作品を作る際、素地が原因で色々トラブルを起こす事は稀ではありません。
1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。
2) 乾燥時に切れが発生する場合。
3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。
4) 焼成時の変形。(以上までが前回の話です。)
5) 焼成中の割れ(亀裂)、剥がれの場合。
① 可塑性の大きな素地を使用した場合、急激な温度上昇で、素地中の水分や結晶水が、素
地の表面から抜け出しきれずに、内部の圧力が高まったり、爆発を起こしたりして、素地
の亀裂や剥がれを起こします。尚、剥がれは板状の部品を張り合わせ部分だけでなく、器
の縁などにも「欠け」と成って起こります。これを予防するには、珪砂、シャモット
(低温の焼粉)、セルベン(高温の焼粉)等を適宜加えます。
② 焼成中の割れ(亀裂)方には、その原因(要因)によって色々のタイプ(症状)があり
ます。
ⅰ) 温度上昇中に起こる割れは、幅広にナイフで切り開いた状態で、亀裂の縁がギザギザ
しています。尚、焼成前からある傷の場合には、破断面に釉が残りますので、区別でき
ます。
ⅱ) 石灰が多い素地では、冷却中に亀裂(冷め割)が発生し易いです。
冷却中の割れは、磁器を割った様な真っ直ぐで鋭い表情です。破断面に釉は掛かってい
ません。
ⅲ) 石灰の多い素地で、作品の片側のみに強く火が当たった場合、又は一方のみ急激に
冷却した場合、枝状の亀裂(ひび)が入ります。場合によっては強い変形を伴います。
ⅳ) 荒い珪砂が多い素地では、焼成中に細かく壊れる事があります。
原因は気孔率が高過ぎ、気孔内の空気が十分外に逃げきらず、空気の膨張で破裂した事
と、粒子間の粘着力が弱い為と思われます。その他何らかの理由で、気孔が塞がる場合
です。
6) 機械的、熱的強度について。
焼物は壊れ物とも言われ、ある一定以上の外力によって破壊される物質です。
又、熱的衝撃(高温、急熱急冷)で壊れる事もあります。
但し、使用時には注意が必要ですが、普通に使用にしていて壊れては、欠陥品とみなされ
ます。
① 機械的衝撃に弱いのは、焼成した粘土には、鉄等とは違い、粘りが無くなっているから
です。これは、素地の宿命的な事で、仕方の無い事です。
② 素地に非可塑性が多く含まれている為です。
この状態の素地では、成形中、乾燥時、運搬時などの行為でも、亀裂が入る場合もあり
ます。
注:非可塑性については前回説明して有りますので、参照して下さい。
③ 低い温度で焼成された為、十分焼結していない場合です。
素地同士の連結が緩いと、機械的強度が弱くなります。焼成温度を上げる事です。
④ 熱的衝撃に弱いのは、素地成分と気孔率に関係します。
土鍋の様な直火用や煮沸用の陶器では、急激な温度変化に耐える必要があります。
又、焼成中や冷却中の異常膨張や、異常収縮による破壊や変形を起こす恐れがある場合
には、何らかの対策をとる必要があります。
ⅰ) 素地に珪砂を混ぜ、気孔率を上げる事ができます。
気孔率を上げる事は、粒子間に隙間を設ける事で、熱膨張や熱収縮に対し、余裕を
持つ事になります。但し、珪砂を入れ過ぎる事は、粘土粒子間の結合を弱める働きが
ありますので、機械的強度が落ち、珪砂による異常膨張や異常収縮を引き起こす事も
あります。そこで粘土粒子と馴染む微粉のシャモットを入れると良いです。
ⅱ) 多量のカオリンや耐火粘土を含む素地も、高温度で焼成しないと、結合度合いが
弱くなり機械的強度は弱くなります。
7) 水漏れ現象の場合。
以下次回に続きます。
1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。
2) 乾燥時に切れが発生する場合。
3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。
4) 焼成時の変形。(以上までが前回の話です。)
5) 焼成中の割れ(亀裂)、剥がれの場合。
① 可塑性の大きな素地を使用した場合、急激な温度上昇で、素地中の水分や結晶水が、素
地の表面から抜け出しきれずに、内部の圧力が高まったり、爆発を起こしたりして、素地
の亀裂や剥がれを起こします。尚、剥がれは板状の部品を張り合わせ部分だけでなく、器
の縁などにも「欠け」と成って起こります。これを予防するには、珪砂、シャモット
(低温の焼粉)、セルベン(高温の焼粉)等を適宜加えます。
② 焼成中の割れ(亀裂)方には、その原因(要因)によって色々のタイプ(症状)があり
ます。
ⅰ) 温度上昇中に起こる割れは、幅広にナイフで切り開いた状態で、亀裂の縁がギザギザ
しています。尚、焼成前からある傷の場合には、破断面に釉が残りますので、区別でき
ます。
ⅱ) 石灰が多い素地では、冷却中に亀裂(冷め割)が発生し易いです。
冷却中の割れは、磁器を割った様な真っ直ぐで鋭い表情です。破断面に釉は掛かってい
ません。
ⅲ) 石灰の多い素地で、作品の片側のみに強く火が当たった場合、又は一方のみ急激に
冷却した場合、枝状の亀裂(ひび)が入ります。場合によっては強い変形を伴います。
ⅳ) 荒い珪砂が多い素地では、焼成中に細かく壊れる事があります。
原因は気孔率が高過ぎ、気孔内の空気が十分外に逃げきらず、空気の膨張で破裂した事
と、粒子間の粘着力が弱い為と思われます。その他何らかの理由で、気孔が塞がる場合
です。
6) 機械的、熱的強度について。
焼物は壊れ物とも言われ、ある一定以上の外力によって破壊される物質です。
又、熱的衝撃(高温、急熱急冷)で壊れる事もあります。
但し、使用時には注意が必要ですが、普通に使用にしていて壊れては、欠陥品とみなされ
ます。
① 機械的衝撃に弱いのは、焼成した粘土には、鉄等とは違い、粘りが無くなっているから
です。これは、素地の宿命的な事で、仕方の無い事です。
② 素地に非可塑性が多く含まれている為です。
この状態の素地では、成形中、乾燥時、運搬時などの行為でも、亀裂が入る場合もあり
ます。
注:非可塑性については前回説明して有りますので、参照して下さい。
③ 低い温度で焼成された為、十分焼結していない場合です。
素地同士の連結が緩いと、機械的強度が弱くなります。焼成温度を上げる事です。
④ 熱的衝撃に弱いのは、素地成分と気孔率に関係します。
土鍋の様な直火用や煮沸用の陶器では、急激な温度変化に耐える必要があります。
又、焼成中や冷却中の異常膨張や、異常収縮による破壊や変形を起こす恐れがある場合
には、何らかの対策をとる必要があります。
ⅰ) 素地に珪砂を混ぜ、気孔率を上げる事ができます。
気孔率を上げる事は、粒子間に隙間を設ける事で、熱膨張や熱収縮に対し、余裕を
持つ事になります。但し、珪砂を入れ過ぎる事は、粘土粒子間の結合を弱める働きが
ありますので、機械的強度が落ち、珪砂による異常膨張や異常収縮を引き起こす事も
あります。そこで粘土粒子と馴染む微粉のシャモットを入れると良いです。
ⅱ) 多量のカオリンや耐火粘土を含む素地も、高温度で焼成しないと、結合度合いが
弱くなり機械的強度は弱くなります。
7) 水漏れ現象の場合。
以下次回に続きます。