかでは、有りませんが、

   奈良時代の、記録に残された「挂甲」という名称を、便宜的に、当てはめた物です。

   (挂甲は長方形の小型の鉄片を、とじ合わせ作った甲(よろい)で、5世紀後半に、最初の物が登場し

    6世紀の初めには、鉄板をとじ合わせて、作る様になります。)

 ④ 特徴と見所

  ) 上半身と下半身を別に成型し,上半身に、筒状の下半身を差し込んで、自立すると言う、茨城県

     中北部、特有の技法で、作られています。

  ) 体には鉄製の板を、1枚ずつ、紐でつなげた甲(よろい)を、頭には鋲(びょう)で留めた冑

     (かぶと)をまとっています。 膝の甲は、他の武人埴輪には、あまり見られない物です。

     又、右手は、刀の柄(つか)を握り、左手に弓を持ち、両腕には篭手(こて)を、付けています。

     完全武装の、東国武人の姿を表し、当時の武具や、その装着の仕方を、丁寧に表現しています。

   ) 人物埴輪の中でも、極めて優れた作品で,熟達した工人の、作品である事が、判ります。

      実物の武人を、忠実に表現しているだけでなく、その姿形が美しく、芸術的価値も、高い物です。

      特に、後ろから観ると、かなり胴のくびれた、スマートな武人である事が良く判ります。

     その為、「武人埴輪の最高傑作」と、評価されています。

   ) 着色されていた埴輪。

     当時は、既に、色付け技術も広まっていました。

     この埴輪にも、足の部分に赤や白で、塗られた跡が、残っています。

     実は、鮮やかな色彩で、彩られでいた様です。

   ) 最大の特徴

     身長が、約102cm、台座を含めると、高さは、約130.5cmになります。

     今までに出土した、武人埴輪の中では、最大級の大きさを誇ります。

以上にて、国宝の埴輪の話を、終わります。

 国宝の埴輪
 
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