1) 陶芸作業に於ける健康被害。
① 一般的な作業でも起こり易いのが、腱鞘炎(けんしょうえん)です。
以上までが前回の話です。
② 轆轤作業で起きる健康被害に付いて。
ⅰ) 腰を痛め易い。
轆轤作業は腰を痛める事が多いです。又、すでに腰を痛めている方は、より悪化させない為の
注意が必要です。現在腰痛などの持病の無い方も、その姿勢によっては腰を痛める事にもなり
ます。問題は轆轤作業の姿勢と、それを長時間固定された状態になっている事です。
腰を鋭角に折った極端な前傾姿勢の状態では、腰に強い負担を与える事になります。
強い前傾姿勢はある程度「やむ得無い」かもしれません。問題は長時間その姿勢で固まっている
事です。出来れば時々その場を離れて、腰を伸ばす事と、周囲を歩き回る事である程度危険を
回避できます。熱中すると30分以上同じ姿勢の事も稀ではありません。
ⅱ) 轆轤は体全体を使って挽く事を、心掛ける必要があります。
轆轤作業は力作業と言われて来ました。現在では電動轆轤が主流に成っていますが、電動
轆轤が出現する以前は、挽き手(制作者)が自ら手又は足を使って重たい轆轤面(天板)
を回していましたすので、体全体を使った動きでしたが、電動轆轤では主に手先と回転速度を
調節する「ペダル」等を踏む程度ですので、体全体を使う事も少なくなりました。それ故
固まった姿勢が長い時間保持され易くなり、体を動かす範囲も狭まり腰痛の原因に成って
います。
ⅲ) 轆轤に対して正対(真っ直ぐ向き合う事)した姿勢にする事も大切です。
轆轤作業中に見るべき所と、姿勢には深い関係があります。
主に使用している両手の指先を見る事は多いのですが、見つめる先は作品の種類によって
若干の差があります。
・ 袋物の様な作品では、器の内側は狭くなりますので、外側を見ながら制作します。
その際、体を左方向(轆轤が右回転の時)に捻りながらの、前屈姿勢になり易いです。
この姿勢は単なる前屈姿勢より、腰に多くの負担を強いる事になります。
・ 一方茶碗の様に口の開いた作品では、器の内側を見ながら制作する事になります。
轆轤挽き後に底削りで外側を削りますので、整えた外形が必ずしもその様になる訳ではなく
逆に内側は削り作業を行わないのが一般的ですので、内側の形がそのまま完成した形になり
ますので、形に注意する必要があります。その為、器の内側を見る様にして轆轤挽きします。
この正対した場合は同時に、体の捻れはほとんど発生させません。
ⅳ) 頭の位置を高く保持する事は、前屈姿勢を緩め、更には作品全体が見渡せる事に通じます。
又体の捻れも最小限に抑える事が出来ます。轆轤に慣れていない方は、土を上に伸ばす際、
手のみに力が入り、頭も一定位置に成り易くなります。土を上に伸ばす際には、手の上昇に
合わせて、目と作品の距離を一定に保ち様に、頭を徐々に挙げていく事です。
即ち、背筋を徐々に伸ばし、土と頭の距離を常に一定位置にする事です。
ⅴ) 前傾姿勢である事は、結果的には「ペダル」を踏み込む事になります。轆轤の回転は
「どんどん」早くなります。この傾向のある人は、前傾し過ぎている可能性があります。
ⅵ) 目の悪い方特に近視の方は、前傾に成り易いです。作品が見え難い為、頭を近付け過ぎる
傾向があります。又照明不足で薄暗い環境でも、顔を近付ける事に成りますので、照明にも
注意する必要が有ります。
③ 轆轤作業で、手の指や足が攣る(つる)時があります。又、手指が固まり動きが鈍くなる場合
も起こります。
ⅰ) 不必要な部分に力を入れ過ぎ、そのままの状態で長く作業していると、主に親指、人差し指
及び、中指が攣る事があります。攣るとは痙攣の一種と考えられ、思う様に動かす事が出来
なく成る事です。更に足の「ふくろはぎ」も攣る場合も少なくありません。
原因は長時間、筋肉を緊張させているからと思われます。
ⅱ) 手の指が固まる事も起こります。
轆轤作業では、土殺しや土を上に伸ばす際、掌や指に大きな力を込める場合があります。
特に大物を挽くさいには、大量の土を取り扱いますので、一段と力を入れる必要があります。
同じ動作を続けていると、手の指が固り、直ぐには動きかず制限される事もあります。
いずれの場合でも同じ状態で、長時間作業する事が原因ですので、なる別の動きを取り入れる
事で予防ができます。
④ 轆轤作業で長い時間座った状態でいると、尻が痛くなる場合があります。
がっちりした固めの椅子を使う事も原因の一つです。
特に痔病を持った方は要注意です。又、泥が発生しますので、軟らかいクッション類を座布団
に使う事も意外と困難な場合があります。基本的には作品一つ一つに付いては、素早く作業
を終了する事です。一個挽き終わったらなるべく立ち上がり腰を伸ばす事です。
2) 釉に関する健康被害に付いて。
以下次回に続きます。
① 一般的な作業でも起こり易いのが、腱鞘炎(けんしょうえん)です。
以上までが前回の話です。
② 轆轤作業で起きる健康被害に付いて。
ⅰ) 腰を痛め易い。
轆轤作業は腰を痛める事が多いです。又、すでに腰を痛めている方は、より悪化させない為の
注意が必要です。現在腰痛などの持病の無い方も、その姿勢によっては腰を痛める事にもなり
ます。問題は轆轤作業の姿勢と、それを長時間固定された状態になっている事です。
腰を鋭角に折った極端な前傾姿勢の状態では、腰に強い負担を与える事になります。
強い前傾姿勢はある程度「やむ得無い」かもしれません。問題は長時間その姿勢で固まっている
事です。出来れば時々その場を離れて、腰を伸ばす事と、周囲を歩き回る事である程度危険を
回避できます。熱中すると30分以上同じ姿勢の事も稀ではありません。
ⅱ) 轆轤は体全体を使って挽く事を、心掛ける必要があります。
轆轤作業は力作業と言われて来ました。現在では電動轆轤が主流に成っていますが、電動
轆轤が出現する以前は、挽き手(制作者)が自ら手又は足を使って重たい轆轤面(天板)
を回していましたすので、体全体を使った動きでしたが、電動轆轤では主に手先と回転速度を
調節する「ペダル」等を踏む程度ですので、体全体を使う事も少なくなりました。それ故
固まった姿勢が長い時間保持され易くなり、体を動かす範囲も狭まり腰痛の原因に成って
います。
ⅲ) 轆轤に対して正対(真っ直ぐ向き合う事)した姿勢にする事も大切です。
轆轤作業中に見るべき所と、姿勢には深い関係があります。
主に使用している両手の指先を見る事は多いのですが、見つめる先は作品の種類によって
若干の差があります。
・ 袋物の様な作品では、器の内側は狭くなりますので、外側を見ながら制作します。
その際、体を左方向(轆轤が右回転の時)に捻りながらの、前屈姿勢になり易いです。
この姿勢は単なる前屈姿勢より、腰に多くの負担を強いる事になります。
・ 一方茶碗の様に口の開いた作品では、器の内側を見ながら制作する事になります。
轆轤挽き後に底削りで外側を削りますので、整えた外形が必ずしもその様になる訳ではなく
逆に内側は削り作業を行わないのが一般的ですので、内側の形がそのまま完成した形になり
ますので、形に注意する必要があります。その為、器の内側を見る様にして轆轤挽きします。
この正対した場合は同時に、体の捻れはほとんど発生させません。
ⅳ) 頭の位置を高く保持する事は、前屈姿勢を緩め、更には作品全体が見渡せる事に通じます。
又体の捻れも最小限に抑える事が出来ます。轆轤に慣れていない方は、土を上に伸ばす際、
手のみに力が入り、頭も一定位置に成り易くなります。土を上に伸ばす際には、手の上昇に
合わせて、目と作品の距離を一定に保ち様に、頭を徐々に挙げていく事です。
即ち、背筋を徐々に伸ばし、土と頭の距離を常に一定位置にする事です。
ⅴ) 前傾姿勢である事は、結果的には「ペダル」を踏み込む事になります。轆轤の回転は
「どんどん」早くなります。この傾向のある人は、前傾し過ぎている可能性があります。
ⅵ) 目の悪い方特に近視の方は、前傾に成り易いです。作品が見え難い為、頭を近付け過ぎる
傾向があります。又照明不足で薄暗い環境でも、顔を近付ける事に成りますので、照明にも
注意する必要が有ります。
③ 轆轤作業で、手の指や足が攣る(つる)時があります。又、手指が固まり動きが鈍くなる場合
も起こります。
ⅰ) 不必要な部分に力を入れ過ぎ、そのままの状態で長く作業していると、主に親指、人差し指
及び、中指が攣る事があります。攣るとは痙攣の一種と考えられ、思う様に動かす事が出来
なく成る事です。更に足の「ふくろはぎ」も攣る場合も少なくありません。
原因は長時間、筋肉を緊張させているからと思われます。
ⅱ) 手の指が固まる事も起こります。
轆轤作業では、土殺しや土を上に伸ばす際、掌や指に大きな力を込める場合があります。
特に大物を挽くさいには、大量の土を取り扱いますので、一段と力を入れる必要があります。
同じ動作を続けていると、手の指が固り、直ぐには動きかず制限される事もあります。
いずれの場合でも同じ状態で、長時間作業する事が原因ですので、なる別の動きを取り入れる
事で予防ができます。
④ 轆轤作業で長い時間座った状態でいると、尻が痛くなる場合があります。
がっちりした固めの椅子を使う事も原因の一つです。
特に痔病を持った方は要注意です。又、泥が発生しますので、軟らかいクッション類を座布団
に使う事も意外と困難な場合があります。基本的には作品一つ一つに付いては、素早く作業
を終了する事です。一個挽き終わったらなるべく立ち上がり腰を伸ばす事です。
2) 釉に関する健康被害に付いて。
以下次回に続きます。