わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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続 粘土について5 (粗さと色3)

2018-01-18 21:56:50 | 粘土について
3) 素地の粗さと色について。

 ① 粘土の色について。  

 ② 焼成すると色の付く土。

 ③ その他の粘土類。(以上が前回までの話です。)

 ④ 粘土の肌理の粗さ。

  粘土を選ぶ際、色も大事ですが粒子の粗さも重要です。粒子の粗さ加減によって焼き上

  がった作品の印象は大きく左右されます。更に、肌理の細かさは作品に穴を空けたり、

  表面を削る等の加工を加える際には、作業のし易さに関係します。更に、粒子の粗さは

  焼き締まりにも大きく関係しますので、問題 にしない訳には行きません。市販されている

  粘土には、並の他、荒目(粗目)、細目の表示された物も多いです。

 ⅰ) 粒子の粗さとは何か?

  粘土類は採掘場で掘り出せるのが一般的です。その際乾燥し固まり岩石の状態に成って

  います。これを砕き、作陶し易い様に水簸(すいひ)等の処理した物が使用可能になり

  ます。

  a) 原土とは、採掘場から産出した塊を、機械で砕き適度に細かくし、不純物を取り除

   いた後、水を入れて練り土にした物です。多くの場合粗(荒)目となっています。

  b) 粒子の細かさは、篩(ふるい)の目の細かさで決まります。

   注:篩の目は1インチ内に何個の隙間があるかと言う事で、1インチ内に何本の針金が

   通っているかと言う事です。1インチは25.4mmです。

   粘土の生成には、泥漿(でいしょう)による水簸が一般的です。即ち大量の水に砕いた

   原土を投入し、不純物を除去した後、篩に通して粒子の粗さを選別します。

  ・ 一般的な粘土(並土)は、60~100目が多いです。

   手触りがつるり、又はつるつるした感じです。

  ・ 特練と呼ばれる粘土は、約120目程度です。

   肌理が極端に細かく、細工に適しています。

  ・ 粗目の土は、約40目程度です。

    約20目程度になると「ざらざら感」が強くなります。

   尚、粗めを強調する方法に長石粒(はぜ石)を入れるやり方があります。

 ⑤ 粘土の焼成温度。

  a) 粘土の種類によって最適な焼成温度が存在します。陶器の場合、焼成温度は1200~

   1250℃が一般的です。多くの場合1230℃で焼成する事が多いです。但し鉄分の多い

   土ですと1180~1200℃が多く、焼き締まりの弱い粗めの土は1250℃以上で焼成する事

   が多いです。

  b) 粒子の細かい土は、焼き締まりが強い傾向にあります。強い事は収縮率が大きい事を

   意味し、花瓶など長期に水を蓄える器は、水漏れが少ない事に成ります。

  c) 鉄分の多い土を焼成温度を低く抑えるのは、高い温度にすると鉄分が熔媒として働き

   土が軟らかくなり、作品が歪んだり、最悪形を保持できず、崩れるのを防ぐ為です。

  d) 粗めの土を高めに焼成するのは、素地の焼き締まりが弱く、水漏れなどを起こし易い

   のを予防する為です。但し焼き締まり具合は焼成温度のみでなく、焼成時間の長さも

   影響しますので、長時間焼成すれば、より強く焼き締まる事になります。

   備前土の様に高温に弱い土は低い温度で長時間焼成し、水漏れを防ぎ、強度を増す様に

   します。

4) 素地の水分量と乾燥率について。

 以下次回に続きます。     
   
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