わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代陶芸153(星野 暁)

2012-07-01 21:24:47 | 現代陶芸と工芸家達

陶土と異質の素材(金網、石膏、紙)を混ぜ合わせて、焼成する事で作品を構成し特異な表情の作品を

作っているのが、京都在住の星野暁氏です。

1) 星野 暁(ほしの さとる): 1945年(昭和20年) ~

 ① 経歴

   新潟県見附市に生まれます。

   1971年 立命館大学を卒業します。

   1973年 アトリエを京都府八幡市に構えます。

     京都の前衛集団の「走泥社」に出品し、翌年同社の同人になります。

   1975年 ギャラリー射手座(京都)にて、初の個展を開催します。

   1977年 「第四回日本陶芸展」(毎日新聞社主催)に出品します。

    翌年の同展で、文部大臣賞を受賞します。アトリエを京都府相楽群和束町に移転します。

   1978年 「第二回ジャパンエンバ美術コンクール」で優秀賞を受賞します。

   1979年 「第五回日本陶芸展」に「表層・深層Ⅱ」を出品し、文部大臣賞を受賞します。

   1980年 「京都彫刻選抜展」(京都府主催)で、入選作が京都府のお買い上げとなります。

    「第二回ジャパンエンバ賞美術展」に「表層・深層Ⅳ」を出品し、優秀賞を受賞します。

  ・ 以後も「現代陶芸伝統と前衛展示」(サントリー美術館)、「現代美術の新世代展」

    (三重県立美術館)、 「カナダ巡回現代日本陶芸展示」(国際交流基金主催)など多くの展示会に

    出品しています。

  ・ 個展も数多く開催しています。 「赤坂グリーンギャラリー」(東京)、番画廊、朝日画廊、ギャラリー

    CASA(京都)、ギャラリーR(京都)、駒井画廊(東京)などで行っています。

  ② 星野氏の陶芸

   星野氏が陶芸を始める切っ掛けや、誰に師事し、どの様な修行をしてきたのかは、明らかでは

   有りません。

  ) 彼の初期の作品は、ステンレスの金網と、陶土を組み合わせた「オブジェ」から始まります。

    即ち、ステンレスの金網に陶土を塗り込み焼成する独自の技法を考案し、多用する様になります。

    この方法の作品は、後々まで応用発展して行きます。

    この方法の特徴(利点)は、厚みの薄い面状の作品が可能になる事と、金網を自由に変形させる

    事で、複雑な曲面や円筒形を自由に作れる事にあります。

    又、金網と土とでは乾燥や焼成で収縮率に差が有る為、土は「ひび割れ」釉も大きく縮(ちじれ)

     ています。 それが一つの特徴ある表情を表しています。   

    ・ 「仮の器」(高 19 X 径 30 cm) (1982年)

      金網を箱型に造り、口縁の一部を外側に折り返し、土を塗り込み焼成したものです。

    ・ 「仮の器」(高 40 X 横 23  X 奥行 16 cm) (1982年)

      円筒形の金網を、カタカナの「ム」字状にして、粘土を貼り付けて焼成しています。

  ) 1983年 「Temporary Style(仮の姿)」シリーズを発表します。

     これはステンレス金網に顔料を混ぜた土を塗りこめし、焼成後に得られる流動的な形がモチーフと

     なっています。

  ) 1978年からは、黒陶の作品「表層・深層」シリーズを発表します。

     ・ 「表層・深層」 (高 17 X 横 42 X 奥行 300 cm) (1980年): 京都府

       四角形や台形のブロック7個を、直線的に並べた作品で、その上面には、波紋とも見える線が

       平行して入っています。それらの作品の下には、シート状の薄い四角の陶板が敷いてあります。

     ・ 「表層・深層」 (高 20 X 横 42 X 奥行 160 cm) (1979年): 国際交流基金

      遠浅の海岸の一部が断層の様に崩壊し、土が積み重なっている様に見える作品です。

      上面には、波紋の様な筋が階段状に付けられています。

   ) 陶土と他の異質な素材との併用

      異質な素材として、「石膏」、「油粘土」、「エナメル塗料」が取り上げられています。

     ・ 「重層」 (高 36 X 横 63 X 奥行 5 cm) (1981年)

       陶片を積み上げ、垂直に切て断面をだします。その面に石膏を、「コテ」を使い平らに塗り

       重ねた作品で、陶土の粗さと、肌理細かい石膏の白い肌の対比を表現しています。

次回(西村陽平)続きます。

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