わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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素朴な疑問 269 市販されている粘土類(ブレンド用3)

2017-01-04 22:45:42 | 素朴な疑問
6) 水漏れ(透水性)に付いて、及びその予防と対策。

 花瓶等の様に、長い期間水を蓄えている器の場合、底又は胴体部分より水が漏れてくる場合が

 あります。胴体部分からの水漏れは、表面より水が蒸発してしまいますので、水が漏れても気が付

 く事が少ないのですが、底から水が漏れてくる場合には、置き台の表面に花瓶の底と同じ形状で

 濡れた跡が残ります。勿論」「ボタボタ」漏るようですと、水を入れた瞬間に気が付きますが、

 徐々に滲み出す程度ですと、数日後に花瓶を移動した後に気が付きます。

 ① 水漏れの原因は、

  ⅰ) 素地が「しっかり」焼き締まっていない為です。

   焼き締まりが弱いのは、焼成温度が低い為、又は素地の粒子が粗い為です。

   前者の場合には、焼成温度を上げるか、寝らし時間を長くする事です。後者の場合には、

   素地を改良する必要があります。即ち素地を粉砕し肌理を細かくすると良くなります。

   又は肌理が細かく、良く焼き締まる粘土を添加します。

  ⅱ) 釉に貫入などの小さな亀裂が入っている為です。

   亀裂が釉の内側にまで達している場合には、素地の中に水が浸透し水漏れを起こします。

   特に片面のみに施釉した場合に顕著です。対策としては、釉に亀裂が入らない様にします。

   即ち、貫入は素地と釉との縮みに差が出る為に起こります。素地より釉の方が縮み率が大きい

   時に起こります。特に低温度で熔ける釉には貫入が入り易いです。

   尚、貫入に付いては、釉のトラブルの項で説明しましたので、ここでは省略します。

  ⅲ) 無釉の場合や、釉のガラス質が薄い為です。

   焼き締陶器以外は施釉するのが一般的です。施釉する事で作品の表面をガラス質でコーテング

   し、水を透さなくなりますが、ガラス質が薄い場合や、しっかり熔けきっていない場合に

   水を透す事もあります。釉が薄いと感じるのは、釉の発色状態でも確認できます。

   備前焼など無釉の焼締陶器が水漏れを起こさない理由は、土がしっかり焼締まる性質がある為

   です。即ち通常の土の収縮率は12~14%程度ですが、焼締用の土は20%以上あるから

   です。

  ⅳ) 市販されている一般用の粘土では、高い温度で焼成しても、完全に水漏れを起こさない

   事は保障できません。特に近年短時間での焼成が一般的に成っている為、焼き締まりが弱く

   なっています。その為何らかの対策を取る必要があります。昔であれば焼き上がった器の

   中に、米の研ぎ汁などを入れ、数日放置し乾燥させる事で、米の澱粉質を乾燥させ、素地の

   隙間に固着させ、隙間を埋める方法が取られていましたが、現在では水漏れ防止用の液体が

   市販されています。又、食器用にも使用可能ですので、底の畳付き部分にも塗って置く事で、

   高台内の黴(カビ)の発生を抑える事ができます。

7)  素地土に含まれる不純物と有害物質。

 ① 水簸(すいひ)しても取り除けない不純物に、細かな鉄分(酸化鉄)があります。

  赤錆と呼ばれる弁柄等の酸化第二鉄は、素地に茶褐色の斑点を発生させます。

  特に硫化鉄の入った素地は、高温で分解し硫黄と酸化第一鉄に分解します。酸化第一鉄は黒色の

  斑点と成って、釉を汚す事になります。それ故この様な粘土は使う事ができません。但し非常に

  良い粘土である場合には、長期間大気中に放置し、空気の酸化作用で硫化鉄を水に溶ける硫酸鉄

  に変化させ、水簸する事で取り除く事が出来ます。尚、素地に含まれる砂鉄などは、磁石に

  よって取り除く事が出来る場合もあります。

 ② 石膏型を用いた作品では、石膏が混入する場合があります。

  石膏は高い温度で乾燥させると、微粉末になり取り除く事が困難になります。この様な場合には、

  素地を泥々に溶かし、篩を通すと取り除きます。石膏型を濡らした状態で、長期間放置して置く

  と表面に石膏の結晶が出来ます。この結晶が作品に混入する恐れもありますので、石膏型は時々

  天日干して使用する必要があります。

 ③ 硫酸石灰と石膏の結晶は釉飛の原因になります。

  石灰と硫酸鉄が混在する素地では、長い間風雨に晒されると、石灰は硫酸石灰に鉄は水酸化鉄に

  変化します。可溶性の硫酸石灰は、乾燥すると薄い層となり、作品の角(端)部分に多く集まり

  ます。その為端部分が釉飛を起こし易いです。

  これら硫酸塩を取り除くには、土練の際、炭酸バリウムを0.25~0.5%程添加します。

 ④ 各種塩類による「ブク」の発生に付いて。

  硫酸塩ほどではないが、ソーダ(ナトリウム)、カリ、マグネシウム等の塩類も、素地に含まれ

  ると、有害物質になります。これらを多く含む素地を高温で焼くと、「ブク」を発生させる恐れ

  があります。又これらの結晶がある素焼きの作品では、気泡の中に固着し取れなくなります。

  この現象を「スカミング」と呼びます。これら塩類を除去するには、水簸(すいひ)を行う事

  です。 

以下次回に続きます。
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